カリフォルニアで逃げ切り決まる。序盤からエスケープに乗ったベンジャミン・キングがマッチスプリントを制し、ステージ優勝と総合首位浮上を同時に手中に収めた。



ブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)の足元は派手ブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)の足元は派手 photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes集団内で峠を下るペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 集団内で峠を下るペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)  photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes逃げグループを率いるエヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)逃げグループを率いるエヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes集団をコントロールするディレクトエネルジー集団をコントロールするディレクトエネルジー photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesその名の通りカリフォルニア州を舞台としたツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)は2日目。ロサンゼルス市街地から郊外の山岳地帯を経由し、サンタクラリタの街へとゴールする148.5kmコースがその舞台だ。

標高237mのサウスパサデナを出発すると、すぐさま標高1121mの1級山岳エンジェルスクエストへの登りがスタート。続いて2級山岳タジャンガをクリアして長い下りに入るが、111.5km地点と124km地点にも2級山岳が用意されるなど、基本的にはスプリンター向けながらアタッカーにもチャンスがある。

アタックと吸収を繰り返す激しい展開から、一時は22名という大きな逃げグループが形成されたものの、登坂距離14.1km、平均勾配5.1%のエンジェルスクエストの登りで吸収。

それでも動きが静まることなく、頂上付近でウィリアム・バルタ(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)、ベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)、エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)、シンドレ・ショースタッドルンケ(ノルウェー、ジャイアント・アルペシン)という4名が抜け出しを図る。集団はこの4名を見送ったことで落ち着きを取り戻した。

35℃にも届こうかという気温の中、快調に飛ばす先頭4名。レース序盤がハイペースで進行したことも手伝ってメイン集団はストップ。4名は一気に7分差を稼ぎ出すことに成功する。
 
逃げる4名の中では「今日の目標は逃げに乗ってKOMジャージを獲ることだった」と語るハフマンが積極的にポイントを集め、狙い通りスタージ終了時点での山岳賞を確定させる。3つ目の山岳ではショースタッドルンケが脱落し、残る3名が徐々にテンポを上げる集団から逃げる展開に。

メイン集団はスプリントを狙うカチューシャやディレクトエネルジー、BMCレーシングが中心となって追走を企てる。逃げ切りの可能性を感じてギアを切り替えた先頭グループからはバルタも遅れ、キングとハフマンはフルスピードでフィニッシュを目指した。

スプリントを狙った集団だったが、「全力で吸収を試みたものの、今日は逃げグループが強すぎた」とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が振り返るように、リードの縮小は緩やか。キングとハフマンは協調を崩すことなく、集団を20秒後ろに従えたまま最終ストレートへと到達してみせた。 



エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)を下したベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)を下したベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


祝福を受けるベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)祝福を受けるベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes少々の牽制から先駆けしたのはハフマン。しかし「KOMで先着されたので彼のスプリントは警戒していた」と語るキングがゴール直前で抜き去りガッツポーズ。低迷が続いていたチームに今季初のHCレース優勝を届けた。

「本当はハフマンを登りで千切って独走したかったが、結局2人でゴールまで同調できたことが大きかった」と振り返るキング。Stravaにアップされたデータによると、4時間弱のステージを通したキングの加重平均パワーは341W。最後のスプリントでは最高出力1302Wが記録されている。

先頭二人は集団から8秒差でフィニッシュしたため、ボーナスタイムを得たキングがペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)に代わって総合リーダーに浮上している。

翌第3ステージは、超級山岳ジブラルタルロード頂上へとフィニッシュするクイーンステージ。登坂距離12km、平均勾配8%のヒルクライムで、早くも総合優勝争いが大きく動く。



ツアー・オブ・カリフォルニア2016第2ステージ結果
1位 ベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)       3h52’09”
2位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)              +08”
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
5位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
7位 パトリック・ベヴィン(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)
8位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
9位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
10位 マルコ・カノーラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)

個人総合成績
1位 ベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
2位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
4位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
5位 ダニエル・イートン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ウィリアム・バルタ(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
7位 シンドレ・ショースタッドルンケ(ノルウェー、ジャイアント・アルペシン)
8位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
9位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
10位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
8h12’34”
+08”
+14”
+20”
+21”

+23”
+24”




ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 

山岳賞
1位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)

ヤングライダー賞
1位 ダニエル・イートン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

チーム総合成績
1位 キャノンデールプロサイクリング

text:So.Isobe
photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes