2015/03/15(日) - 22:19
クアラルンプールのシンボルとも言えるペトロナスツインタワーの前を通過し、スプリンターチーム率いる集団がフィニッシュへ。ライバルチームのトレインを巧みに利用したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)が悠々と4勝目をマークした。
最終日を迎えた第20回ツール・ド・ランカウイ。最終ステージはクアラルンプール郊外をスタートした後、同市中心部の周回コースを走る。ステージレースの最終日は平穏にスプリント争いで決着するのが常だが、この日はボーナスタイムを懸けた動きが序盤から繰り返された。
第7ステージを終えた時点で総合首位ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)のリードは揺るがないものになっていたが、総合2位以下が混戦状態。
エナオゴメス(チームスカイ)、ペリション(ブルターニュ・セシェ)、マンセボ(スカイダイブドバイ)の3人が同じ10秒遅れで、その2秒後方にはアニョーリ(アスタナ)も控える僅差の争い。20km地点の第1スプリントポイントで総合上位の選手たちがバトルを繰り広げた。
総合16位&アジアンライダー賞ジャージの早川朋宏を擁する愛三工業レーシングもこの争いに加わった。何といってもUCIポイント獲得圏内の総合15位とは3秒差であり、ボーナスタイムによってはジャンプアップも十分にあり得る。
第1スプリントポイントを前に早川は綾部勇成らのサポートを受けて集団前方に上がったものの「綾部さんのスピードについていけなかった」と語る。この第1スプリントポイントを先頭通過した総合5位アニョーリは総合2位までジャンプアップ。2番手通過のジェスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)も総合7位から1つ順位を上げることに成功している。
ボーナスタイム争いが一段落すると、ラファ・シティウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)、ブルーノ・ピレス(ポルトガル、ティンコフ・サクソ)、レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)、ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)の4名が先行を開始。丘を越えると、人口720万人のクアラルンプールの街が見えてきた。
レース後半はクアラルンプールの市街地周回コースを5周する。高さ452mのペトロナスツインタワーの前を通過し、高層ビルの間を縫ってムルデカ・スクエア(独立広場)にフィニッシュするレイアウト。まさにクアラルンプールのど真ん中を駆ける。
MTNキュベカとオリカ・グリーンエッジの集団牽引によって、先頭を逃げていた4名のリードは1分を割り込む。中切れで人数を減らしながら集団は高速ペースを刻み、逃げを視界にとらえた状態で最終周回へと入っていく。
残り3kmを切って逃げが吸収されると各スプリンターチームのリードアウトトレインが始動する。残り2kmから愛三工業レーシングが先頭に立ってハイスピード巡行。最終的に主導権を握ったのはサウスイーストで、3名しかレースに残っていないアスタナのグアルディーニは巧みにアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)の番手を取る。
サウスイーストがライバルチームを寄せ付けないままペタッキをスプリントに導くが、残り200mで真っ先にグアルディーニがスプリントを開始。続いてカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も反応し、今大会のスプリントで主役を担っている2人が完全に飛び出した状態に。
イワンはグアルディーニに並ぶことはできず、そのままアスタナジャージが先頭でフィニッシュ。4勝目の喜びを身体いっぱいに表現しながらフィニッシュラインを駆け抜けた。福田真平(愛三工業レーシング)は11位。
「今シーズン5勝目。素晴らしいシーズンスタートを切れている。このフィニッシュのレイアウトは熟知しているので、単独での位置取りでも問題なかった。ライバルチームを利用しながら、残り200mから全開でスプリントした。チームにとっても素晴らしい結果になったよ」と今大会の主役のひとりグアルディーニは語る。ステージ通算18勝という成績を塗り替える選手はしばらく現れないだろう。
集団スプリントに絡んで10位に入ったヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)が総合優勝。イワンがポイント賞、キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が山岳賞、そして早川朋宏がアジアンライダー賞獲得という結果に。レース後の記者会見には5大陸出身選手が並んだ(4賞獲得者+グアルディーニ)。
総合16位&アジアンライダー賞という結果を残した早川は「本当は(福田)真平さんでステージ優勝出来ればよかったんですが、少し体調を崩した中でもアジアンリーダージャージを獲得出来てよかったです」とコメント。
日本人選手によるアジアンライダー賞獲得は史上5人目(1999年:行成秀人、2003年:狩野智也、2005年:福島康司、2008年:福島晋一)。HC(超級)に昇格した2005年以降は3人目となる。
8日間の中で愛三工業レーシングが残したステージ最高位は中島康晴の第5ステージ4位。チームとしてはアジアンチーム総合成績3位だった。
ツール・ド・ランカウイ2015第8ステージ
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
4位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)
5位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)
6位 オレクサンドル・スルトコヴィチ(ウクライナ、シナジーバクサイクリング)
7位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
8位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ)
9位 ケン・ハンソン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
10位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
11位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
個人総合成績
1位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ) 28h12’04”
2位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ) +09”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +10”
4位 ピエールルック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ)
5位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
6位 ジェスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ) +14”
7位 ルーカ・キリコ(イタリア、バルディアーニCSF) +16”
8位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)
9位 ジャック・ジャンセヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ)
10位 イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ) +22”
16位 早川朋宏(日本、愛三工業レーシング) +1’47”
ポイント賞
カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
アジアンライダー賞
早川朋宏(日本、愛三工業レーシング)
チーム総合成績
ペガサスコンチネンタル
アジアンチーム総合成績
ペガサスコンチネンタル
text&photo:Kei Tsuji
最終日を迎えた第20回ツール・ド・ランカウイ。最終ステージはクアラルンプール郊外をスタートした後、同市中心部の周回コースを走る。ステージレースの最終日は平穏にスプリント争いで決着するのが常だが、この日はボーナスタイムを懸けた動きが序盤から繰り返された。
第7ステージを終えた時点で総合首位ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)のリードは揺るがないものになっていたが、総合2位以下が混戦状態。
エナオゴメス(チームスカイ)、ペリション(ブルターニュ・セシェ)、マンセボ(スカイダイブドバイ)の3人が同じ10秒遅れで、その2秒後方にはアニョーリ(アスタナ)も控える僅差の争い。20km地点の第1スプリントポイントで総合上位の選手たちがバトルを繰り広げた。
総合16位&アジアンライダー賞ジャージの早川朋宏を擁する愛三工業レーシングもこの争いに加わった。何といってもUCIポイント獲得圏内の総合15位とは3秒差であり、ボーナスタイムによってはジャンプアップも十分にあり得る。
第1スプリントポイントを前に早川は綾部勇成らのサポートを受けて集団前方に上がったものの「綾部さんのスピードについていけなかった」と語る。この第1スプリントポイントを先頭通過した総合5位アニョーリは総合2位までジャンプアップ。2番手通過のジェスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)も総合7位から1つ順位を上げることに成功している。
ボーナスタイム争いが一段落すると、ラファ・シティウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)、ブルーノ・ピレス(ポルトガル、ティンコフ・サクソ)、レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)、ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)の4名が先行を開始。丘を越えると、人口720万人のクアラルンプールの街が見えてきた。
レース後半はクアラルンプールの市街地周回コースを5周する。高さ452mのペトロナスツインタワーの前を通過し、高層ビルの間を縫ってムルデカ・スクエア(独立広場)にフィニッシュするレイアウト。まさにクアラルンプールのど真ん中を駆ける。
MTNキュベカとオリカ・グリーンエッジの集団牽引によって、先頭を逃げていた4名のリードは1分を割り込む。中切れで人数を減らしながら集団は高速ペースを刻み、逃げを視界にとらえた状態で最終周回へと入っていく。
残り3kmを切って逃げが吸収されると各スプリンターチームのリードアウトトレインが始動する。残り2kmから愛三工業レーシングが先頭に立ってハイスピード巡行。最終的に主導権を握ったのはサウスイーストで、3名しかレースに残っていないアスタナのグアルディーニは巧みにアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)の番手を取る。
サウスイーストがライバルチームを寄せ付けないままペタッキをスプリントに導くが、残り200mで真っ先にグアルディーニがスプリントを開始。続いてカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も反応し、今大会のスプリントで主役を担っている2人が完全に飛び出した状態に。
イワンはグアルディーニに並ぶことはできず、そのままアスタナジャージが先頭でフィニッシュ。4勝目の喜びを身体いっぱいに表現しながらフィニッシュラインを駆け抜けた。福田真平(愛三工業レーシング)は11位。
「今シーズン5勝目。素晴らしいシーズンスタートを切れている。このフィニッシュのレイアウトは熟知しているので、単独での位置取りでも問題なかった。ライバルチームを利用しながら、残り200mから全開でスプリントした。チームにとっても素晴らしい結果になったよ」と今大会の主役のひとりグアルディーニは語る。ステージ通算18勝という成績を塗り替える選手はしばらく現れないだろう。
集団スプリントに絡んで10位に入ったヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)が総合優勝。イワンがポイント賞、キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が山岳賞、そして早川朋宏がアジアンライダー賞獲得という結果に。レース後の記者会見には5大陸出身選手が並んだ(4賞獲得者+グアルディーニ)。
総合16位&アジアンライダー賞という結果を残した早川は「本当は(福田)真平さんでステージ優勝出来ればよかったんですが、少し体調を崩した中でもアジアンリーダージャージを獲得出来てよかったです」とコメント。
日本人選手によるアジアンライダー賞獲得は史上5人目(1999年:行成秀人、2003年:狩野智也、2005年:福島康司、2008年:福島晋一)。HC(超級)に昇格した2005年以降は3人目となる。
8日間の中で愛三工業レーシングが残したステージ最高位は中島康晴の第5ステージ4位。チームとしてはアジアンチーム総合成績3位だった。
ツール・ド・ランカウイ2015第8ステージ
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
4位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)
5位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)
6位 オレクサンドル・スルトコヴィチ(ウクライナ、シナジーバクサイクリング)
7位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
8位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ)
9位 ケン・ハンソン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
10位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
11位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
個人総合成績
1位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ) 28h12’04”
2位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ) +09”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +10”
4位 ピエールルック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ)
5位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
6位 ジェスパー・ハンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ) +14”
7位 ルーカ・キリコ(イタリア、バルディアーニCSF) +16”
8位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)
9位 ジャック・ジャンセヴァンレンスバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ)
10位 イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ) +22”
16位 早川朋宏(日本、愛三工業レーシング) +1’47”
ポイント賞
カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
アジアンライダー賞
早川朋宏(日本、愛三工業レーシング)
チーム総合成績
ペガサスコンチネンタル
アジアンチーム総合成績
ペガサスコンチネンタル
text&photo:Kei Tsuji
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