9月20日から27日までの8日間にわたって、アメリカ・バージニア州リッチモンドでUCIロード世界選手権が開催される。コースは難易度が低いものの石畳坂が登場。日本から14名が出場する「世界一決定戦」のコースをチェックしておこう。



コーナーが連続するリビーヒルパークの登りコーナーが連続するリビーヒルパークの登り photo:Kei Tsuji


舞台はリッチモンド市内の高低差103m周回コース

ロードレースで使用される周回コースロードレースで使用される周回コース image:richmond2015.comUCIロード世界選手権が久々にアメリカに上陸。1986年のアメリカ・コロラドスプリングス大会(モレーノ・アルジェンティン優勝)以来、実に29年ぶりに世界選手権がアメリカで開催される。北米としては2003年のカナダ・ハミルトン大会(イゴール・アスタルロア優勝)以来12年ぶりとなる。

23番通りの頂上近くから眺めるリッチモンド全景23番通りの頂上近くから眺めるリッチモンド全景 photo:Kei Tsujiリッチモンドはアメリカ東海岸に位置するバージニア州の州都(都市圏人口123万人)。アメリカ合衆国の首都ワシントンDCから車で南に2時間の位置にあり、1994年にさいたま市(当時浦和市)と姉妹都市提携を結んでいる。

イーストブロード通りに引かれたフィニッシュラインイーストブロード通りに引かれたフィニッシュライン photo:Kei Tsuji東部標準時のサマータイム中であるため、日本とは13時間の時差がある(日本が13時間進んでいる)。例えば9月27日のエリート男子ロードレースは現地時間9時にスタートし、15時〜15時半にフィニッシュ予定。日本時間の同日22時にスタートし、翌28日の4時〜4時半にフィニッシュする。

リビーヒルパークの麓から頂上を見上げるリビーヒルパークの麓から頂上を見上げる photo:Kei Tsujiジュニア男女、U23男子、エリート男女それぞれのロードレースとタイムトライアル、そしてチームタイムトライアル男女はいずれもリッチモンド市内でフィニッシュを迎える。どのコースも標高は0mから50mまでに限定されており、細かいアップダウンはあるものの登坂距離が1kmを超えるような登りは登場しない。

石畳が敷かれたリビーヒルパークの登り石畳が敷かれたリビーヒルパークの登り photo:Kei Tsujiロードレースの周回コースはリッチモンド中心部のイーストブロード通りを発着する。まずは平坦基調の市内を西に向かい、南北戦争の英雄たちを祀る記念碑が立ち並ぶモニュメントアヴェニューでUターン。再び市内を抜けてジェームズ川沿いを走り、周回後半のアップダウン区間に向かう。

残り4kmを切ってから平坦な直線路を右に鋭く曲がってリビーヒルパークに突入する。ここで道幅は細くなるとともに路面は石畳に変わり、距離215mで高低差20mを駆け上がる。つまり平均勾配は8%。大会一番の観戦スポットになるこのリビーヒルパークの頂上からフィニッシュまで約3.5kmだ。

直角コーナーを含む急勾配の下りを終えると、今度は23番通りの登りが登場。最大勾配が13%に達する長さ185mの狭い石畳坂を直登すると再びダウンヒル。残り1kmアーチを経て距離295m・平均勾配7%の登りが始まり、最終コーナーを曲がって残り700mは平坦な直線路。道幅のあるイーストブロード通りでフィニッシュを迎える。

長さ16.2kmの周回コース1周につき103m登るため、合計15周(+リッチモンド大学から周回コースまでの18.1km)・261.4kmを走るエリート男子の獲得標高差は約1,600m。数字だけを見ると、獲得標高差が4,000〜5,000mに達する例年よりもずっと少ない。

しかしレースを厳しくするのはコースではなく選手たちだ。勝負を左右するポイントとなるのはリビーヒルパークと23番通りの登り。いずれも登坂距離が短いため決定的なリードを稼ぎ出すのは難しいが、道の狭さから集団前方のポジション取りが欠かせない。

アップダウン区間手前、つまり残り4kmまでのポジション争いは熾烈を極めるはず。多くのスプリンターが勝負に残ると予想されているコースだけに、アタックで活路を見出す国とスプリンター体制で挑む国による攻防は例年以上に複雑なものになるだろう。

大会期間中は概ね好天が予想されており、気温は最高25度〜最低14度ほど。開幕前日の9月19日は澄み切った青い空が広がっている。



ロードレース周回コース高低図ロードレース周回コース高低図 image:richmond2015.com
石畳が敷かれたリビーヒルパークの登り石畳が敷かれたリビーヒルパークの登り photo:Kei Tsuji
最大勾配13%に達する23番通り最大勾配13%に達する23番通り photo:Kei Tsuji最大勾配13%に達する23番通り最大勾配13%に達する23番通り photo:Kei Tsuji


UCIロード世界選手権2015スケジュール(出場する日本人選手)
9月20日(日)11:30〜 エリート女子チームタイムトライアル 38.6km
       13:30〜 エリート男子チームタイムトライアル 38.6km
9月21日(月)10:00〜 ジュニア女子タイムトライアル 15km(梶原)
       11:30〜 U23男子タイムトライアル 30km(小石・岡)
9月22日(火)9:30〜 ジュニア男子タイムトライアル 30km(沢田・石上)
       13:30〜 エリート女子タイムトライアル 30km(與那嶺)
9月23日(水)13:00〜 エリート男子タイムトライアル 53km

9月24日(木)10:00〜 ロードレース周回トレーニング

9月25日(金)10:00〜 ジュニア女子ロードレース 64.9km(梶原)
       12:45〜 U23男子ロードレース 162.2km(小石・岡・小橋・面手・徳田)
9月26日(土)9:00〜 ジュニア男子ロードレース 129.8km(沢田・石上・小野・渡邉)
       13:00〜 エリート女子ロードレース 129.8km(與那嶺)
9月27日(日)9:00〜 エリート男子ロードレース 261.4km(新城・別府・内間)



text:Kei Tsuji in Richmond, USA