ベルギーで発生した連続テロを受け、3月23日開催のドワーズ・ドール・フラーンデレン(UCI1.HC)主催者が声明を発表。現段階ではレースは開催予定だが、空港閉鎖の影響でレース出場を取りやめるチームも出ている。



フランドルを舞台にしたドワーズ・ドール・フラーンデレンフランドルを舞台にしたドワーズ・ドール・フラーンデレン photo:Tim de Waeleベルギーのフランドル地方にクラシックウィークの到来を告げるセミクラシック、ドワーズ・ドール・フラーンデレンが3月23日(水)に開催される。今年で71回目の開催を迎え、「フランドル横断レース」とも呼ばれるこのHC(超級)レースを皮切りにフランドル地方は盛り上がり、同じ主催者のロンド・ファン・フラーンデレンでその熱は頂点を迎える。

ロンド・ファン・フラーンデレンでオウデクワレモントを登るプロトンロンド・ファン・フラーンデレンでオウデクワレモントを登るプロトン photo:Tim de Waeleコースはブリュッセル西100kmに位置するローセラーレをスタートし、「オウデクワレモント」や「パテルベルグ」など12の急坂を越えてワレヘムにフィニッシュする200km。日本から別府史之(トレック・セガフレード)の出場も予定されている。

ドワーズ・ドール・フラーンデレン2016コースマップドワーズ・ドール・フラーンデレン2016コースマップ image:Dwars door Vlaanderenしかしレース開催前日の3月22日(火)午前8時すぎにベルギーの首都ブリュッセルで連続テロ攻撃が発生。ベルギー政府は同国のテロ警戒態勢を、スポーツイベントなどの大規模な集会を禁じる最高レベルの「4」に引き上げている。

ドワーズ・ドール・フラーンデレン主催者は3月22日の午後1時に「火曜日の午前中にブリュッセルで連続テロ攻撃が発生したが、現段階では明日のドワーズ・ドール・フラーンデレンは予定通り開催する。凄惨なテロ行為による犠牲者の冥福をお祈りします」との声明を発表。

さらに同日午後5時に主催者はホームページを更新し「水曜日のドワーズ・ドール・フラーンデレンは予定通り開催。テロ攻撃による犠牲者や負傷者を悼み、表彰セレモニーを取りやめ、1分間の黙祷を行う」と発表している。「ローセラーレからワレヘムまでのコースにおける選手と観客の安全は保障できる。しかしベルギー政府により開催中止の通達が届いた場合はそれに従う。現段階では通達は届いておらず、レース開催を行う予定だ」と主催者ガイ・デレジー氏は付け加えた。

開催前日にブリュッセル空港が閉鎖された影響はチームにも及ぶ。ジャイアント・アルペシンのメンバー3名(ハガ、フェアリー、ルドヴィグソン)は3月22日の午前中にブリュッセル空港に到着予定だったが、フライトがキャンセルされたため現地入りできず。1月の交通事故の影響で元々メンバーを6名(他チームは8名)しか揃えることができていなかったドイツチームはレース出場キャンセルを決めている。同様にフルメンバーの到着が間に合わないAG2Rラモンディアールは6名、モビスターは4名での出場予定だ。

今週ベルギーで開催されるのはドワーズ・ドール・フラーンデレンだけではなく、3月25日(金)にE3ハーレルベーケ、3月27日(日)にヘント〜ウェヴェルヘムが開催予定。なお、今回のテロ発生前(警戒レベル3)の先週、ベルギー警察はロンド・ファン・フラーンデレンの主要な観戦スポット8ヶ所へのバックパック持ち込み禁止を発表していた。警戒レベルが最高度にまで引き上げられた今、クラシックシーズンへの影響は必至だ。

text:Kei Tsuji