2015/05/15(金) - 02:42
183kmの平坦コースで行われたジロ・デ・イタリア第6ステージはアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)の手に。最終ストレートで発生した落車にアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が巻き込まれ、左肩を負傷する事態に見舞われました。
温泉保養地のモンテカティーニ・テルメを発ち、トスカーナ州の緩やかな丘陵を楽しみながらプロトンは南下する。中盤にかけて4級山岳を含むアップダウンが登場するがスプリンターにも全く問題のないレベル。万が一脱落しても集団復帰の余地は残されている。何といっても主催者による難易度の格付けは1つ星だ。
1km地点でこの日の逃げの土台が出来る。エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)とマレク・ルトケヴィッチ(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)が先行してエスケープ開始。しかし逃げに選手を送り込みたいキャノンデール・ガーミン率いるメイン集団は引き下がらない。
14km地点のスプリントポイントはグロスとルトケヴィッチの順で通過。その43秒後方ではポイント賞をかけた本格スプリントが繰り広げられ、ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を下したマリアロッサのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が3番手通過した。
スプリントポイント通過後すぐにアラン・マランゴーニ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)とマルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が飛び出すとメイン集団はペースダウン。やがて追走3名は先頭2名に追いつき、NIPPOヴィーニファンティーニを2名含む5名の逃げが形成された。
タイム差は広がりすぎることなく、縮まりすぎることなく、およそ5分前後を維持したままトスカーナの内陸部を行く。ティンコフ・サクソが集団先頭でペースを調整しながらレースは進んだ。
残り35kmのスプリントポイントはバンディエラが先頭通過し、ヴィヴィアーニを下したニッツォロを先頭にメイン集団が3分遅れで通過していく。向かい風&横風が吹く平野部に差し掛かると危険回避のために総合系チームとスプリンターチームが折り重なるように集団先頭へ。
ティンコフ・サクソのペースアップによって縦に長く伸びた集団からは次々と選手が脱落。石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)はこのペースアップに対応できずに脱落。先頭で逃げていた5名も残り14km地点で吸収された。
ティレニア海に面した港町カスティリオーネ・デッラ・ペスカイアが近づくとロット・ソウダルがトレインを発車させる。ベルギーチームがそのまま主導権を他チームに与えることなくスプリントに持ち込んだ。
残り250mで左ラインぎりぎりでスプリント中のダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が観客のカメラと接触して落車。ハイスピードで進むプロトンの中では落車が連鎖的に広がり、地面に投げ出された選手の中にはマリアローザを着るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)の姿も。
落車によって大きく割れた集団先頭ではグライペルがスプリントを開始。マッテーオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)をはじめとするイタリアンスプリンター6人を振り切って、グライペルが力強いガッツポーズを決めた。
「今年のジロは序盤から厳しいステージ続きなので苦しんだけど、目標は変わらずステージ優勝。チームメイトのおかげで勝つことが出来た。朝のミーティングで決めていた通り(残り2.3kmの)最終コーナーを先頭で抜け、アダム・ハンセンが残り1.1kmからリードアウト開始。それを引き継いだグレゴリー・ヘンダーソンが残り600mで発進し、そのまま先頭を守り続けてくれた。まさにチームの勝利だ」。
ほぼ完璧と言えるリードアウトで今大会ステージ1勝目を掴んだグライペルの顔はほころぶ。グライペルは2008年と2010年のジロでそれぞれステージ1勝。これがジロのステージ通算3勝目で、今シーズン4勝目。同時に2ポイント差でマリアロッサをヴィヴィアーニから奪うことに成功している。
落車に巻き込まれたコンタドールはバイクにまたがってフィニッシュし、トップと同タイムの扱いに。総合首位を守ったが、左肩を痛めたため表彰台でマリアローザに袖を通すことは出来なかった。表彰式後すぐに病院に向かったコンタドールには左肩の脱臼や鎖骨へのダメージの可能性が報じられているが、正式な発表は無し。翌日スタートするかどうかは一晩経過を観察してから決定が下される。※その後コンタドールの左肩脱臼が判明している。
現地の様子や日本人選手のコメントなどは現地レポートでお伝えします。
ジロ・デ・イタリア2015第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4h19’42”
2位 マッテーオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)
7位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
8位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)
9位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
47位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
185位 石橋学(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +5’36”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 20h25’36”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +02”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) +20”
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +22”
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) +28”
6位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +37”
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +56”
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +1’01”
9位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ガーミン) +1’15”
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +1’18”
マリアロッサ ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
マリアアッズーラ 山岳賞
ヤン・ポランク(スロベニア、ランプレ・メリダ)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Castiglione della Pescaia, Italy
温泉保養地のモンテカティーニ・テルメを発ち、トスカーナ州の緩やかな丘陵を楽しみながらプロトンは南下する。中盤にかけて4級山岳を含むアップダウンが登場するがスプリンターにも全く問題のないレベル。万が一脱落しても集団復帰の余地は残されている。何といっても主催者による難易度の格付けは1つ星だ。
1km地点でこの日の逃げの土台が出来る。エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)とマレク・ルトケヴィッチ(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)が先行してエスケープ開始。しかし逃げに選手を送り込みたいキャノンデール・ガーミン率いるメイン集団は引き下がらない。
14km地点のスプリントポイントはグロスとルトケヴィッチの順で通過。その43秒後方ではポイント賞をかけた本格スプリントが繰り広げられ、ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を下したマリアロッサのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が3番手通過した。
スプリントポイント通過後すぐにアラン・マランゴーニ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)とマルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が飛び出すとメイン集団はペースダウン。やがて追走3名は先頭2名に追いつき、NIPPOヴィーニファンティーニを2名含む5名の逃げが形成された。
タイム差は広がりすぎることなく、縮まりすぎることなく、およそ5分前後を維持したままトスカーナの内陸部を行く。ティンコフ・サクソが集団先頭でペースを調整しながらレースは進んだ。
残り35kmのスプリントポイントはバンディエラが先頭通過し、ヴィヴィアーニを下したニッツォロを先頭にメイン集団が3分遅れで通過していく。向かい風&横風が吹く平野部に差し掛かると危険回避のために総合系チームとスプリンターチームが折り重なるように集団先頭へ。
ティンコフ・サクソのペースアップによって縦に長く伸びた集団からは次々と選手が脱落。石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)はこのペースアップに対応できずに脱落。先頭で逃げていた5名も残り14km地点で吸収された。
ティレニア海に面した港町カスティリオーネ・デッラ・ペスカイアが近づくとロット・ソウダルがトレインを発車させる。ベルギーチームがそのまま主導権を他チームに与えることなくスプリントに持ち込んだ。
残り250mで左ラインぎりぎりでスプリント中のダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が観客のカメラと接触して落車。ハイスピードで進むプロトンの中では落車が連鎖的に広がり、地面に投げ出された選手の中にはマリアローザを着るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)の姿も。
落車によって大きく割れた集団先頭ではグライペルがスプリントを開始。マッテーオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)をはじめとするイタリアンスプリンター6人を振り切って、グライペルが力強いガッツポーズを決めた。
「今年のジロは序盤から厳しいステージ続きなので苦しんだけど、目標は変わらずステージ優勝。チームメイトのおかげで勝つことが出来た。朝のミーティングで決めていた通り(残り2.3kmの)最終コーナーを先頭で抜け、アダム・ハンセンが残り1.1kmからリードアウト開始。それを引き継いだグレゴリー・ヘンダーソンが残り600mで発進し、そのまま先頭を守り続けてくれた。まさにチームの勝利だ」。
ほぼ完璧と言えるリードアウトで今大会ステージ1勝目を掴んだグライペルの顔はほころぶ。グライペルは2008年と2010年のジロでそれぞれステージ1勝。これがジロのステージ通算3勝目で、今シーズン4勝目。同時に2ポイント差でマリアロッサをヴィヴィアーニから奪うことに成功している。
落車に巻き込まれたコンタドールはバイクにまたがってフィニッシュし、トップと同タイムの扱いに。総合首位を守ったが、左肩を痛めたため表彰台でマリアローザに袖を通すことは出来なかった。表彰式後すぐに病院に向かったコンタドールには左肩の脱臼や鎖骨へのダメージの可能性が報じられているが、正式な発表は無し。翌日スタートするかどうかは一晩経過を観察してから決定が下される。※その後コンタドールの左肩脱臼が判明している。
現地の様子や日本人選手のコメントなどは現地レポートでお伝えします。
ジロ・デ・イタリア2015第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4h19’42”
2位 マッテーオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)
7位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
8位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)
9位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
47位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
185位 石橋学(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +5’36”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 20h25’36”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +02”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) +20”
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +22”
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) +28”
6位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +37”
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +56”
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +1’01”
9位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ガーミン) +1’15”
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +1’18”
マリアロッサ ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
マリアアッズーラ 山岳賞
ヤン・ポランク(スロベニア、ランプレ・メリダ)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Castiglione della Pescaia, Italy
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