シュレク兄弟(ルクセンブルク)の欠場によって戦力ダウンが懸念されていたサクソバンクが、ジャパンカップの暫定スタートリストを発表した。熱いファイターのフォイクト(ドイツ)や世界選手権個人TT銀メダルのラーション(スウェーデン)、そしてツールでステージ優勝を飾ったセレンセン(デンマーク)らが揃う。

イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoジャパンカップの公式サイトが伝えたところによると、サクソバンクはイェンス・フォイクト(ドイツ)とグスタフエリック・ラーション(スウェーデン)を中心にした布陣で闘いを挑む。

シュレク兄弟の欠場により大きな戦力ダウンが予想されたが、その埋め合わせとして豪華な選手を揃えてきた。ラッセ・ボックマン(デンマーク)を除く4名全員が今年のツール出場メンバーだ。

グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク) photo:Cor Vos先月38歳の誕生日を迎えたフォイクトは、言わずと知れたプロトン内の選手会長。プロ生活13年の間に12回ツール・ド・フランスに出場し、マイヨジョーヌを2回着用した。チームTTを含めると3回ステージ優勝を果たしている。

昨年ジロ・デ・イタリアでステージ初優勝。クリテリウム・アンテルナシオナルでは史上最多となる5回の総合優勝。さらにツール・ド・ポローニュやドイツツアーでも総合優勝経験がある。一度スイッチが入ると止まらない熱い走りが持ち味で、グランツールではエースをアシストしながら果敢に逃げを打つスタイルを確立した。

ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)ニキ・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) photo:Cor Vos今年はパリ〜ニース総合6位クリテリウム・アンテルナシオナル総合優勝で上々のシーズンを送っていたが、ツール・ド・フランス第16ステージプティ・サンベルナール峠のハイスピードな下りで派手に落車してリタイア。ほお骨の骨折と脳しんとうを負ったが、大事には至らずに9月にレースに復帰している。コンディションに疑問が残るためジャパンカップの優勝候補には挙がらないが、チーム内の注目度はナンバーワンだ。

ラーションは身長194cm・体重77kgの大柄なTTスペシャリストで、ロード世界選手権個人TTでチームメイトのカンチェラーラに次いで銀メダルを獲得したばかり。昨年の北京五輪でもカンチェラーラに次いで銀メダルに輝いた。スウェーデンのTTチャンピオンには2回輝いている。

クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) photo:Makoto Ayano山岳でも大崩れしない登坂力の持ち主でもあり、昨年のジロ・デ・イタリアで総合14位。今年のツアー・オブ・ミズーリで総合2位に入った。おそらく今大会最も身長が高い選手だ。

そして、デンマークからは2人のセレンセンが来日予定。ベテランのニキ・セレンセンはツール第12ステージで逃げ切り勝利を飾ったことが記憶に新しい。2003年と2008年にデンマークナショナルチャンピオンに輝いており、7回目のツール出場で初の栄冠。2005年のブエルタでは山岳ステージで逃げ切り勝利を飾っている。グランツールで総合20〜30位の成績を残す実力者だ。

若手のクリスアンケル・セレンセンは、身長185cm・体重64kgというスペックからも分かるように、上りを得意とする生粋の山岳スペシャリスト。チームCSC(現サクソバンク)に合流した2007年にドイツツアーで総合6位に入り、ブエルタ・ア・エスパーニャではサストレ(総合2位)をアシストしながら総合19位。昨年ブレイクし、ドーフィネ・リベレ第6ステージの頂上ゴールを華麗な逃げ切りで制してプロ初勝利、北京五輪ロードレース12位、ロード世界選手権13位。今年のツールは総合34位だった。

もう一人のデンマーク人ラッセ・ボックマンは、昨年チームに合流した若手で、主立った成績は今年のバイエルン・ルントファート総合4位ぐらい。まだプロレースでの勝利数はゼロだ。

サクソバンク暫定スタートリスト
イェンス・フォイクト(ドイツ)
グスタフエリック・ラーション(スウェーデン)
ニキ・セレンセン(デンマーク)
クリスアンケル・セレンセン(デンマーク)
ラッセ・ボックマン(デンマーク)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano