カヴェンディッシュのステージ3勝目と新城幸也の敢闘賞獲得に沸いたツール第6ステージ。自身3度目の逃げを試みた新城や、スプリントを争った選手たちのコメントを紹介します。



敢闘賞を獲得した新城幸也(ランプレ・メリダ)

ダウンヒルをこなす新城幸也(ランプレ・メリダ)ダウンヒルをこなす新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Kei TsujiQ. 逃げの形成はどのようにして?

終盤にかけてリードを失っていく新城幸也(ランプレ・メリダ)とヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・アルゴン18)終盤にかけてリードを失っていく新城幸也(ランプレ・メリダ)とヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・アルゴン18) photo:Kei TsujiA. 自分からアタックして行ったわけですが、2人きり。他に誰も来なかったですね。逃げ切りたかったのはもちろんですが、差は5分以上開かなかったので、難しいことはわかっていました。コースも後半は道幅が広かったですし、2人が有利なものではなかったですね。

花束を投げる新城幸也(ランプレ・メリダ)花束を投げる新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Kei TsujiQ. 逃げたのは調子の良さを感じてのこと?

A. どちらかというと調子を上げるためというのはありました。こうして脚を溜めながらゆっくり走ることって無いんです。今日一日逃げても意外と疲れていないです。頑張る前に終わっちゃったという感じです。

Q. 逃げながら考えていたことは?

A. 160kmぐらいですがあっという間でしたよ(正確には165km)。のんびり楽しみました。沿道に名前呼んで応援してくれる人がたくさん居たので良かったです。

Q. 終盤に最初に仕掛けたのは新城選手?

そうです。残り29kmで仕掛けました。でも決まらず、逆に今度は彼がアタックしてきた。「絶対に行かすものか」という思いで吸収しました。

Q. 2度目の敢闘賞というのはどんな気持ちでしょう?

A. ホントですね。取れると思ってなかったので正直驚きです。ゴールまだ距離があるうちに捕まってしまったので、今日はステージ優勝者が持っていくな、と思っていました。敢闘賞をもらえて良かったです。

Q. 次の逃げはありますか?

A. ありますね。明日とか!(笑)。そんなに疲れていないですから。また明日!明日でなくてもまたやります。見ていてください。

敢闘賞トロフィーを見せる新城幸也(ランプレ・メリダ)敢闘賞トロフィーを見せる新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji


ステージ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)

ステージ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)ステージ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:Kei Tsujiとても熱い1日だった。今日はダニエル・テクレハイマノが信じられないような走りで逃げとのタイム差をコントロール。本当に長い時間メイン集団の先頭に立って引き続けてくれた。日を重ねるにつれてチームメイトたちも自信をもって走っているように感じる。終盤はスティーブ・クミングスが強烈なスピードでリードアウトトレインを引き上げてくれた。

ステージ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)ステージ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:Kei Tsujiフィニッシュが近づくとマーク・レンショーにリードされて集団先頭をキープ。マルセル・キッテルの番手が特等席だと判断した。とてもハイスピードなフィニッシュだったけど、フィニッシュラインが残り数百メートルになってからじゃないと見えなかった。本能的にフィニッシュラインが見えてからじゃないと力が入らないので、どの選手もスプリント開始が遅れたと思う。

最後はキッテルの後ろから加速した。スリップストリームから抜け出して加速すれば3〜4km/hの速度差で追い抜ける自信があった。彼は踏み直して対抗してきたけど、フィニッシュラインまで先頭を守ったんだ。過去3年間ほど逆のパターンで彼に負け続けていたけど、トラックレースに復帰したことがスプリントでのスピードにつながっている。

ステージ1勝すれば大成功のシーズンと言えるのに、今大会すでにステージ3勝目。この上なく嬉しいし、あと1勝できればどれだけ素晴らしいことかと思う。マイヨヴェールを再び手にしたものの、ポイント賞争いでペーター・サガンに敵う選手はいない。彼は違う次元にいる。

マイヨヴェールに返り咲いたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)マイヨヴェールに返り咲いたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:Kei Tsuji
ステージ2位のマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)がマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)を振り切るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)がマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)を振り切る photo:Kei Tsuji今年のツールではトレインを形成するのが難しく、戦略的に走ることができていない。オーガナイザーはフィニッシュに向けて下り基調のコースをデザインし、細い道やコーナーを詰め込んだ。道が細くなったり太くなったり、また細くなったりするので、どのチームも主導権を得られずに分裂している。

そして総合狙いのチームもフィニッシュラインに向けた位置取りに加わっている。終盤は本当にカオスな状況で、勝つためにはスマートなポジショニングが要求される。チームの力がポジションを守ることができるけど、ある地点を過ぎると、最後は自分の力でポジション取りして勝負に挑まなければならない。

マーク・カヴェンディッシュの勝利を祝福したい。彼はとても速く、そしてスマートに勝負に持ち込んだ。今日は負けたけど次はリベンジしたい。

ステージ3位に入ったダニエル・マクレー(イギリス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)

これまでのスプリントの中で今日は最もチームとして良い動きができた。チームの動きは素晴らしく、最後はフロリアン・ヴァションとピエールリュック・ペリションにリードアウトされてスプリント。勝利がすぐそこに迫ったことに興奮したよ。

カヴェンディッシュやキッテルといったトップスプリンターと肩を並べて戦っていることを誇りに思う。彼らは互いに尊敬し合っている偉大な選手たちだ。明日から始まる山岳を乗り切って、また平坦ステージで勝負に絡みたい。最後にもう一度チームメイト達にありがとうと言いたい。

マイヨジョーヌを着て走ったグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

マイヨジョーヌを着て走るグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)マイヨジョーヌを着て走るグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji美しい1日だった。天気も良く、登りも少なく、集団内のストレスも少なく、マイヨジョーヌを堪能するにあたって最高なステージだった。チームの枠を超えていろんな選手たちと言葉を交わすのが楽しかったよ。集団内の全ての選手が祝福のために自分のところにやってきたように感じた。

昨日は携帯電話がパンク状態だった。今日も沿道には沢山のベルギー国旗が掲げられていた。明日はもっと多くのベルギー人たちが山に押し寄せると思う。明日以降のステージでマイヨジョーヌを守るのは決して簡単なことじゃない。でも1秒でも長くこのジャージを着ていたい。5分差は大きなリードのように感じるけど、実際に山岳での戦いが本格化すると、5分差なんて微々たるものだ。

マイヨアポワを守ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

今日は平穏に走った。チームメイトのアシストとして働きながら、力を温存して190kmコースを走りきった。明日は逃げに乗りたいけど、仮に自分が乗れなくても、代理のチームメイトがライバルの山岳ポイントを潰してくれるはず。どちらかと言うと、自分は明後日以降のステージでの逃げを考えている。とにかく特別賞ジャージはモチベーションに繋がるし、スペシャルペイントのバイクにも乗れるから最高だ。

ピレネー決戦を迎えるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がサガンの風よけとなって走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がサガンの風よけとなって走る photo:Kei Tsuji何事もなくステージを終えたことにホッとしている。ここまでのステージの中で一番暑かったので、失った水分をしっかりと摂って明日に備えたい。調子自体は昨日と変わらない。明日は今大会最初の本格的な山岳テスト。明日総合争いが活発化しなくても、明後日もまた厳しいステージが待っている。

平穏に平坦ステージを終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ピレネー山岳前最後の平坦ステージをチームでトラブルなくスムーズに走りきった。トラブルに巻き込まれず、タイムを失わずに1週目の平坦ステージを終えるという目標はクリアだ。

明日の1級山岳アスパン峠は集団を破壊するだろう。例年通りフルームが本格的な山岳の初日にアタックするかって?おそらく彼はいつも通り動いてくると思う。

フルームの山岳アシストを担うゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

昨年のピレネー初日のような荒れた展開にはならないと予想している。前半からずっと平坦路が続いて、緩い4級山岳を越えてから1級山岳アスパン峠を登るシンプルなレイアウト。アスパンは厳しいけど、そこまでセレクティブ(人数を絞り込む)登りではない。

それよりも大きな登りが4つ登場する明後日のステージが厄介だ。しかも暑くなる予報が出ているので、明日よりも人数が絞り込まれることになると思う。もちろんその先のアンドラのステージが最も厳しい。厳しい展開になればなるほどフルーミーはタイムを奪えるはず。毎日山岳の難易度が増していくレイアウトは彼に味方すると思う。

text:Kei Tsuji, Makoto Ayano