ファーストロードステージとなったパリ〜ニース2日目。逃げグループを吸収した集団はスプリントへとなだれ込み、好調アレクサンドル・クリストフが先着。落車によってリタイアしたトム・ボーネンは肩関節を脱臼し、北のクラシックへの参加は絶望的となった。



風が強く吹く中、スローペースで進むプロトン風が強く吹く中、スローペースで進むプロトン photo:CorVos


残り1.5kmまで逃げ続けたジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)とトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)残り1.5kmまで逃げ続けたジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)とトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:CorVos集団内で走るミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)集団内で走るミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos3月9日に開催されたパリ〜ニース(UCIワールドツアー)第1ステージ。前日がプロローグであったため、この2日目が今大会初めてのロードステージであり、その距離はサンレミ・レ・シュヴルーズからコントルへと至る196.5kmだ。

フランソワ1世のために建造されたシャンボール城を横目に走るフランソワ1世のために建造されたシャンボール城を横目に走る photo:CorVosコースは特筆すべき山岳や丘がゼロと完全なるスプリンター向け。しかしヨーロッパの本格的なレースシーズンを告げるパリ〜ニース初のマスドレースとあって、横風分断や逃げ、落車などナーバスな展開となることが多く、総合狙いの選手たちも一切気を抜くことはできない。

この日はジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)とトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)というフレンチコンビがエスケープを決め、最大で4分差を稼ぎだした2人を集団が追い上げる、定石通りの展開となった。

また折から向かい風が吹いたことも重なって、スタート後4時間の平均速度は34.9km/h。ステージ優勝を挙げたアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)は、「今日は一日中スローな展開で、終盤だけが非常に速いという展開だった」とレース後に一日を振り返っている。

残り20kmを切るとようやく先頭2人のペースが上がり、それに呼応して集団もエティックス・クイックステップに加えてロット・ソウダル、チームスカイらが牽引を開始。そんな中、集団後方では北のクラシックに向けて調整を続けていたトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が車輪をハスらせ落車してしまう。

高速で路面に投げ出されたボーネンは、救急車で病院に搬送されリタイア。そこで待っていたのは左肩関節の脱臼という診断だった。「怪我の状況を見るに回復のためには時間が必要だ。彼は明日ベルギーに移って詳細な診断を受け、手術の必要性を検討する」とチームは公式声明を発表。パリ〜ルーベ4回、ロンド・ファン・フラーンデレン3回という優勝経験を持つボーネンのフランドルクラシック参加は絶望的となってしまった。



ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)らを破ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)らを破ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:CorVos


表彰台に上がるアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)表彰台に上がるアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:CorVos病院を出るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)。フランドルクラシック参加が絶望的となってしまった病院を出るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)。フランドルクラシック参加が絶望的となってしまった photo:CorVos一方ボーネンを失った集団はロット・ソウダルとチームスカイを中心にペースアップを続け、急加速して逃げ切り濃厚を思わせたヴォクレールとイヴェールを残り1.5kmでキャッチ。そのまま最終ストレートになだれ込むと、アシストに連れられたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)を先頭に大集団スプリントが始まった。

「スタートが早すぎた」と言うデケンコルブは失速し、代わってナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)の後方から発進したクリストフが他を寄せ付けない伸びで勝利。波に乗る27歳が今季5勝目を掴んだ。

「4度目のパリ〜ニースだけれど、今回が初めての勝利だから嬉しく思っている」とはクリストフ。「スプリントでは良い位置取りができていたけれど、ジョン(デゲンコルブ)が右側から先行したのを見て、ブアニの後ろに移動してポジションを上げた。その後ブアニの番手からスプリントを掛ける、一連の流れで勝利を掴むことができた」と勝利への道筋を振り返った。

またボーネンを失ったエティックスだったが、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)のリーダージャージを守ることに成功している。



パリ〜ニース2015第1ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
6位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
10位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5h15'18"











個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
6位 ラルス・ボーム(オランダ、アスタナ)
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
9位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
5h22'58"

+07"
+09"
+10"



+13"



ポイント賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)

山岳賞
ジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)

新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)

山岳賞
ジョナタン・イヴェール(フランス、ブルターニュ・セシェ)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:CorVos

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