ついに迎えたツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)最終日、大会最難関の山岳ステージ。2日連続でエスケープを試みたフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)が、今度こそ逃げを成功させた。そしてリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)が3年連続の総合優勝を決めた。

雪が残る超級山岳パロマル・マウンテンを進む雪が残る超級山岳パロマル・マウンテンを進む photo:Cor Vosカリフォルニアは最終日が最難関。今大会のクイーンステージは、ランチョベルナルドからエスコンディードまでの155kmで行なわれた。計4つの山岳ポイントが設定されており、中盤には超級山岳パロマル・マウンテン(長さ19km・高低差1280m)が登場する。

レースは1つ目の山岳ポイントからアタックがかかり、山岳賞ジャージを守りたいジェイソン・マッカートニー(アメリカ、サクソバンク)がポイントを加算。これにアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)やベン・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)が加わり、逃げグループを形成して超級山岳へと向かった。

超級山岳パロマル・マウンテンを上るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)超級山岳パロマル・マウンテンを上るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) photo:Cor Vos今大会唯一の超級山岳パロマル・マウンテンは、平均勾配7%の長い長い上りだ。21のスイッチバックが連続するこの上りで、メイン集団では総合3位のマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)がペースアップ。頂上まで5kmを残してのこの動きには、リーダージャージのライプハイマーを始めとする総合上位陣が続き、まもなく先頭グループを捉えた。

このライプハイマーグループは、Aシュレクがハイペースで引き続け、アスタナがコントロールする追走集団を約1分引き離してパロマル・マウンテンをクリア。総合リーダーは今大会初めて孤立無援状態に陥ったが、落ち着いてライバルたちの動きを封じ込めた。

超級山岳パロマル・マウンテンでメイン集団を引くケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)超級山岳パロマル・マウンテンでメイン集団を引くケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vosやがて長い下りで先頭グループからFシュレク(総合4分09秒遅れ)がアタックし、これにニーバリ(総合2分21秒遅れ)が合流。取り残されたライプハイマーグループはメイン集団に飲み込まれた。

メイン集団からカウンターアタックで飛び出したグレン・チャドウィック(ニュージーランド、ロックレーシング)とバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)の2名が先頭に合流し、先頭は4名でレース後半に突入していく。平均勾配8%の4級山岳コール・グレードの上りが始まると、先頭は再びFシュレクとニーバリに絞られた。

最終ステージを制したフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)最終ステージを制したフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vos30名ほどに縮小していたメイン集団は、アスタナがコントロール役を担い、Fシュレクとニーバリが約1分のリードを得て逃げる展開。ゴールまで20kmを切ると、ステージ優勝に興味を示したクイックステップやチームコロンビア、ガーミンが集団牽引を開始したが、時すでに遅し。Fシュレクとニーバリの2人は、ラスト10kmで1分のリード。2人の逃げ切りが決まった。

総合ジャンプアップを狙うニーバリが前を引き続けたため、最終ストレートで仕掛けたFシュレクが悠々と両手を挙げてゴール。39秒遅れでやってきたメイン集団の先頭は、ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)がスプリントで競り勝って3位に。リーダージャージのライプハイマーも集団内で安全にゴールした。

総合7位のランス・アームストロングと総合優勝のリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)総合7位のランス・アームストロングと総合優勝のリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) photo:Cor Vos]前日に逃げながらもステージ優勝を逃していたFシュレクが、今度こそエスケープを成功させた。サクソバンクは初日のプロローグに続く2勝目。シュレク兄弟は総合で遅れたが、代わりにフォイクトが総合4位に入った。

そしてライプハイマーの3年連続総合優勝が決定。ライプハイマーは第2ステージの逃げ切りで総合トップに立ち、ソルバング個人TTでリードを広げ、山岳ステージで遅れない王者の走りで3度目の栄冠に輝いた。強力なアシスト力でライプハイマーを支えたアスタナはチーム総合成績トップ。アシストに徹したランス・アームストロング(アメリカ)は総合7位でレースを終えた。

各賞ジャージ受賞者たち、左から新人賞ヘーシンク、山岳賞マッカートニー、総合優勝ライプハイマー、スプリント賞カヴェンディッシュ各賞ジャージ受賞者たち、左から新人賞ヘーシンク、山岳賞マッカートニー、総合優勝ライプハイマー、スプリント賞カヴェンディッシュ photo:Cor Vosステージ優勝より総合成績を優先したニーバリは、総合10位から6位にジャンプアップ。ニーバリは途中リタイアしたイヴァン・バッソ(イタリア)の代役エースとしてのミッションを完遂した。新人賞ジャージは3年連続でロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が獲得している。

アームストロング出場の影響もあり、大会期間中の観客数は過去最高の200万人を記録。第4回ツアー・オブ・カリフォルニアは大成功のうちに幕を閉じた。

ツアー・オブ・カリフォルニア2009第8ステージ結果
1位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)3h48'40"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
3位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)+39"
4位 ローリー・スーザーランド(オーストラリア、OUCHマキシス)
5位 グリシャ・ニアマン(ドイツ、ラボバンク)
6位 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)
7位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、アスタナ)
8位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)
9位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)
10位 ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)

個人総合成績
1位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)31h28'21"
2位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+36"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+46"
4位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)+1'10"
5位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)+1'29"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+1'35"
7位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+1'46"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+1'54"
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン)+2'24"
10位 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)+2'48"

山岳賞
ジェイソン・マッカートニー(アメリカ、サクソバンク)

スプリント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)

新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
アスタナ

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