持ち前のスピードを生かしたロングスパートでイタリアンスプリンターたちを振り切ったロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)がUCIワールドツアーレース初勝利。解散を発表したばかりのIAMサイクリングにグランツール初勝利をもたらした。



マリアローザを着るステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)が登場マリアローザを着るステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)が登場 photo:Kei Tsuji
出走サインを済ませた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)出走サインを済ませた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsujiトロフェオ・センツァフィーネトロフェオ・センツァフィーネ photo:Kei Tsuji


5月25日(水)第17ステージ ☆ モルヴェーノ〜カッサーノ・ダッダ 196km5月25日(水)第17ステージ ☆ モルヴェーノ〜カッサーノ・ダッダ 196km image:Giro d'Italia山岳地帯を離れるジロ・デ・イタリア。6日ぶりにスプリンターにチャンスが回ってきた。第17ステージはジロ初登場となるモルヴェーノ湖の畔に位置する小さな村をスタートをスタート後、渓谷に沿って高度を下げる。ロンバルディア平原に出ると、ミラノ近郊のカッサーノ・ダッダまで平坦路を真っしぐらだ。

逃げるパヴェル・ブラット(ロシア、ティンコフ)ら3名逃げるパヴェル・ブラット(ロシア、ティンコフ)ら3名 photo:Kei Tsuji荒れた第16ステージから一夜明け、快晴のモルヴェーノをスタートするとすぐに逃げが決まる。2km地点から先行を開始したのはダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)、パヴェル・ブラット(ロシア、ティンコフ)、エルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・サウスイースト)。カウンターアタックを仕掛けて追いかける選手も出たが、しばらくしてメイン集団はペースを落とした。

タイム差は最大で5分53秒にまで広がり、下り基調にもかかわらず前日よりもスローペース(最初の2時間の平均スピードは42.8km/h)で進む。レースは中盤に差し掛かっても平穏な進行で、スプリント狙いのトレック・セガフレードがメイン集団をリードする。

山岳地帯を抜けて平野に出たところでタイム差は4分。ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)が120km地点と162km地点の2つのスプリントポイントをいずれも先頭通過し、最終的なマリアロッサ獲得に向けて重要なポイントを加算した。



イドロ湖を通過するプロトンイドロ湖を通過するプロトン photo:Kei Tsuji
ランプレ・メリダやトレック・セガフレードがメイン集団を牽引ランプレ・メリダやトレック・セガフレードがメイン集団を牽引 photo:Kei Tsujiマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)らが合流して先頭は6名にマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)らが合流して先頭は6名に photo:Kei Tsuji


逃げグループを率いるラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)逃げグループを率いるラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji2つ目のスプリントポイント通過後すぐ、逃げグループとのタイム差が1分にまで縮まったところでトレック・セガフレードとランプレ・メリダが牽引するメイン集団の中から新たな動きが生まれる。フィニッシュまで34kmを残してマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)、イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、FDJ)がカウンターアタックで飛び出した。

集団を振り切ってフィニッシュするロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)集団を振り切ってフィニッシュするロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング) photo:Kei Tsujiベルコフ、バク、コノヴァロヴァスの3名はローテーションを回して高速で追撃し、残り23km地点で先頭3名に合流する。6名が先頭でまとまった時点でメイン集団とのタイム差は13秒。しかしフレッシュな脚が加わったことで先頭グループのペースは上がり、残り15kmでタイム差は28秒にまで広がった。

何度もガッツポーズを見せるロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)何度もガッツポーズを見せるロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング) photo:Kei Tsujiディメンションデータやジャイアント・アルペシン、モビスターも加わり、スプリンターチームが猛烈なスピードでメイン集団を牽引したものの10〜15秒のタイム差が縮まりきらない。力が残っていないズパを除く5名がローテーションを回し、残り5km地点で13秒のリード。しかし残り2kmを切ったところで距離は急速に縮まった。

ステージ初優勝を飾ったロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)ステージ初優勝を飾ったロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング) photo:Kei Tsuji逃げ吸収直前、残り1.5kmでバクが諦めずにアタックするとフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・サウスイースト)が反応する。バクを振り切ったポッツァートが独走に持ち込んで残り1kmアーチを駆け抜ける。

プロセッコを開けるロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)プロセッコを開けるロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング) photo:Kei Tsuji集団先頭では最終コーナーに向けたリードアウト争いが白熱し、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)の発射台役を担うクルーゲがシッティングで加速。最終コーナーを抜けたところでクルーゲが単独で抜け出した形となり、そのまま踏み直して残り300mでポッツァートをパスした。

スプリンターならびにトラックレーサーとしてキャリアを積むクルーゲが独走。地元での勝利を狙うニッツォロらが勢いよく迫ったが、最終コーナーでのリードを守り抜いたクルーゲが後ろを振り返り、勝利を確信して頭を抱え、もう一度振り返ってから拳を突き上げた。

「プロ入りして6年目にようやく大きな勝利を手にすることが出来た。残り1kmからのスパートは予定していたものではなく、本来はハウッスラーのリードアウト役だったんだ。彼のために逃げとのタイム差を詰めていくうちに逃げ切るチャンスが生まれた」と勝利したクルーゲは語る。

クルーゲはチームミルラムやスキルシマノ、ネットアップ・エンデューラを経て2014年からIAMサイクリングに所属する30歳で、トラックレースとロードレースを両立。身長192cmという長身を生かし、2008年トラック世界選手権のマディソンで銀メダル、スクラッチで銅メダルを獲得している。同年の北京五輪ではポイントレース銀メダル。2012年のロンドン五輪オムニアムでは4位に入った。ドイツ代表としてリオ五輪トラックのオムニアムへの出場が有力視されている。

「今シーズンをもってチームが解散するというニュースを聞いた時は失望した。でも残りのシーズンを力を合わせて戦い続けようとチームで一致。失望を忘れさせるような勝利を飾ることが出来た」と、2日前に解散を発表したばかりのIAMサイクリングにグランツール初勝利をもたらしたクルーゲは語っている。自身にとっても初のUCIワールドツアーレース勝利となった。

ニッツォロは自身9度目のステージ2位で、またもやステージ優勝ならず。地元のファンを沸かせることはできなかったが、マリアロッサ争いでは首位を独走している。



マリアローザを守ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)マリアローザを守ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji



ジロ・デ・イタリア2016第17ステージ結果
1位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)              4h31’29”
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
4位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)
6位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ピム・リヒハルト(オランダ、ロット・ソウダル)
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール)
9位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、ウィリエール・サウスイースト)
10位 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
162位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)            +4’47”

マリアローザ 個人総合成績
1位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)       68h11’39”
2位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)       +3’00”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)            +3’23”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            +4’43”
5位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)             +4’50”
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)               +5’34”
7位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)   +7’57”
8位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)            +8’53”
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)    +10’05”
10位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ)   +11’03”

マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)       185pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)           137pts
3位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)              123pts

マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)     134pts
2位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)         72pts
3位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)           69pts

マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 68h19’36”
2位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ)       +14’17”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)           +34’38”

チーム総合成績
1位 アスタナ                             191h30’47”
2位 モビスター                              +7’46”
3位 AG2Rラモンディアール                        +23’23”

text&photo:Kei Tsuji in Cassano d’Adda, Italy
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カテゴリー: Sports
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