1級山岳クロワ・ド・ショブレで総合争いが勃発し、圧倒的なチーム力でプロトンを支配したチームスカイがワンツーフィニッシュを達成。8秒差のステージ3位と粘ったクヴィアトコウスキーがマイヨジョーヌを取り戻している。



5日目に入ったパリ~ニースは山岳地帯へと足を踏み入れる5日目に入ったパリ~ニースは山岳地帯へと足を踏み入れる (c)CorVos


スタートラインで並ぶマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が並ぶスタートラインで並ぶマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が並ぶ (c)A.S.O深い霧の中スタートが切られた第4ステージ深い霧の中スタートが切られた第4ステージ (c)A.S.O粘り強い逃げを敢行したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)粘り強い逃げを敢行したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ) (c)CorVos集団内で走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)集団内で走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) (c)A.S.O鋭いアタックを決めたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)鋭いアタックを決めたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos地中海に面したニースに向けて一路南下を続けるパリ〜ニースはこの日で5日目。ヴァレンヌ・シュル・アリエをスタートした集団は一直線に南東へと向かい、サンティティエンヌの街にほど近い1級山岳クロワ・ド・ショブレへと続く200kmオーバーのコースに繰り出した。

スタート後50kmから合計8(3級山岳×5、2級山岳×2、1級山岳×1)のカテゴリー山岳が続くものの、勝負を分けるのはラスト10kmから始まるクロワ・ド・ショブレの登りだ。登坂距離10km、コンスタントに6〜9%の勾配を刻むこの難関山岳で、激しい総合争いが勃発することとなる。

この日スタート5km地点から先行したのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)、そしてアントワン・ドゥシェーヌ(フランス、ユーロップカー)の3名。デヘントとCAセレンセンという強力な2名が入ったエスケープは、勝負どころに向けてペースを刻む集団を引き離すと、一気に7分以上のタイムギャップを稼ぎだした。

「3人という人数ではゴールまで逃げ切るのは難しく、特に(後半)ドゥシェーヌが脱落してからはかなりキツい逃げだった」と言うデヘントだが、クロワ・ド・ショブレ以外全てのKOMポイントを先頭で通過して一気に大量得点を奪ってみせる。このため総合ランキングでも36ポイントと、前日に山岳賞首位に立ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)を大きく上回ってみせる。

アスタナや総合首位のマイケル・マシューズ(オーストラリア)を守るオリカ・グリーンエッジ、そしてチームスカイらが集団の主導権を握り、残り30km地点でタイム差は1分50秒。先頭行くデヘントとセレンセンとの差を詰めながら、徐々に山岳勝負に向けての機運が高まっていく。

180kmに渡って逃げ続けた先頭2名をキャッチすると、登坂開始と共にリッチー・ポート(オーストラリア)を最後尾に従えたチームスカイトレインが発進。後方でワレン・バーギル(フランス、ジャイアント、アルペシン)らが落車に巻き込まれ足止めを食らう中、ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)やニコラス・ロッシュ(アイルランド)らの牽きによって集団内では一気にセレクションが掛かる。

この動きを撹乱するように抜け出したパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)は不発に終わり、粘っていたマイヨジョーヌのマシューズも残り6kmで遂に遅れる。すると残り3kmからチームスカイのセカンドエースを務めるゲラント・トーマス(イギリス)がアタック。ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)とサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がブリッジを成功させると、後手を取った選手達が次々と追う動きを見せる。

ポートやクヴィアトコウスキーやティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)らが逃げる3名に追いつくと、続けざまにポートが鋭いアタックで先行する。唯一チームメイトであるトーマスだけが追従し、追いすがる強豪勢を振り切りワンツー体制でフィニッシュへ。スカイの完璧なチームプレーが残雪残るクロワ・ド・ショブレで炸裂した。



ワンツーフィニッシュを決めたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)とゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のスカイコンビワンツーフィニッシュを決めたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)とゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のスカイコンビ (c)CorVos


ステージ優勝のリッチー・ポート(オーストラリア)ステージ優勝のリッチー・ポート(オーストラリア) (c)A.S.Oマイヨジョーヌを取り戻したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)マイヨジョーヌを取り戻したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) (c)A.S.O「チームのパフォーマンスは素晴らしかった。最後の峠の麓から集団コントロールを開始したが、なかなか簡単にはいかなかった。その分ワンツーフィニッシュを達成できてファンタスティックだ」と語るのはポート。

「今日も厳しいレースだったが、この後2日間も気を抜けない日が続き、最後はエズ峠での個人タイムトライアル。自分的にもエズの登りは大好きだし、良い走りだができるだろうと思っている。でも忘れてならないのはそれまでにハードなステージが2日間あること。

今良いポジションにいるし、チームはご覧の通り非常に強い。間違いなく大きな力となってくれる。ゲラント(トーマス)と僕が総合上位に浮上したことで、チームは2枚の切り札を持った状態だ。目標は日曜日の夜にリーダージャージを手にすること。僕はこのレースが好きだし、もう一度総合優勝したいと思っている。決して不可能では無いし、これからのステージが楽しみだ。」

そしてマイヨジョーヌはポートらを追い込み、8秒差のステージ3位に入ったクヴィアトコウスキーが僅か1秒差で獲得。昨日こそマシューズに明け渡した総合首位を再び手中に収めた。

「今シーズン初めての山岳ステージだったけれど、調子の良さを掴んだし、総合争いを戦っているみたいだと思っていた。トーマスがアタックしたときはポートのチェックをして、逃げた3人が捕まるとカウンターで飛び出したポートを追いかけた。今日のポートとトーマスはとても強く、最後の彼らの加速には付いていくことができなかったが、同時に自分の強さも認識することができて良かった。
8秒遅れの3位という結果に満足しているし、難関ステージの後に再びマイヨジョーヌと取り戻すことができて本当に嬉しく思っている。残るステージも、チームと協力してジャージを守りたい」とクヴィアトコウスキーは語っている。

クイーンステージを終え、総合争いはクヴィアトコウスキーに対して2位ポートが1秒差、3位トーマスが3秒差。12名が1分差以内にひしめいており、残る3ステージでも順位変動を狙った活発な動きが見られるはずだ。



パリ〜ニース2015第4ステージ結果
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
8位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
9位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
5h18'39"

+08"

+17"
+24"






個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
6位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)
10位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
19h44'11"
+01"
+03"
+27"
+32"
+38"
+41"
+44"
+50"
+51"


ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)

チーム総合成績
アスタナ

text:So.Isobe
photo:CorVos