アルノー・デマール(フランス、FDJ)の勝利に終わった第107回ミラノ〜サンレモ。300km近いロングレースを戦った選手たちのコメントを紹介します。



1位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)

ローマ通りでのスプリントを制したアルノー・デマール(フランス、FDJ)ローマ通りでのスプリントを制したアルノー・デマール(フランス、FDJ) photo:Tim de Waele(残り30kmの落車で)一旦はゲームオーバーだと思ったけど、ウィリアム・ボネが常にそばでアシストしてくれた。そしてポッジオの登りに向けてマチュー・ラダニュ、ケヴィン・レザ、イグナタス・コノヴァロヴァスが位置取りしてくれたんだ。集団復帰に力を使いすぎたと思っていたけど、ポッジオを思いのほか上手く乗り切ることができた。

ライバルたちは全員疲弊していたし、失うものはなかった。いつも通りフィニッシュラインまで距離を残してスプリント。それまで集団先頭で展開できていなかったからアタックが全て吸収されていたのか分からなかったけど、前を車両が走っていたから勝つためのスプリントだと判断した。すべてのサイクリストが夢見るクラシックレースでの勝利。ここにたどり着くまでにもっと長い経験が必要だと思っていた。

2位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)

勝つための挑戦は続く。ミラノ〜サンレモは自分向きのレースであり、お気に入りのクラシックだ。チームスカイはアタックでレースを活性化する戦法だった。でも不運にもゲラント・トーマスが落車で脱落してしまい、状況は芳しくなかった。ミカル・クヴィアトコウスキーの終盤のアタックは素晴らしかった。彼のおかげでライバルチームが追走に力を使ったし、彼自身そのまま逃げ切ってもおかしくない勢いだった。

勝利を逃したことは残念でならない。でも結果としては悪くない。今日はこれ以上の走りはできなかった。アルノー・デマールは素晴らしい走りで勝利した。

3位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)

スプリントで競り合うユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)とアルノー・デマール(フランス、FDJ)スプリントで競り合うユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)とアルノー・デマール(フランス、FDJ) photo:Tim de Waeleティレーノ〜アドリアティコでは日に日に調子が上がっていた。最終日の個人タイムトライアルで8位に入ったことで自信を得ていたんだ。冬場のトレーニングの成果が出たんだと思う。チプレッサとポッジオを越えてからも脚に力を感じていたから、ロングスプリントで勝負に出た。勝つためにはそうするしかなかった。最終的にデマールに追い抜かれたことは残念。結果にはとても満足しているけど、モニュメントの勝利をあとわずかなところで逃した悔しさが同居している。とても複雑な心境だ。

5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

5位という結果は悪くないけど、レースは勝つために走っている。荒れた展開のミラノ〜サンレモだった。ボアッソンハーゲンと一緒に集団を抜け出したものの、最後はスプリントのタイミングを待ちすぎてしまった。後ろから合流した選手たちのスピードに対応できなかった。有力選手として挑んだクラシックで勝負に絡めてよかった。レース展開や自分のコンディションには満足している。

6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

調子が良かっただけにフラストレーションのたまる結果になってしまった。最終コーナーでミスを犯してしまったんだ。集団の前から5番手でコーナーを抜けなければいけないのに、実際は10番手あたりだった。ポジションが悪すぎたし、落車もあって勝負に絡めなかった。

ポッジオを越えた時点でとても良い感触を得ていた。天気が良かっただけに多くのアタックを予想していたし、実際にポッジオでアタックが繰り返されたけど、同時に集団を牽引する選手も豊富だった。天気の良さによって例年よりも楽な展開だったと思う。もし(落車で遅れた)マルコ・ハラーがいれば、良いポジションでスプリントに挑めていたと思う。スプリントではなく、ポジション取りでレースを失ったことが残念でならない。

7位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)

とても満足している。落車が頻発するナーバスな展開の中でも常にチームのサポートを受けた。特にビセンテ・レイネスのアシストぶりは素晴らしく、経験豊かな彼の走りに助けられた。トップ10フィニッシュは良い思い出になる。この先のクラシックレースに向けて必要不可欠な自信を得たよ。これまで残念なシーズンが続いていたけど、今日は努力と犠牲が報われた気分だ。

12位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

集団前方で登りをこなすペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)集団前方で登りをこなすペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:Tim de Waele常々言っているけど、ミラノ〜サンレモは予想不能なレース。だから2〜3日前に目標を語ることに意味がない。レースでは全力を尽くしたし、チームの働きは素晴らしかった。でもそれがレースだ。

ファビアン(カンチェラーラ)がアタックした時、彼に先行を許してしまったらミラノ〜サンレモが終わると思った。あの状況でファビアンに追いつくことができるのは自分だけだった。ファビアンに追いついてからボアッソンハーゲンとガビリア、自分、そしておそらくトレンティンが先行。フィニッシュまで400〜500mを残して、後方を確認したガビリアがバランスを崩して落車した。そこでレースが終わった。何とか落車を回避したものの、スピードを失ってしまったので、残り300mで挽回するのは不可能だった。やはり、どれだけコンディションが良くてもレースで勝つのは簡単じゃない。

26位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

タフなレースだったけど、重要な局面を含めてディメンションデータのメンバーは常に自分のために走ってくれた。序盤からジェイ(トムソン)が集団を牽引して、そこからスティーブ(クミングス)らが手厚くサポート。サンレモの街が見えてきたところで、デマールやガビリア、スウィフトがまだ集団に残っていたのでアタックすべきだと判断した。ティレーノ〜アドリアティコでも同じようなシチュエーションがあり、その時はアタックしなくて後悔した。一か八かの勝負は失敗に終わったけど、それがレースだ。

33位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

ポッジオの頂上手前でアタックして、下りも全開で攻めた。でも集団のスピードも速く、完全に抜け出すには至らなかった。自分の走りには満足しているし、悔いはないよ。

31位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)

残り30km地点で落車したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)残り30km地点で落車したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele終盤は孤立していたし、他の選手から徹底的にマークされていたから動けなかった。クヴィアトコウスキーが良いタイミングでアタックして、ティンコフが追走し、ニーバリが頂上でアタック。ニーバリの動きに反応して付いて行ったけど、彼は私の存在に気づいたところで脚を止めてしまった。

ポッジオを下りきってからペースが落ちたと思ったのでアタックした。リードを広げることができずにトレンティンが合流。ガビリアはトレンティンに「行け行け行け!」と叫んでいたよ。そこからアタックしたファンアフェルマートとボアッソンハーゲンをペーター(サガン)が追走。アタック直後だったので付いていくのに必死だった。

最終コーナーで落車したガビリアをペーターと自分が辛うじて回避。落車しなかったことは幸運だったけど、結果は手に入らなかった。

59位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

失意のどん底だ。間違ったタイミングに間違った場所にいた。その落車まではすべてが完璧に展開していたのに。腕の傷は深くないし、痛みは感じなかった。それよりもチャンスを逃した痛みに苦しめらえた。これに懲りず、必ず復活する。

79位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)

落車したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)が失意のフィニッシュ落車したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)が失意のフィニッシュ photo:Tim de Waele残念な結果に終わってしまった。全て自分の責任だ。スプリントに向けて完璧なポジションにつけていたものの、スプリントのタイミングを計っている最中に一瞬だけ集中力を切らしてしまい、ファンアフェルマートの後輪に接触した。チームのハードワークがそこで台無しになった。

貴重なチャンスを失った残念な気持ちと、300kmの長丁場でも終盤まで脚を残せたという確かな手応えが混ざり合っている。落車の痛みはないけど、1月から周到に準備してきたレースでミスした事実に心を痛めている。

選手コメントはレース公式リリースならびに各チーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji

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