2015/03/08(日) - 18:47
午後にマレー半島への移動が控えていることから、99.2kmの短距離コースで行われたツール・ド・ランカウイ第1ステージ。愛三工業レーシングもリードアウト争いに加わったスプリントを制したのは、1大会ステージ6勝の記録をもつアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)だった。
3月8日午前9時、ランカウイ島西部のパンタイ・チェナンにある水族館「アンダーウォーターワールド」前でスタートが切られた第1ステージ。99.2kmコースは3つのKOMを含む短いアップダウンを含んでいるが概ね平坦基調と言って良い。
前夜のチームプレゼンテーションから午後10時過ぎにホテルに戻り、朝8時前にはホテルを出発した131名の選手たちがスタート。しばらくのアタック合戦の後、同島最大の街クア・タウンに差し掛かる頃には6名の先行が決まった。
「やはり」という主観的な副詞を使っても違和感がないほど、メイン集団をコントロールしたのは、やはり、アスタナとオリカ・グリーンエッジだった。もちろんそれぞれアンドレア・グアルディーニ(イタリア)とカレイブ・イワン(オーストラリア)のための働き。時折チームスカイが選手を送り込む形でローテーションを組み、最大1分40秒までリードを広げた逃げを追う。
ちょうど1年前、ほぼ同じコースで行われた第1ステージで逃げ切りが決まったこともあり、スプリンターチームは慎重にタイム差を調整する。タイム差が1分を切ったところで逃げグループは分裂。KOMを連取して山岳賞ジャージ獲得を決めたキール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)とメヘル・ハスナウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)が逃げ続けた。
「過去には逃げ切りの前例があるし、1チーム6名の体制ではレースを完全にコントロールできない。だから最後までチャンスに賭けた」と語るレイネンは残り5kmで独走に持ち込む。15秒ほどのリードを保ったレイネンだったが、残り2kmであえなく吸収。路上駐車も多数あるバンピーな街中の直線路で、集団はスプリンターチームの支配下に置かれた。
オリカ・グリーンエッジやアスタナに加えて愛三工業レーシングが集団先頭に出る。「選手ではなくスタッフとしてレースに挑むほうが責任感を伴うので緊張しますね」と言うステージ優勝経験者の西谷泰治に送り出された愛三工業レーシングの選手たちがリードアウトトレインを組んだ。
小森亮平と福田真平を連れた綾部勇成が先頭に上がり、残り1kmを切ったところで小森にバトンタッチ。福田は「小森に残り200mまで行って欲しかったのですが距離があったので、チームスカイの選手を自分の前に入れた」と語る。
「でもそのチームスカイの選手がエースを見失ってしまって失速。そのタイミングで別のラインからグアルディーニとイワンがスプリントを開始して、すぐに反応したんですがスピードの差を詰めることができなかった」と福田。アスタナとオリカ・グリーンエッジのお膳立てを受けたグアルディーニとイワンが先頭に立ち、アスタナジャージが先頭でフィニッシュした。
「全てが上手く行った」。フィニッシュ後、カメラに向けて親指をあげてポーズしたグアルディーニは表彰台に向かいながら安堵の表情を浮かべた。グアルディーニは同じくUCIアジアツアーHCレースであるツアー・オブ・オマーン第1ステージでも勝利しており、これがシーズン2勝目。
現在25歳のグアルディーニはファルネーゼヴィーニ所属時の2011年大会第1ステージでプロ初勝利。2012年には10ステージ中6勝を飾るなどランカウイとの相性の良さは抜群だ。UCIワールドツアーライセンスに暗雲が漂うアスタナに勝利をもたらしたグアルディーニは「ここまで良いスタートが切れている。このまま勝利を重ねたい」と先を見る。
スプリントに絡んだ福田はステージ11位。「タイミングは合いませんでしたが、形としては良かったし、スピードで対抗できる手応えもあり、走った感触も良いです。落車が多い第1ステージを、とにかく安全に終えることができて良かったです」と初日を締めくくった。
レース終了後、選手を含めた大会関係者は大急ぎで荷造りしてフェリーターミナルへ。約2時間かけてマレー半島に渡り、午後4時過ぎに第2ステージのスタート地点にあるホテルに到着した。
ツール・ド・ランカウイ2015第1ステージ
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 2h19’06”
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
4位 アンドレア・ダルコル(イタリア、サウスイースト)
5位 ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
6位 アフメト・オルケン(トルコ、トルクセケルスポール)
7位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
8位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
9位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)
10位 ケン・ハンセン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
11位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 2h18’56”
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +04”
3位 マ・ガントン(中国、ヘンシャンサイクリング) +05”
4位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌサイクリング) +06”
5位 モハマドアディク・オスマン(マレーシア、トレンガヌサイクリング) +07”
6位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) +09”
7位 アンドレア・ダルコル(イタリア、サウスイースト) +10”
8位 ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
9位 アフメト・オルケン(トルコ、トルクセケルスポール)
10位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
山岳賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
アジアンライダー賞
マ・ガントン(中国、ヘンシャンサイクリング)
チーム総合成績
1位 アスタナ
アジアンチーム総合成績
1位 トレンガヌサイクリング
text&photo:Kei Tsuji
3月8日午前9時、ランカウイ島西部のパンタイ・チェナンにある水族館「アンダーウォーターワールド」前でスタートが切られた第1ステージ。99.2kmコースは3つのKOMを含む短いアップダウンを含んでいるが概ね平坦基調と言って良い。
前夜のチームプレゼンテーションから午後10時過ぎにホテルに戻り、朝8時前にはホテルを出発した131名の選手たちがスタート。しばらくのアタック合戦の後、同島最大の街クア・タウンに差し掛かる頃には6名の先行が決まった。
「やはり」という主観的な副詞を使っても違和感がないほど、メイン集団をコントロールしたのは、やはり、アスタナとオリカ・グリーンエッジだった。もちろんそれぞれアンドレア・グアルディーニ(イタリア)とカレイブ・イワン(オーストラリア)のための働き。時折チームスカイが選手を送り込む形でローテーションを組み、最大1分40秒までリードを広げた逃げを追う。
ちょうど1年前、ほぼ同じコースで行われた第1ステージで逃げ切りが決まったこともあり、スプリンターチームは慎重にタイム差を調整する。タイム差が1分を切ったところで逃げグループは分裂。KOMを連取して山岳賞ジャージ獲得を決めたキール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)とメヘル・ハスナウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)が逃げ続けた。
「過去には逃げ切りの前例があるし、1チーム6名の体制ではレースを完全にコントロールできない。だから最後までチャンスに賭けた」と語るレイネンは残り5kmで独走に持ち込む。15秒ほどのリードを保ったレイネンだったが、残り2kmであえなく吸収。路上駐車も多数あるバンピーな街中の直線路で、集団はスプリンターチームの支配下に置かれた。
オリカ・グリーンエッジやアスタナに加えて愛三工業レーシングが集団先頭に出る。「選手ではなくスタッフとしてレースに挑むほうが責任感を伴うので緊張しますね」と言うステージ優勝経験者の西谷泰治に送り出された愛三工業レーシングの選手たちがリードアウトトレインを組んだ。
小森亮平と福田真平を連れた綾部勇成が先頭に上がり、残り1kmを切ったところで小森にバトンタッチ。福田は「小森に残り200mまで行って欲しかったのですが距離があったので、チームスカイの選手を自分の前に入れた」と語る。
「でもそのチームスカイの選手がエースを見失ってしまって失速。そのタイミングで別のラインからグアルディーニとイワンがスプリントを開始して、すぐに反応したんですがスピードの差を詰めることができなかった」と福田。アスタナとオリカ・グリーンエッジのお膳立てを受けたグアルディーニとイワンが先頭に立ち、アスタナジャージが先頭でフィニッシュした。
「全てが上手く行った」。フィニッシュ後、カメラに向けて親指をあげてポーズしたグアルディーニは表彰台に向かいながら安堵の表情を浮かべた。グアルディーニは同じくUCIアジアツアーHCレースであるツアー・オブ・オマーン第1ステージでも勝利しており、これがシーズン2勝目。
現在25歳のグアルディーニはファルネーゼヴィーニ所属時の2011年大会第1ステージでプロ初勝利。2012年には10ステージ中6勝を飾るなどランカウイとの相性の良さは抜群だ。UCIワールドツアーライセンスに暗雲が漂うアスタナに勝利をもたらしたグアルディーニは「ここまで良いスタートが切れている。このまま勝利を重ねたい」と先を見る。
スプリントに絡んだ福田はステージ11位。「タイミングは合いませんでしたが、形としては良かったし、スピードで対抗できる手応えもあり、走った感触も良いです。落車が多い第1ステージを、とにかく安全に終えることができて良かったです」と初日を締めくくった。
レース終了後、選手を含めた大会関係者は大急ぎで荷造りしてフェリーターミナルへ。約2時間かけてマレー半島に渡り、午後4時過ぎに第2ステージのスタート地点にあるホテルに到着した。
ツール・ド・ランカウイ2015第1ステージ
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 2h19’06”
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
4位 アンドレア・ダルコル(イタリア、サウスイースト)
5位 ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
6位 アフメト・オルケン(トルコ、トルクセケルスポール)
7位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
8位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
9位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、アンドローニ・ベネズエラ)
10位 ケン・ハンセン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
11位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 2h18’56”
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +04”
3位 マ・ガントン(中国、ヘンシャンサイクリング) +05”
4位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌサイクリング) +06”
5位 モハマドアディク・オスマン(マレーシア、トレンガヌサイクリング) +07”
6位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) +09”
7位 アンドレア・ダルコル(イタリア、サウスイースト) +10”
8位 ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
9位 アフメト・オルケン(トルコ、トルクセケルスポール)
10位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
山岳賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
アジアンライダー賞
マ・ガントン(中国、ヘンシャンサイクリング)
チーム総合成績
1位 アスタナ
アジアンチーム総合成績
1位 トレンガヌサイクリング
text&photo:Kei Tsuji
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