ジロ・デル・トレンティーノ最終日の第4ステージは、10名強に絞られた小集団でのスプリントで決着。好調のタネル・カンゲルト(アスタナ)がステージ2連勝をマークした。総合は、ミケル・ランダ(チームスカイ)がタイム差を詰められながらも首位を守りきり、ジロへ向けて弾みをつけた。



春真っ盛りのイタリア北部を行くメイン集団春真っ盛りのイタリア北部を行くメイン集団 photo:Bettini


ジロ・デル・トレンティーノ2016第4ステージ コースプロフィールジロ・デル・トレンティーノ2016第4ステージ コースプロフィール チームメイトに守られながら走るミケル・ランダ(スペイン)チームメイトに守られながら走るミケル・ランダ(スペイン) photo:Bettini40km過ぎから逃げ始めたヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)、アレクサンドル・フォリフォロフ(ガスプロム・ラスヴェロ)、ダミアーノ・クネゴ(NIPPOヴィーニファンティーニ)の3名40km過ぎから逃げ始めたヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)、アレクサンドル・フォリフォロフ(ガスプロム・ラスヴェロ)、ダミアーノ・クネゴ(NIPPOヴィーニファンティーニ)の3名 photo:Bettiniフォルチェッラ・ディ・ブレズでメイン集団からアタックしたロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)フォルチェッラ・ディ・ブレズでメイン集団からアタックしたロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) photo:Bettini最後の1級山岳を越えてもなお、アタックが頻発する先頭集団。ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)らが飛び出しを図った最後の1級山岳を越えてもなお、アタックが頻発する先頭集団。ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)らが飛び出しを図った photo:Bettini13名でのゴールスプリントを制したタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)がステージ2連勝をマーク13名でのゴールスプリントを制したタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)がステージ2連勝をマーク photo:Bettini40回めの節目を迎えた今年のジロ・デル・トレンティーノは、最終日に到達した。第4ステージは、マレという人口2,100人ほどの小さな町をスタートし、マウリツィオ・フォンドリエストの出身地であるクレスに至る161.1km。フォンド(2級)、マルセナ・ディ・ルモ(2級)、フォルチェッラ・ディ・ブレズ(1級)と3つのカテゴリー山岳を越え、最後はアップダウンをこなしフィニッシュを迎える。第3ステージを終えて、総合10位までは1分差以内という接戦となっており、逆転を狙ったアタックが頻発するのは必至だ。

レースは序盤からハイスピードで展開し、30km地点で集団が分裂する。そして、先行した約60名から、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)という強力な2名が、登りを利用してアタック。少し遅れてアレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)が合流し、先頭は3名に。

一方のメイン集団は、リーダージャージのミケル・ランダ(スペイン)を擁するチームスカイと、8名中4名がトップ10につけているAG2Rラモンディアールがコントロール。先頭3名とのタイム差を最大2分半程度に抑えこみながら、最終盤の総合争いにむけて順調に駒を進める。

フィニッシュまで残り40kmを切り、ニーバリらとの差が詰まってくると、メイン集団からロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)がアタック。逃げていた3名に変わって一時先頭に立つ。

その後、メイン集団からランダ、セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)の4名が飛び出し、先頭2名と合流することに成功。更に8名ほどが先頭集団に加わる。

最後のカテゴリー山岳を越えてもなお先頭集団は活発で、アタックと吸収が繰り返されるも決定的なアタックは決まらず。ステージ優勝と総合優勝の行方は、13名でのゴールスプリントに委ねられ、タネル・カンゲルト(アスタナ、エストニア)が先着。前日に3年ぶりの勝利を飾ったエストニア人ライダーが、わずか1日で次の勝利を手に入れた。

ここまで総合首位のランダはステージ3位でフィニッシュ。ボーナスタイムで、カンゲルトに2秒差にまで詰められるも、紫色のリーダージャージを守り切ることに成功。2週間後に開幕を控えるジロ・デ・イタリアへ向けて、弾みをつける結果となった。

「得意な下りを利用してギリギリ先頭に合流できたぐらいだったし、チームの中で最も脚があったのはフグルサングだった。だから、まさか今日も勝つことができるなんて思いもしなかった。」と驚きを隠さないカンゲルト。一方、2秒差で優勝を逃す結果となった総合については「確かにチームとしても決定的な展開を生み出すことはできなかったが後悔はない。最も力のあるライダーが順当に勝ったレースとなった。自分は2つのステージを制すことができたから満足している」とコメントした。

総合優勝を飾ったランダは「最後までハードだった。自分はクライマーだが、ボーナスタイムで逆転されないように、自分の中にあるスプリントのスキルを呼び起こさなければならなかったね。(第3ステージのように)アシストの数が少ない中でレースをコントロールし、そして総合優勝できたことは、ジロ・デ・イタリアに向けてとても大きな自信となった」と語っている。

選手コメントは大会公式サイトより。



総合優勝を飾ったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)総合優勝を飾ったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) photo:Bettini



ジロ・デル・トレンティーノ2016第4ステージ結果
1位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
2位 マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト)
3位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
4位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
6位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カハルーラル)
10位 ユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール)
4h07'29"











個人総合成績
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
2位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
4位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)
5位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 エマヌエル・ブックマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
9位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 ユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール)
14h44'48"
+08"
+14"
+19"
+24"

+28"
+30"
+42"
+56"


山岳賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)

ヤングライダー賞
1位 アーレイベルナール・イーガン(コロンビア、アンドローニジョカトリ)

チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール

text:Yuya.Yamamoto
photo:Bettini

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