ツール・ド・北海道第1ステージはラスト12kmから主導権を握ったNIPPOヴィーニファンティーニが圧倒。フィニッシュまで1.5km地点でアタックしたリカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が1秒差で逃げ切り勝利。




リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が集団を抑えて優勝リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が集団を抑えて優勝 photo:Hideaki TAKAGI
ツール・ド・北海道(UCI2.2)第1ステージが9月11日(金)、旭川市からスタートした。この第1ステージはきつい上りはなく小規模のKOMが2箇所、ホットスポットが2箇所。ラスト30kmから断続的に小さな上りが配される。折からの台風関係の風が吹いて風向きも影響する。

3人の逃げが12分以上の差をつける

3日間550kmのレースが始まる3日間550kmのレースが始まる photo:Hideaki TAKAGI正式スタート1km後に集団落車、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)は負傷しその後にリタイア正式スタート1km後に集団落車、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)は負傷しその後にリタイア photo:Satoru KATO正式スタート直後に集団前方で落車が発生し阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が負傷し、その後も走るがリタイアすることになってしまう。アタック合戦の末にジャコモ・ベルラート(NIPPOヴィーニファンティーニ)が先行、これに佐野淳哉(那須ブラーゼン)とマシュー・ゼノヴィッチ(CCT p/b チャンピオンシステム)が合流し3人で逃げる。メイン集団からはその後に倉林巧和(群馬グリフィン)と木村圭佑(シマノレーシング)が追走に出るが、30kmほど逃げて吸収された。

メイン集団のペースは落ち、最大で12分半まで広がる。北海道では異例の開き方だ。1つ目のHSはマシュー・ゼノヴィッチ(CCT p/b チャンピオンシステム)が1位通過し、ふたたび3人で先頭を逃げ続ける。メイン集団もこれ以上タイム差を開かせないよう、各チーム一人ずつが先頭に出てペースを徐々に上げる。協力するのは宇都宮ブリッツェン、キナンサイクリングチーム、ブリヂストンアンカー、マトリックスパワータグ、愛三工業レーシングチーム、鹿屋体育大学。このため差は縮まっていった。
逃げ続ける先頭3人逃げ続ける先頭3人 photo:Hideaki TAKAGI62km地点のメイン集団62km地点のメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI岩尾内湖を通る先頭3人岩尾内湖を通る先頭3人 photo:Satoru KATO
ラスト11kmで逃げを吸収、攻撃の主役はNIPPO

2回目のKOMあたりで差は6分と縮まり、逃げも佐野とベルラートの2名に。フィニッシュまで50kmほどとなってからメイン集団の牽引にバジェットフォークリフトとチーム右京も加わり追撃を強める。愛別町内を過ぎてからのラスト30kmには小さい上りが4箇所あり、ペースを上げるメイン集団はそのたびに人数を減らしていく。そしてラスト11kmの3つ目上り頂上手前でベルラートが、さらに先頭を走っていた佐野がメイン集団に吸収され集団はひとつに。このペースアップで集団は30人ほどに絞られた。

カウンターでNIPPOやブリヂストンアンカー、キナンサイクリングチームらがアタックするが決まらない。ここから単独で交互に攻撃を仕掛けたのはNIPPO。ラスト9km、ユーリ・フィロージ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアタック。そしてラスト6km、ダニエーレ・コッリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアタックしそれぞれ1~2kmを逃げる。ラスト3km最後の上りで山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアタック。雨澤毅明(那須ブラーゼン)もアタックし、山本も粘りを見せた。

ラスト1.5kmで抜け出したスタキオッティが勝利

最後の下りで山本、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、井上和郎(ブリヂストンアンカー)の3人が先行するが、バジェットフォークリフトが吸収する。ラスト1.5kmのコーナーでふたたび山本がアタック、さらにリカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が抜け出し集団との差を開ける。

ラスト1kmの直線に入りスタキオッティをミッチェル・ムルハーン(バジェットフォークリフト)がスコット・サンダーランドを引き連れ追いかけたものの、スタキオッティが逃げ切る。2位にはサンダーランドが、3位には先行していた窪木一茂(チーム右京)をフィニッシュライン手前でかわしたセッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム)が入った。
140km地点、バジェットフォークリフトとチーム右京が先頭交代に加わる140km地点、バジェットフォークリフトとチーム右京が先頭交代に加わる photo:Hideaki TAKAGI155km地点、逃げ続ける佐野淳哉(那須ブラーゼン)とジャコモ・ベルラート(NIPPOヴィーニファンティーニ)155km地点、逃げ続ける佐野淳哉(那須ブラーゼン)とジャコモ・ベルラート(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Hideaki TAKAGIラスト11km、NIPPOヴィーニファンティーニを中心に攻撃がかかり集団が割れるラスト11km、NIPPOヴィーニファンティーニを中心に攻撃がかかり集団が割れる photo:Hideaki TAKAGIラスト3km、雨澤毅明(那須ブラーゼン)のアタックに山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)が反応するラスト3km、雨澤毅明(那須ブラーゼン)のアタックに山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)が反応する photo:Hideaki TAKAGI
佐野らの160km以上にわたる逃げは強力だった。だが「自分も含めて3人は本気の逃げでしたがほとんど向かい風に感じました」と語るように追い風の区間がなかったことが逃げ切りできなかった理由のひとつ。また下馬評でスピード随一とされたバジェットフォークリフトは、終盤の攻防で2人の世界チャンピオンだけしか残れず、スタキオッティがアタックしたあとの1.5kmを追うには少なすぎた。だがチームパーシュート世界チャンピオンが引いてチームスプリント世界チャンピオンが集団のトップを取ったスピードは、やはり今大会の参加チームの中では群を抜く。

翌第2ステージは十勝岳を巡る起伏に富んだ山岳ステージ。雨がちの天候もあいまって総合の行方はまだ混沌としている。

各選手、監督のコメント

NIPPOヴィーニファンティーニ 大門宏監督
逃げと12分も開くとは思わなかったですね。バジェットなど他チームにはスプリントの得意な選手たちもいるから、できれば抜け出すことを考えていたので今日の走りは上出来です。今日勝ったスタキオッティは上りが得意なほうではないので、チームとしては総合を考えるよりもまず個人で勝つことを重ねたいと考えます。

1位 リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
今日のステージは自分に向いているコースで、チームメイトが逃げに乗ってくれたおかげで足を温存出来た事もあって勝てた。
北海道は昨年も来ているけれど、景色がきれいですばらしい。8歳の時から自転車を始めてアマチュアで3勝し、昨年からニッポに加入してプロ2年目。昨年未勝利で、これがプロ初優勝。

2位 スコット・サンダーランド(バジェットフォークリフト)
日本は3度目で競輪に出場したことがある。ツール・ド・北海道は初めて。北海道は自然がきれいで良いとこだ。トラック競技(チームスプリント)で2012年に世界チャンピオンになり、ロンドンオリンピックに出場している。今日は早い時間に発生した逃げのペースが速かったので驚いた。最後のスプリントは良い位置にいて運良く2位に入れた。
ラスト350m、リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が先行、ミッチェル・ムルハーン(バジェットフォークリフト)が後続先頭ラスト350m、リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が先行、ミッチェル・ムルハーン(バジェットフォークリフト)が後続先頭 photo:Hideaki TAKAGI第1ステージ表彰第1ステージ表彰 photo:Hideaki TAKAGIステージ優勝のリカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がリーダーにステージ優勝のリカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がリーダーに photo:Hideaki TAKAGI
3位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム)
チームとしては逃げに1人入れたのが大きかった。最後は30人ほどのスプリントになって、強いスプリンターもいたけれど運よく3位に入れた。明日は出来れば少ない人数でのスプリント勝負に持ち込みたいけれど、厳しい登りで生き残れるかが問題。ベルギー出身の20歳。チャンピオンシステムに入ったばかりでツール・ド・北海道に出場する機会を得られて嬉しい。

山岳賞 ジャコモ・ベルラート(NIPPOヴィーニファンティーニ)
前半から攻撃していくつもりだったので、うまく逃げが決まって山岳賞が獲れて、最後はリカルドが勝ってくれたので最高な1日だった。山岳賞とリーダージャージを3日間守っていければと思う。
自転車を初めて16年になる。イタリアでジュニアの世界選手権代表になった事がある。アマチュアで6勝して、今年プロ1年目。ジロ・デ・イタリアに出場した。

結果

第1ステージ 182.7km
1位 リカルド・スタキオティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)4時間26分25秒
2位 スコット・サンダーランド(チームバジェット・フォークリフト)+01秒
3位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム))
4位 窪木一茂(チーム右京)
5位 ユーリ・フィロージ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)
6位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)
7位 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)
8位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
9位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)

個人総合成績 第1ステージ終了時点
1位 リカルド・スタキオティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ) 4時間26分15秒
2位 スコット・サンダーランド(チームバジェット・フォークリフト)+05秒
3位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム)) +07秒
4位 佐野淳哉(那須ブラーゼン) +07秒
5位 窪木一茂(チーム右京) +11秒
6位 ユーリ・フィロージ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)
7位 ダニエレ・コッリ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)
8位 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
10位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)


個人総合ポイント賞 第1ステージ終了時点
1位 リカルド・スタキオティ(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)25点
2位 スコット・サンダーランド(チームバジェット・フォークリフト)20点
3位 セッペ・ヴェルスヒュレ(CCT p/b チャンピオンシステム)16点

個人総合山岳賞 第1ステージ終了時点
1位 ジャコモ・ベルラート(NIPPO-ヴィーニファンティーニ)12点
2位 佐野淳哉(那須ブラーゼン)8点
3位 マシュー・ゼノヴィッチ(CCT p/b チャンピオンシステム) 5点

チーム総合順位 第1ステージ終了時点
1位 NIPPO-ヴィーニファンティーニ 13時間19分17秒
2位 マトリックスパワータグ +1秒
3位 チーム右京 +1秒


photo&text:Hideaki TAKAGI、Satoru KATO

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