ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)第7ステージは、再び逃げグループによる手に汗握るスプリントバトルに持ち込まれた。山岳で飛び出した10名によるスプリントで、リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)が辛勝。カリフォルニアはいよいよクライマックスを迎える。

スタート地点に現れたランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)に観客が群がるスタート地点に現れたランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)に観客が群がる photo:CorVosサンタクラリタからパサディナまでの143kmで行なわれた第7ステージ。60km地点で標高1495mの3級山岳ミルクリーク・サミットをクリアし、長い下りを経てゴール地点パサディナの7.2km周回コースを5周する。難易度は低いものの周回コースは起伏に富んでおり、この日スプリンターたちは沈黙した。

逃げ切りに有利なコースだけに、レースは序盤から断続的なアタックと吸収の繰り返し。レース開始1時間が経過してもアタック合戦は止まず、3級山岳ミルクリーク・サミットの緩やかな上りの中盤、55km地点でようやく10名の逃げが決まった。

逃げ続けるマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)やアディ・エンヘルス(オランダ、クイックステップ)逃げ続けるマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)やアディ・エンヘルス(オランダ、クイックステップ) photo:CorVos集団から飛び出したのはヒンカピー(チームコロンビア)、ヴァンデヴェルデ(ガーミン)、Fシュレク(サクソバンク)、エンヘルス(クイックステップ)、エルミガー(アージェードゥーゼル)、ノチェンティーニ(アージェードゥーゼル)、ツベルグ(BMCレーシング)、ウェーニング(ラボバンク)、ロールストン(サーヴェロ)、ボールドウィン(ロックレーシング)の10名。総合トップは6分22秒遅れ・19位のシュレク。

3級山岳通過時で2分のリードを得た先頭10名は、メイン集団を引き離しながらダウンヒル。多くのスプリンターチームが逃げに選手を送り込んだため、集団コントロールはアスタナに一任された。

集団コントロールを担うアスタナ、先頭はグレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)集団コントロールを担うアスタナ、先頭はグレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ) photo:CorVos山岳賞ランキングトップを独走していたフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)は、パサディナに向かう長い下りコーナーで落車してしまう。コーナーのイン側に倒れ込んだマンセーボはここでリタイア。山岳賞トップの座はジェイソン・マッカートニー(アメリカ、サクソバンク)に移った。

やがて先頭10名は、メイン集団を4分20秒引き離して周回コースに突入。シュレクの総合タイムを気にするアスタナはペースを保ったが、逃げを捕まえる理由は無かった。

起伏のある周回コース、沿道には大勢の観客が詰めかけた起伏のある周回コース、沿道には大勢の観客が詰めかけた photo:CorVosそしてゴールまで4周回を残してツベルグがアタックすると、いよいよ先頭10名の中でのバトルが勃発する。起伏とコーナーが連続するコースで、アタックが繰り返された。

背番号13を逆さまにつけたシュレクは、4周目の短い上りで力強いアタック。ルクセンブルクチャンピオンジャージを着ての独走は、2006年のアムステル・ゴールドレースを彷彿とさせたが、後続を振り切るには至らなかった。

逃げグループ内で周回コースをこなすヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、サーヴェロ)やマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)逃げグループ内で周回コースをこなすヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、サーヴェロ)やマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル) photo:CorVos再び10名に戻った先頭グループからは、ラスト5kmでウェーニングがアタックを成功させ、ノチェンティーニとロールストンが合流。これが決定的な動きとなり、3名のままラスト1kmアーチを通過した。

スプリントに持ち込みたくないウェーニングのアタックは成功せず、最後はロールストンとノチェンティーニがスプリントで一騎打ち。北京オリンピック個人追い抜き銀メダリスト&団体追い抜き銅メダリストのロールストン有利と思われたが、気迫のスプリントで先頭ゴールを決めたのはノチェンティーニだった。

両手を挙げてゴールに飛び込むリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)両手を挙げてゴールに飛び込むリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル) photo:CorVos昨年のパリ〜ニースで総合2位に入るなど、クライマーとして名を馳せているノチェンティーニだが、見事なスプリントでステージ優勝を勝ち取った。シーズン序盤から好調なのは明らか。3月8日開幕のパリ〜ニース(CWでは初テキストライブ開催!)では、再び総合争いに絡んでくるだろう。

2分19秒遅れでゴールしたメイン集団は、トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)を先頭にゴール。総合上位陣は集団内でゴールしたため、順位に変動は見られなかった。総合争いは翌最終第8ステージで決着する。選手を待ち構えるのは超級山岳パロマル・マウンテンだ。

レース公式サイトより

ツアー・オブ・カリフォルニア2009第7ステージ結果
1位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)3h24'44"
2位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、サーヴェロ)
3位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
4位 マルクス・ツベルグ(スイス、BMCレーシング)+07"
5位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)
6位 クリス・ボールドウィン(アメリカ、ロックレーシング)
7位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)
8位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
9位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)
10位 アディ・エンヘルス(オランダ、クイックステップ)

個人総合成績
1位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)27h39'02"
2位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+36"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+46"
4位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)+1'10"
5位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)+1'29"
6位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+1'46"
7位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+1'54"
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)+1'59"
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ)+2'13"
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+2'21"

山岳賞
ジェイソン・マッカートニー(アメリカ、サクソバンク)

スプリント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)

新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
アスタナ