アタックが連発した連続山岳を乗り越え、フィニッシュにやってきたのは30名強の小集団。理想的な展開に持ち込んだエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がスプリントで2勝目を飾った。



荒々しい岩山が連なるオマーンを走る荒々しい岩山が連なるオマーンを走る photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2016第5ステージツアー・オブ・オマーン2016第5ステージ image:Tour of Omanツアー・オブ・オマーン最終日前日の第5ステージは全長が119.5kmしかない。しかし獲得標高差は2,000mオーバーで、後半にかけて標高355mのKOMブシェール・アラムラットを3回登場する。幅の広い幹線道路を2回Uターンし、登坂距離2.6km/平均勾配7%の南側を2回、登坂距離3.6km/平均勾配10%の北側を1回登坂。スプリンターにとっては厳しいレイアウトであるのと同時に、総合を動かしたいクライマーにとっては最後のチャンスだ。

逃げるヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)ら3名逃げるヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)ら3名 photo:Tim de Waeleスタートとともに飛び出したジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)にピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・オラニエ)とヒューゴ・ホール(カナダ、AG2Rラモンディアール)が追いつき、先頭3名でエスケープ開始。タイム差は今大会最大の6分15秒まで広がったため、総合で5分19秒遅れのヤンセファンレンズバーグが暫定総合首位となる。

オマーン内陸部の幹線道路を進むプロトンオマーン内陸部の幹線道路を進むプロトン photo:Tim de Waeleメイン集団の先頭に陣取ったのは、前日にKOMグリーンマウンテンで総合首位に浮上したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するアスタナ。1回目のKOMブシェール・アラムラットに差し掛かると総合2位ロメン・バルデ(フランス)で逆転を狙うAG2Rラモンディアールも集団前方に上がった。

AG2Rラモンディアールやエティックス・クイックステップが攻撃開始AG2Rラモンディアールやエティックス・クイックステップが攻撃開始 photo:Tim de Waele2回目のKOMブシェール・アラムラットで先頭からホールが脱落し、ヤンセファンレンズバーグとウェーニングが2分リードで逃げ続ける展開。そして3回目、つまり最後のKOMブシェール・アラムラットを先頭2名は1分13秒リードでクリアした。

アタックを仕掛けるジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)アタックを仕掛けるジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleメイン集団ではAG2Rラモンディアールにお膳立てされたバルデらがアタックを繰り出すも、総合ワン&スリーを揃えるアスタナ勢がこれを封じ込める。メイン集団は約20名に絞られた状態で最後の登りをクリアし、ハイスピードダウンヒルに差し掛かった。

チームメイトに解き放たれたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が先頭でスプリントチームメイトに解き放たれたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が先頭でスプリント photo:Tim de Waele総合4位トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)や総合5位ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らの下りでのアタックは決まらず、約30名に人数を増やしたメイン集団が先頭ヤンセファンレンズバーグとウェーニングを追いかける。集団スプリントに持ち込みたいBMCレーシングの猛然とした追走により、先頭2名は残り2kmで吸収された。

すると、ヤンセファンレンズバーグに先行させていたディメンションデータのトレインが発進する。パウエルス、クドゥス、ハース、ボアッソンハーゲンが連なって先頭に出て残り1kmマーク。グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が対抗したものの、好位置からスプリントを開始したボアッソンハーゲンに敵う者はいなかった。

「ジャック・ヤンセファンレンズバーグが逃げに乗っていたので、追走に力を使う必要がない理想的な展開だった。ジャックのおかげで集団内の位置取りだけに集中して、エネルギーを温存することが出来たんだ。ジャックが捕まってからは、セルジュ・パウエルス、メルハウィ・クドゥス、そしてネイサン・ハースがリードアウトを開始。自分の役目はただ単に残り200mからスプリントするだけだった。素晴らしいチームワークの末にステージ2勝目を掴んだことを誇らしく思う」と、今大会2勝目を飾り、ポイント賞トップに返り咲いたボアッソンハーゲン。好調なノルウェーチャンピオンは総合でもクライマーに混ざって6位につけている。

「ライバルたちのアタックにチーム全体で反応して封印。とてもナーバスな展開だったけど、チームメイトのおかげで乗り切ることが出来た」と語るのは、総合リードを守ったニーバリ。翌日はスプリンター向きの平坦コースが設定されており、ニーバリがツアー・オブ・オマーン制覇に王手をかけた。

選手コメントはチーム公式サイトより。



小集団スプリントで圧勝したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)小集団スプリントで圧勝したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele
ステージ2勝目を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)ステージ2勝目を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele




ツアー・オブ・オマーン2016第5ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)  3h05’32”
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 マルコ・カーノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
4位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
6位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ストルティングサービス)
7位 スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)
8位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)
9位 マルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
10位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)

個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            19h24’07”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)              +15”
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)                 +24”
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)            +40”
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)                 +54”
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)    +1’06”
7位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)             +1’31”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)       +1’38”
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)          +1’41”
10位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)   +1’59”

ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

ヤングライダー賞
1位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)

総合敢闘賞
1位 ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)

チーム総合成績
1位 ディメンションデータ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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