JCFがこのほど6月の全日本選手権ロード、個人TT、パラサイクリングロードの要項を発表した。東京都大島町のコースは、1月に行われたアジア選手権と全く同じもの。女子はリオオリンピック選考対象となり、ジュニアは11月に島根県で行われる。



大島のコースは海沿い。1月のアジア選手権では強風が吹き荒れた大島のコースは海沿い。1月のアジア選手権では強風が吹き荒れた photo:Hideaki TAKAGI
公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)が4月14日、全日本自転車競技選手権大会ロードレース、個人タイムトライアルロードレースそして日本パラサイクリング選手権ロード大会の実施要項を発表した。6月24日(金)から3日間にわたって個人TT、パラサイクリングロードそしてロードレースが東京都大島町で行われる。なおジュニア男女については11月に島根県益田市で全日本選手権ロードレースが行われる。そのためすべてのクラスで時差スタートによる混走がなくなる。

コースはすべて今年1月に行われたアジア選手権大会ロードと全く同じもの。注目のリオオリンピック出場選手選考は男子については決定発表済みだが、女子についてはUCIポイント上位者3名からこの全日本選手権ロードの上位順に選考される。島しょ部のため宿泊交通手配申し込みは選手・関係者においては国際興業トラベルにて受付中、観戦者等は4月25日から受け付け開始となる。

チェン・キンロ(香港)を追走する新城幸也(ランプレ・メリダ)チェン・キンロ(香港)を追走する新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Hideaki TAKAGIアジアチャンピオンとなったチェン・キンロ(香港)。ワン・カンポー コーチから補給を受けるアジアチャンピオンとなったチェン・キンロ(香港)。ワン・カンポー コーチから補給を受ける photo:Hideaki TAKAGI

大島は1986年に三原山噴火による全島避難が1か月にわたった。そして2013年に台風26号の集中豪雨による土砂災害で元町地区を中心に49名の死者行方不明者を出した。1月のアジア選手権ロードに続いて当地にて大会が行われるのはその復興支援の意味もある。3日間にわたって町中心部や幹線道路、生活道路を全面交通規制して行われることに感謝したい。

初日は海沿いコースの個人タイムトライアル

大会初日の6月24日(金)は、個人タイムトライアル各カテゴリーとパラサイクリングロードが行われる。コースは元町港から”サンセットパームライン”を北上し野田浜で折り返す往復11.2kmで、途中数か所の小さなアップダウンがあるが平坦基調だ。自分との戦いが個人タイムトライアルだが、1月のアジア選手権時には風速10m以上の季節風が吹き荒れた。

参考までにその強風下での記録は、男子エリート優勝者チェン・キンロ(香港)が4往復44.8km(全日本は3往復)で1時間00分15秒50(44.60km/h)、女子エリート優勝者萩原麻由子(ウィグルハイファイブ)が2往復(全日本と同じ)22.4kmで32分25秒17(41.45km/h)だ。無風ならば+3km/hほどだろう。

個人TT女子エリート 優勝した萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)個人TT女子エリート 優勝した萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Hideaki TAKAGI個人TT男子エリート 4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)個人TT男子エリート 4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI

日程

6月24日(金)【個人タイムトライアル】

9:00~ WJ+WU17 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
9:20~ MU17+MU15 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
9:40~ MJ 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
10:00~ MU23 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
10:30~ パラサイクリング MT, FT, MB, FB, MC1-5, FC1-5, MH1-5, FH1-5 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
11:20~ 表彰式
12:00~ WE 個人タイムトライアル・スタート22.4 km (11.2 km× 2 周)
13:15~ ME WAVE 1 個人タイムトライアル・スタート33.6 km (11.2 km× 3 周)
14:30~ ME WAVE 2 個人タイムトライアル・スタート33.6 km (11.2 km× 3 周)
15:45~随時 個人タイムトライアル表彰式 元町港客船ターミナル

個人ロードレースは2日間開催 混走を回避したスケジュール

個人ロードレースは6月25日(土)、26日(日)の2日間で行われる。1月のアジア選手権と同じコースであり、1か所の大きな上りと下り、そしてそれをつなぐ平坦基調の区間で構成される。登りは約2kmで150m上るもので平均勾配7%ほどで上りきってもアップダウンが続く精神的にもきついもの。ただし時間にして6分ほどの上りであり、クライマーよりはパンチャーや独走力に長ける選手が有利だ。

アジアチャンピオンとなったチェン・キンロはこののちにオリカ・グリーンエッジへ加入アジアチャンピオンとなったチェン・キンロはこののちにオリカ・グリーンエッジへ加入 photo:Makoto AYANO2015年では佳境に入ったWEの先頭集団へ、MEでアタックした内間康平(ブリヂストンアンカー)が追いついてしまいMEにニュートラルがかかった2015年では佳境に入ったWEの先頭集団へ、MEでアタックした内間康平(ブリヂストンアンカー)が追いついてしまいMEにニュートラルがかかった photo:Hideaki TAKAGI

実際に1月のアジア選手権男子エリートでは、トラック中距離種目を得意とするチェン・キンロ(香港)が優勝している。チェンは強風のためコースが短縮されたアナウンス後に、得意とする約40km1時間を独走で逃げきった。なおチェンはほかに個人TTとトラック個人パーシュートで優勝と金メダル3個、ポイントレースとマディソンで銀メダルと計5個のメダルを獲得し、その実績でオリカ・グリーンエッジへ3月から加入している。

アジア選手権では海からの強い横風がレース展開に大きく影響を及ぼしたが、1月に比べ6月はそこまでの強風が吹かないことが多い。気象条件よりも上り区間や平坦での動きがレース展開を作る通常のレースになるだろう。またジュニアを11月としたことですべてのクラスで時差スタートがなくなり、混走によってどちらかのクラスにニュートラルがかかるような昨年までの事態は回避される。

日程

6月25日(土) 【個人ロードレース】

9:00~ U23 個人ロード・スタート 119.0 km (11.9 km× 10 周)
12:30 U23 表彰式: 大島支庁:駐車場
13:00~ WE 個人ロード・スタート107.1 km (11.9 km× 9 周)
16:45 WE 表彰式: 大島支庁

6月26日(日)【個人ロードレース】

8:00~ ME 個人ロード・スタート154.7 km (11.9 km×13 周)
12:25 (予定) ME 表彰式: 大島支庁

女子ロードはリオオリンピック選考に

女子はリオオリンピック選考対象レースになる女子はリオオリンピック選考対象レースになる photo:Satoru KATOこの全日本選手権ロードは、世界選手権自転車競技大会のロード・レース代表候補選手選考の参考とされるのは例年通り。そして8月のブラジル・リオデジャネイロで行われるオリンピック代表選手は、男子ロードとトラックについてすでに決定、発表されている。女子ロードレースはこの全日本選手権ロードの結果が大きく関わる。JCFが発表している選手選考基準は、「<女子ロード>参加枠が決定次第、2015年6月1日より2016年5月31日までの期間のUCIポイントランキング上位者3名の中で2016年全日本選手権ロードの上位順に選考する」となっている。現在はオリンピック参加枠を確保すべく各選手ならびに日本ナショナルチームが活動中だ。

ジュニア男女などのロードレースは11月6日(日)に島根県益田市で今年3回目の益田チャレンジャーズステージに併せて行われる。MU17+MU15、MJ,WJ+WU17のクラス分けだ。

国際興業トラベルで宿泊と交通手配の受付

大会にあたっては、宿泊と交通手配を国際興業トラベルが担当する。東京竹芝桟橋と大島との往復大型船(夜行)と現地での宿泊セットが基本で、1泊から3泊まで、竹芝ないし熱海の高速ジェット船変更プランもある。すでに選手と関係者対象は申込受付中で、それ以外の観客などは4月25日からの受付となっている。個人での手配ももちろん可能だが、とくに現地宿泊施設が限られるので、いずれかのプランを申し込むのが安心だ。参考までに1月のアジア選手権時には強風が吹き荒れ高速ジェット船はすべて欠航となり、竹芝の大型船のみが唯一の交通手段だった。物資の運搬も同じことが言える。

資料参考:JCF
text:高木秀彰
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