1月30・31日の2日間、ベルギー・ゾルダーでシクロクロス世界選手権が開催する。エリート男子はオランダVSベルギーの様相。日本からは竹之内悠ら6人が出場。土曜の天気予報は降水確率95%で、過酷なレースになること間違いない。



大勢の観客が詰めかけたコースを選手が駆け抜ける(2014世界選手権より )大勢の観客が詰めかけたコースを選手が駆け抜ける(2014世界選手権より ) photo:CorVos
CX大国ベルギー勢とオランダの強者が中心となってレースが動くだろうCX大国ベルギー勢とオランダの強者が中心となってレースが動くだろう photo:CorVosアルカンシエルを決める大一番、シクロクロス世界戦の舞台となるのはベルギー・フランダース東部のリンブルフ州ヒュースデン=ゾルダー近郊、テラーメンの森に設営されている起伏に富んだサーキットだ。CXワールドカップの常連開催地であるためコースとしてはもはやお馴染み、別名「テラーメン・サーキット」は王者を選別するにふさわしい格式あるコースだ。

20歳の若さで2015CX世界選エリート男子を制したマテュー・ファンデルポール(オランダ)20歳の若さで2015CX世界選エリート男子を制したマテュー・ファンデルポール(オランダ) photo:CorVosそして心配されるのが天候だ。現地の天気予報では土曜日が降水確率95%で、大量の雨が降りそうだ。土曜日も50%の確率で、コースがウェットになることはもはや避けられない。シクロクロスファンを歓喜させる過酷なコンディションとなること間違いない。

絶対優勝候補はオランダの21歳マテュー・ファンデルポール

ベルギー選手権に優勝したワウト・ファンアールトベルギー選手権に優勝したワウト・ファンアールト photo:Tim de Waeleエリート男子の絶対優勝候補はオランダのマテュー・ファンデルポールだ。昨年は膝の不調を抱えていたが、12月に復調してからのここまでのUCIレースには5勝。先週のワールドカップ・ホーへルハイデ大会でも圧倒的な強さを見せて独走優勝を飾った。

ケヴィン・パウエルス(ベルギー)は3位でフィニッシュケヴィン・パウエルス(ベルギー)は3位でフィニッシュ photo:Tim de Waele若干21歳、U23で走る年齢の若者は、昨年のチェコ・ターボル世界選のエリートの覇者である。今年も圧倒的な強さでエリートでの連覇がもっとも有力視されている。悪天候となっても、ファンデルポールの泥への適性は先週のホーヘルハイデで実証済みだ。

引退前に再びアルカンシェルが欲しいスヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク) 引退前に再びアルカンシェルが欲しいスヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク)  photo:Tim de Waele第2の優勝候補は同じく21歳のワウト・ファンアールト(ベルギー) だ。すでに今季17勝を挙げ、ワールドカップのシリーズチャンピオンとなっている。ラスベガス、Bポストバンクトロフィー、スーパープレスティージュシリーズに勝利。12月のファンデルポール復調までは勝ち続けた。「ミニ世界選」と形容されるベルギー選手権でナショナルチャンピオンにも輝いている。

ベルギーにはファンアールトだけでない、誰が勝ってもおかしくない層の厚い選手ラインアップを誇る。ケヴィン・パウエルスはゾルダーのようなアップダウンに富む地形で力を発揮するタイプで、フリーな立場を任されている。木曜の試走でもかなりの好調さを見せつけていた。

トム・メーウセン、ローレンス・スウィーク、マイケル・ファントーレンハウト、ティム・メルリエなど、ときにアシストにも回るサブエース級選手が揃う。そしてベルギー勢のなかで格別な声援を受けるであろうのがスヴェン・ネイスだ。今季で引退を表明しているレジェンドは、最後の世界選で勝利を飾りたいだろう。しかし最近は精彩を欠いている感が否めない。

ラルス・ファンデルハール(オランダ)はゾルダーを得意とするラルス・ファンデルハール(オランダ)はゾルダーを得意とする photo:Tim de Waeleオランダもファンデルポールだけではない。このゾルダーに完璧にフィットしたフィジカル&タクティクスを持つのがラルス・ファンデルハールだ。小柄で俊敏なファンデルハールは過去にゾルダー勝利を重ねてきた。金曜日の試走でも誰よりも速く、完全な体調をもって臨んでいるのは確かだ。

そしてアスタナのラルス・ボームが出場する。ボームは2008年のイタリア・トレヴィーゾでのCX世界選手権の王者。前回のCXワールドカップでは走れていなかったが、今はどれだけ復調しているか?。果たしてロードトレーニングの一環なのか、それとも2度めのアルカンシェルを狙うのか、未知数だ。2014年世界選を制したゼネク・スティバル(チェコ)のように、「ロードからの出戻り優勝」の前例はある。


女子エリート 2強不在でベルギーのサンヌ・カントに期待が集まる

2015年世界選手権 女子エリートがスタートを切る2015年世界選手権 女子エリートがスタートを切る photo:CorVos昨年覇者のポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)は不出場。マリアンヌ・フォス(オランダ)も不出場。その女子エリートの中で優勝候補とされるのがサンヌ・カント(ベルギー)だ。カントは昨年のCX世界選でフェランプレヴォにスプリントで敗れ、苦汁をなめた。今季はベルギーチャンピオンとこのゾルダーでのW杯の勝利を含め3勝している。

シクロクロス世界選手権2015エリート女子表彰台 左がサンヌ・カント(ベルギー)シクロクロス世界選手権2015エリート女子表彰台 左がサンヌ・カント(ベルギー) photo:CorVosエレン・ヴァンロイ(ベルギー)、そしてシクロクロス東京の2014年覇者ケイティ・コンプトン(アメリカ)、エヴァ・レヒナー(イタリア)らも優勝候補だ。

日本人選手は以下のカテゴリーに出場する。それそれの目標順位や抱負は先に掲載したこちらの記事を参照して欲しい。

各カテゴリーの現地スタート時間と日本人出場選手

30日
11:00 男子ジュニア 織田聖(Above Bike Store Cycle Club)
13:00 女子U23 坂口聖香(パナソニックレディース)
15:00 女子エリート 興那嶺恵理(FORZA・YONEX)

31日
11:00 男子U23 沢田時(ブリヂストンアンカー)
15:00 男子エリート 竹之内悠(Toyo Frame)、小坂光(宇都宮ブリツェン シクロクロスチーム)



text:Makoto.AYANO in Huesden-Zolder, BELGIUM
photo:CorVos, Tim De Waele