ティレーノ~アドリアティコ第4ステージは、クリスピエロの急勾配でアタックを決めたワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)がゴールまで逃げ切った。集団に14秒差をつけたポエルスはリーダージャージも獲得している。



インディカトーレから東へと進んでいくティレーノ~アドリアティコ第4ステージ。インディカトーレから東へと進んでいくティレーノ~アドリアティコ第4ステージ。 (c)CorVos


レース前リラックスをしているルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)レース前リラックスをしているルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) (c)CorVos大集団のままクリスピエロに差し掛かる大集団のままクリスピエロに差し掛かる (c)CorVosヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)のためにポジションをキープするアスタナメンバーヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)のためにポジションをキープするアスタナメンバー (c)CorVosワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)がラスト6kmの下りで独走態勢を築きあげるワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)がラスト6kmの下りで独走態勢を築きあげる (c)CorVosインディカトーレから今日も東へと進んでいくティレーノ~アドリアティコ第4ステージ。ちょうど真ん中のステージとなるこのステージは、大会初の本格的な山岳ステージとなり、ここまでおとなしかった総合勢に注目が集まる大切なステージだ。

通過するカテゴリー山岳は計4つ。その内、149km地点のポッジオ・サン・ロムラドは標高1,000m級の難所。そしてゴール手前23kmからは平均勾配9%、最大勾配15%のクリスピエロが2度現れ、選手たちをふるいにかける、今大会最長226kmのレース。

この日逃げたのは、オリカ・グリーンエッジの二人。ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)とマシュー・ヘイマン(オーストラリア)のオージーコンビが序盤から快調に逃げ続けていく。

悪天候により個人TTへと変更された第1ステージのチームTTに照準を合わせていたオリカ・グリーンエッジ。その埋め合わせと言わんばかりに、プチチームTT状態で逃げる二人は最大7分強の差をつけることに成功し、最初の難所ポッジオ・サン・ロムラドへとはいっていく。

ロムラドのヒルクライムでメイン集団からネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン)が追走を仕掛けると、カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)が同調する。その後、追走集団には、マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)、フェルナンド・ペドラサ(コロンビア、チームコロンビア)、ミゲル・アンヘル・ルビアーノ(コロンビア、チームコロンビア)が合流。

しかし、この追走は実らず集団に引き戻されることとなる。そして、残り32km地点で先頭からダーブリッジが遅れ始め、ヘイマンの一人旅が始まった。しかし、一度目のクリスピエロの途中でヘイマンも集団に吸収。カウンターアタックが頻発する集団から、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)、ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)が抜け出す。

10秒差で逃げた3人だが、2度目のクリスピエロに入る前に集団に吸収されてしまう。2度目のクリスピエロではドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のためにAG2Rラモンディアールが集団前方を固める中、総合リーダーのグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が上がるペースに耐え切れず脱落。



後続を14秒離し逃げ切り勝利を収めたワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)後続を14秒離し逃げ切り勝利を収めたワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) (c)CorVos


総合上位を狙うメンバーがいるメイン集団からも遅れるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)総合上位を狙うメンバーがいるメイン集団からも遅れるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) (c)CorVos総合でもトップに踊りでたワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)総合でもトップに踊りでたワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) (c)CorVosクリスピエロ山頂手前で最初に仕掛けたのはジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)。ポッツォヴィーヴォが反応するも、その背後から軽快なダンシングで飛び出したワウト・ポエルスが山頂を先頭で通過。一瞬でカルーゾたちを置き去りにする加速を見せたポエルスがそのままラスト6kmの下りで独走態勢を築きあげる。

カチューシャが先頭に立ちポエルスを追うが差は縮まらず。最終的に14秒差をつけてゴールに飛び込んできたポエルスはこの勝利について「いいアタックを決めることができた。強力なライバルたちを相手にこのタフなステージで勝てたのは、本当にうれしい。この冬、クリス・フルームとハードなトレーニングを続けてきたおかげだ。」とコメントしている。

ステージと同時に、総合ジャージも獲得したポエルス。「体重も絞れているし、登りは大好き。どんな長いヒルクライムでも全然苦にならないんだ。」と明日のクイーンステージでもジャージを守る姿勢を見せている。

14秒差のメイン集団にはアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)らが入る一方、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)はそこから7秒遅れの集団でゴールしている。

新城幸也は5分52秒遅れの65位。今日のレースを振り返り、「5人以上の逃げが出来そうだったら、自分がその逃げに入るはずだったが、2人なので、容認。とにかくピエールを登りまで守る役目だったが、周回に入って、登りの途中で自分もピエールからも遅れてしまった。今日はピエール自身もあまり調子が良くなかったようだ。明日は残り80kmからが勝負。それまでは我慢かな。コンディションが上がってきているので、逃げに乗れたらいいのだが。」とコメントしている。

第5ステージは1,000m級の山岳が3つ登場するクイーンステージ。距離16km、平均勾配7.3%のテルミニッロの山頂がゴールとなる。激しくなる総合争いから目が離せないステージとなるだろう。

選手コメントは各チーム公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



ティレーノ~アドリアティコ2015第4ステージ結果
1位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
7位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
65位 新城幸也(ユーロップカー)
5h53'38"
+14"








+5’52"


個人総合成績
1位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
3位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
6位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
7位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
8位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
60位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
14h28'18"
+17"
+26"

+27"
+28"

+30"
+31"
+32"
+6’49"


山岳賞
カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

ヤングライダー賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)

text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos, RCSsport

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