バイオロジカルパスポートの異常値についてセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)に説明と情報提供を求めていたUCI(国際自転車競技連盟)は、同選手の値がドーピングによるものではないと結論付けた。エナオモントーヤは即座にレースに復帰する。



セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Tim de Waele4月20日、UCIのCADF(自転車競技アンチドーピングファウンデーション)は2011年から2015年までに蓄積されたエナオモントーヤのバイオロジカルパスポートの血液データにアンチドーピング違反が疑われる値の変動が発見されたと発表。UCIはエナオモントーヤに説明と情報提供の猶予を与え、チームスカイは同選手のレース出場を停止した。

セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Kei Tsujiエナオモントーヤの異常値発覚は今回が初めてではなく、2014年にも血液データに異常値が見つかったとして活動を中断している。当時はUCIではなくチームスカイ独自の判断であり、チームはコロンビアのアンチドーピング機構やシェフィールド大学の協力を得て科学的な調査を行った結果、コロンビアのリオネグロ(標高2,100m)出身のエナオモントーヤの異常値は「ドーピングによるものではなく、標高の高い場所で生まれた選手の特性」によるものであると断定。2014年3月から6月までの3ヶ月間の中断を経て、エナオモントーヤはレースに復帰している。

今回、エナオモントーヤの説明と情報提供を受けたスイス・ローザンヌのAPMU(アスリート・パスポート・マネジメント・ユニット)の専門家は「ドーピング違反を認める根拠は無い」と結論付けた。これによりチームスカイはエナオモントーヤの出場停止を解き、即座にレースへの復帰が可能に。

チームスカイのデイヴ・ブレイルスフォードGMは「今回の決定には驚いていない。チームは常にセルジオを信頼し、サポートしている。シーズン後半にかけて彼がチームに大きく貢献する走りをすると確信している」とコメント。エナオモントーヤ本人は「今回の一件が解決したことを大変嬉しく思う。困難な時期だったけど、何も間違ったことはしていないし、UCIがこの結論に達すると分かっていた。早くチームに戻ってレースに出場するのが楽しみだ」と語っている。

ツール・ド・フランスへの出場が有力視されているエナオモントーヤは6月5日開幕のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで早速レースに復帰予定だ。

text:Kei Tsuji