8つの1級山岳と山頂フィニッシュが設定されたツール・ド・ポローニュ第6ステージでセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)が勝利。首位に立ったエナオモントーヤは総合2位ウリッシと同タイムで最終TTに挑む。



ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)の逃げに観客が沸くミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)の逃げに観客が沸く photo:Tim de Waele


ツール・ド・ポローニュ2015第6ステージツール・ド・ポローニュ2015第6ステージ image:tourdepologne.plツール・ド・ポローニュ第6ステージは名物ブコヴィナ周回コースを巡る全長174kmのクイーンステージ(最難関ステージ)。ブコヴィナを中心にした38.4km周回コースには1級山岳ザブと1級山岳ブコヴィナ(最大勾配22%)が組み込まれている。

メイン集団を牽引するマキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ)メイン集団を牽引するマキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleレースはこの難易度の高い周回コースを4周。つまり登場する1級山岳は8カ所で、加えてフィニッシュ地点ブコヴィナ・タトシャンスカに向かって標高差220mの登りが登場するという厳しいものだ。

独走でフィニッシュするセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)独走でフィニッシュするセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Tim de Waeleこの日はポーランド人選手が序盤からレースを盛り上げた。世界チャンピオンのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)をはじめ、プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)、パウェル・ポルヤンスキー(ポーランド、ティンコフ・サクソ)といった地元出身者が20名の逃げグループに入り、マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)が山岳ポイントを量産することに成功する。

第6ステージのトップスリー、2位ウリッシ、1位エナオモントーヤ、3位クラドック第6ステージのトップスリー、2位ウリッシ、1位エナオモントーヤ、3位クラドック photo:Tim de Waele断続的な山岳のアップダウンでリタイア選手が続出する中、レース後半に入ったところで先頭ではブラム・タンキンク(オランダ、ロットNLユンボ)が独走を開始。遅れてポルヤンスキーとディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)が合流し、そこからローザが独走に持ち込んだものの、最終周回でチームスカイが率いるメイン集団に結局は吸収された。

リーダージャージに袖を通したセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)リーダージャージに袖を通したセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Tim de Waele残り15kmを切り、最後から2つ目の1級山岳ブコヴィナで動いたのはミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)。続けざまにエナオモントーヤがカウンターアタックを仕掛けたがリーダージャージのバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)は食らいついて離れない。

続いて飛び出したローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)にベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)とニエベが合流して頂上をクリア。下りでニエベとヘルマンスが先行してフィニッシュ地点ブコヴィナ・タトシャンスカに向かう登りに突入した。

アスタナ率いるメイン集団が登りでニエベとヘルマンスを懸命に追走し、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)のペースアップによって先頭2名は吸収。するとフィニッシュまで2.5kmを残した急勾配区間でエナオモントーヤがカウンターアタックを成功させ、アルらの追走を振り切ってフィニッシュまで独走した。

ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)やクラドックを8秒、リーダージャージのデクレルクを11秒引き離したエナオモントーヤがステージ優勝を飾るとともに総合首位に。総合2位ウリッシとタイム差0秒で最終日の25km個人タイムトライアルを迎えることとなった。

「もう少し集団が絞り込まれる展開を予想していたが、思ったよりも多くの人数が集団に残った。決して総合において理想的な展開ではないが、明日のタイムトライアルでセルジオは全力を出してくれるはず」と語るのはチームスカイのダリオ・チオーニ監督。「とにかくステージ優勝を飾ることが出来たし、明日はキリエンカにチャンスがある。セルジオとミケルに良い成績を残して欲しい」。

エナオモントーヤはリーダージャージに袖を通したが、総合トップ10まで30秒以内の僅差。ほぼフラットな25kmコースで第72会大会の優勝者が決まる。

選手コメントはチーム公式サイトより。



ツール・ド・ポローニュ2015第6ステージ結果
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)       4h38’27”
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)               +08”
3位 ローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)
4位 クリストフ・リブロン(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
6位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)                   +11”
7位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
8位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)
10位 バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)
83位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)             +30’34”

個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)      25h34’15”
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)              +10”
4位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)          +11”
5位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)                 +14”
6位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                     +17”
8位 クリストフ・リブロン(フランス、AG2Rラモンディアール)           +19”
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)                   +22”
10位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)               +27”

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

山岳賞
マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)

チーム総合成績
ロット・ソウダル

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele