クラシックの王様「ロンド・ファン・フラーンデレン」を走ったプロバイクを3回に分けてご紹介。第1弾はカチューシャ、チームスカイ、ランプレ・メリダ、アスタナ、ワンティ・グループグベルト、MTNキュベカ、ボーラ・アルゴン18、ルームポットの8チームをピックアップします。



カチューシャ 【キャニオン AEROAD CF SLX】

アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)のキャニオン AEROAD CF SLXアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)のキャニオン AEROAD CF SLX photo:Makoto.AYANO
カチューシャからは、逃げからのスプリントを制して初のノルウェー人優勝者となったアレクサンダー・クリストフのバイクをピックアップ。これまでバイクはオールラウンドモデルの「ULTIMATE CF SLX」を好んで使用していたが、昨シーズン途中からは新型エアロモデルの「AEROAD CF SLX」にスイッチし、多くのパヴェをこなすロンドでも同モデルを使用。ロンドン五輪銅メダリストを意味するコッパーゴールドをベースに、トップチューブに母国の国旗をあしらったスペシャルペイントが施されている。

コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2で、クランク式パワーメーターのSRMを組み合わせている。ホイールはマヴィックで、モデルはライダーによってまちまちだがリムハイトは40mmで統一。クリストフは軽量ハイエンドモデルのCOSMIC CARBON ULTIMATEをチョイスした。なお、タイヤもマヴィックのサポートながら、実際にはロゴを張り替えたスポンサー外のメーカーのものを使用。トレッドパターンから推察するにヴィットリアやヴェロフレックスといったイタリアンブランドの様だ。

ヴァイキングのイラストが描かれたセライタリア SLRヴァイキングのイラストが描かれたセライタリア SLR photo:Makoto.AYANOトップチューブにはノルウェー国旗があしらわれているトップチューブにはノルウェー国旗があしらわれている photo:Makoto.AYANO

ボトルケージは高いホールド力から北のクラシックではお馴染みのエリート CIUSSIボトルケージは高いホールド力から北のクラシックではお馴染みのエリート CIUSSI photo:Makoto.AYANOホイールはマヴィック。クリストフはCOSMIC CARBON ULTIMATEをチョイスしたホイールはマヴィック。クリストフはCOSMIC CARBON ULTIMATEをチョイスした photo:Makoto.AYANO


ハンドルはステムが一体となったAEROAD CF SLXの専用設計品。ドロップ部のシェイプは現在のところ「コの字型」のみだが、AEROAD CF SLXを使用するライダーは全員が専用設計品を使用している。サドルはセライタリアで、クリストフは座面にヴァイキングが描かれた特別仕様の定番モデル「SLR」を選択。ボトルケージはホールド力の高さで、石畳のレースではお馴染みのエリートCIUSSI GELとしている。



チームスカイ 【ピナレロ DOGMA K8-S】

ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)のピナレロ DOGMA K8-Sブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)のピナレロ DOGMA K8-S photo:Makoto.AYANO
板バネの様に薄く扁平させることで10mmもの変形可能としたチェーンステー板バネの様に薄く扁平させることで10mmもの変形可能としたチェーンステー photo:Makoto.AYANOわずか95gという軽量サスペンションシステム「DSS1.0」わずか95gという軽量サスペンションシステム「DSS1.0」 photo:Makoto.AYANO


チームスカイは、ジャガーとの共同開発によって誕生したピナレロの新型エンデュランスモデル「DOGMA K8-S」をロンドより投入。その特徴はシートステーの軽量サスペンションシステム「DSS1.0」と10mmもの変形量をもつ板バネの様なチェーンステー「FLEXSTAYS」によって快適性を追求したこと。一方でフロント三角及びフォークはオールラウンドモデル「DOGMA F8」を踏襲している。なお、発表当初はブラドレー・ウィギンズ(イギリス)らエースにのみ投入されるとしていたが、実際にはロンドを走った全ライダーが使用していた。

コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2で、リアブレーキはシートステー取付けタイプのダイレクトマウントタイプ。ホイールもDURA-ACEグレードのWH-9000で、リムハイト50mmの「C50-TU」を使用する。タイヤはFMB Paris Roubaixの27mm。ちなみにチームスカイはTTバイクにもFMBのタイヤを使用している。

ハンドル及びステムはPROで、今シーズンもチームカラーのペイントや、1mm刻みで長さが用意されるステムなど、チームスカイ専用品がアッセンブルされている。サドルはフィジークで、ウィギンズは昨季より引き続きパッドが多めに配された特別仕様のARIONEを使用。ボトルケージは定番のエリートCIUSSI GELだ。



ランプレ・メリダ 【メリダ REACTO TEAM、RIDE】

フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO TEAMフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO TEAM photo:Makoto.AYANO
ランプレ・メリダのバイクはもちろんメリダ。ほとんどのライダーが普段からメインバイクとして使用するエアロモデル「REACTO TEAM」を駆った一方、一部ライダーは振動吸収性を高めたエンデュランスモデル「RIDE」を選択。サドルとハンドルの大きな落差が特徴的な写真のバイクはフィリッポ・ポッツァート(イタリア)のマシンだ。

コンポーネントは9070系シマノDUAR-ACE Di2をメインとし、クランクにはローターを組み合わせている。チェーンリングは楕円タイプのQ-Ringsではなく、真円タイプのno-Qが多数を占める。ホイールは昨今珍しいロープロファイルリムのフルクラムRacing Light XLRで統一。重量的にはRacing Speed 35の方が軽量なだけに興味深いアッセンブルではあるが、乗り心地を考慮してのチョイスだと考えられる。

サドルはプロロゴ。表皮に滑り止めを設けたCPCモデルが多くのバイクに装着されていたサドルはプロロゴ。表皮に滑り止めを設けたCPCモデルが多くのバイクに装着されていた photo:Makoto.AYANOフルクラム Racing Light XLRに、コンチネンタル COMPETITION PROLTDを組み合わせるフルクラム Racing Light XLRに、コンチネンタル COMPETITION PROLTDを組み合わせる photo:Makoto.AYANO

ボトルケージはエリート CIUSSIボトルケージはエリート CIUSSI photo:Makoto.AYANOクランクはローター3D+。楕円のQ-Ringsではなく真円のno-Qが多く選択されているクランクはローター3D+。楕円のQ-Ringsではなく真円のno-Qが多く選択されている photo:Makoto.AYANO


タイヤはコンチネンタルのプロ供給用モデル「COMPETITION PROLTD」。製品版との違いはコンパウンドにあり、温度に対して若干グリップが変化するほど柔らかいゴムを使用している。ハンドル及びステムにはチームカラーのFSA。サドルはプロロゴで、表皮に滑り止め素材が配されたCPCモデルが多くのバイクに装着されていた。



アスタナ 【スペシャライズド S-Works Tarmac】

ラース・ボーム(オランダ、アスタナ)のスペシャライズド S-Works Tarmacラース・ボーム(オランダ、アスタナ)のスペシャライズド S-Works Tarmac photo:Makoto.AYANO
タオル地のクッション性が高いバーテープを使用するタオル地のクッション性が高いバーテープを使用する photo:Makoto.AYANOホイールはフレンチブランドのコリマ。FMBのコットンケーシングにスペシャライズドのGriptonコンパウンドを組み合わせた特別仕様のタイヤを装着ホイールはフレンチブランドのコリマ。FMBのコットンケーシングにスペシャライズドのGriptonコンパウンドを組み合わせた特別仕様のタイヤを装着 photo:Makoto.AYANO


昨年のツールの石畳ステージを制したラース・ボーム(オランダ)をエースにロンドを戦ったアスタナのメインバイクは、スペシャライズドのオールラウンドモデル「S-Works Tarmac」。他チームのほとんどが電動タイプのコンポーネントを使用する中で、アスタナは敢えて機械式の新型カンパニョーロSUPERRECORDを選択。スペシャライズドがサポートする3チームの中で唯一、今シーズンも引き続き純正クランク「S-Works FACT carbon」を使用する。

ホイールはプロツアーでアスタナのみが使用するコリマ。タイヤはFMBのコットンケーシングにスペシャライズドのGriptonコンパウンドを組み合わせた26mm幅のスペシャルモデルとしている。ハンドル、ステム、シートポストはFSA。サドルはスペシャライズドで、ボームらはショートデザインの新型モデル「POWER」を選択。ボトルケージはタックスの新たなスタンダードモデルDevaだ。



ワンティ・グループグベルト 【キューブ C68、アルミ製ワンオフバイク】

ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)のキューブ アルミ製ワンオフバイクビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)のキューブ アルミ製ワンオフバイク photo:Makoto.AYANO
市販品としてもラインアップされていないワンオフのアルミバイクに乗るルークマンス市販品としてもラインアップされていないワンオフのアルミバイクに乗るルークマンス photo:Makoto.AYANO無骨なビードが残る溶接部。フォークコラムはアルミ製だ無骨なビードが残る溶接部。フォークコラムはアルミ製だ photo:Makoto.AYANO


地元ベルギーのプロコンチネンタルチームであるワンティ・グループグベルトは今シーズンより、バイクをクォータからジャーマンブランドのキューブへスイッチ。メインバイクは軽量オールラウンドモデルの「C68」だが、ビョルン・ルークマンス(ベルギー)はワンオフと思われるアルミ製バイクを使用した。

このワンオフバイクのシートチューブには「C68」記されているものの、キューブのラインアップには同名のアルミバイクは存在しない。また、同社のエントリー向けアルミバイク「PELOTON」シリーズとも異なり、上下1-1/8インチのヘッドチューブや外出しのシフトワイヤーなど古典的な造りで、フォークに至ってはアルミコラムだ。数年前までは北のクラシックにアルミバイクを投入するライダーやチームもあったが、現在はほぼ100%がカーボンバイク。そんな状況にあって、ルークマンスのチョイスは非常に興味深いところである。

シモーネ・アントニーニ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)のキューブ C68シモーネ・アントニーニ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)のキューブ C68 photo:Makoto.AYANO
コンポーネントは機械式の9000系シマノDURA-ACEで、ホイールはフルクラムRacing Speed XLR 35で統一。タイヤはオランダに居を構えるブレデスタインながら、ルークマンスのみスポンサー外のFMB Paris Roubaix 25mmを使用。その他、ハンドル、ステム、シートポストはFSA、サドルはサンマルコ、ペダルはルック、ボトルケージ及びボトルはタックスとしている。



MTNキュベカ 【サーヴェロ S5、R5】

マシュー・ブラマイヤー(アイルランド、MTNキュベカ)のサーヴェロ S5マシュー・ブラマイヤー(アイルランド、MTNキュベカ)のサーヴェロ S5 photo:Makoto.AYANO
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)ら北のクラシックの有力ライダーを揃えるアフリカ籍のプロコンチネンタルチーム、MTNキュベカ。バイクはカナディアンブランドのサーヴェロで、新型エアロロード「S5」と軽量モデル「R5」をライダーによって使い分ける。

コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2をメインに、クランクはローターとしている。なお、ローターはこれまでとは異なる測定方式のパワーメーター「IN POWER」をMTNキュベカに供給し、シーズン序盤よりテスト中だ。ホイールはアメリカンブランドのエンヴィ。前後でリムの断面形状を変えることによって空力性能を追求した「SMART」シリーズのリムに、 高い定評をもつDTスイス 240Sハブを組み合わせている。

シマノ スポーツカメラCM-1000が装着されていたシマノ スポーツカメラCM-1000が装着されていた photo:Makoto.AYANOホイールはエンヴィ。タイヤは青いケーシングにヤスリ目のトレッドと市販品とは大きく異なるプロトタイプのシュワルベONEホイールはエンヴィ。タイヤは青いケーシングにヤスリ目のトレッドと市販品とは大きく異なるプロトタイプのシュワルベONE photo:Makoto.AYANO


タイヤはシュワルベで、ハイエンドモデル「ONE」のロゴが入っているものの、青いケーシングにヤスリ目のトレッドと市販品とは大きく異なるプロトタイプである。その他ハンドルとステムは3T、サドルはセライタリア、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージ及びボトルはエリートだ。



ボーラ・アルゴン18 【アルゴン18 GALLIUM pro】

クリストフ・プフィングステン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)のアルゴン18 GALLIUM proクリストフ・プフィングステン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)のアルゴン18 GALLIUM pro photo:Makoto.AYANO
クランク式パワーメーターPower2maxのFSA K-Force Lightモデルを使用するクランク式パワーメーターPower2maxのFSA K-Force Lightモデルを使用する photo:Makoto.AYANOボトルケージはタックスの新たなスタンダードモデルDevaボトルケージはタックスの新たなスタンダードモデルDeva photo:Makoto.AYANO


昨季までネットアップ・エンデューラとして活動していたボーラ・アルゴン18は、チーム名の変更と同時にバイクもスイッチ。タイトルスポンサーにもなっているカナディアンブランドのアルゴン18を駆る。ロンドではオールラウンドモデルの「GALLIUM pro」がメインで使用されていた。

アッセンブルでの特徴はFSAのパーツが多く使用されていること。コンポーネントは9070シマノDURA-ACE Di2をメインに、FSA K-Forceブレーキとクランク式パワーメーターPower2maxのFSA K-Force Lightモデルを組み合わせている。そしてホイールもFSAがプロデュースするヴィジョンで、タイヤはヴィットリア。もちろん、ハンドル、ステム、シートポストもFSAで、その他サドルはプロロゴ、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージ及びボトルはタックスとしている。



ルームポッド 【アイザック Element SL】

イーヴァル・スリック(オランダ、ルームポット)のアイザック Element SLイーヴァル・スリック(オランダ、ルームポット)のアイザック Element SL photo:Makoto.AYANO
ライダー全員がオランダ人というオランダ籍のプロコンチネンタルチーム、ルームポット。そのチームバイクは「アイザック(Isaac)」。チームと同じくオランダに居を構え、2001年に創業したばかりという新興ブランドだ。なお、ブランド名は自然科学(物理/数学)学者のアイザック・ニュートンにちなんでいる。ロンドではオールラウンドモデルの「Element SL」で統一した。

コンポーネントはスラムRED22。ホイールもオランダに居を構えるファストフォワードながら、ジップのハンドル、ステム、シートポストを使用。タイヤもオランダブランドのブレデスタイン。その他サドルはセライタリア、ペダルはルック、ボトルケージ及びボトルはタックスだ。



photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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