再びカザフスタンのアスタナに衝撃が走った。イグリンスキー兄弟(カザフスタン)のEPO陽性と、若手選手2名のアナボリック・ステロイド陽性に続いて、新たにドーピング陽性が発覚。アレクサンドル・ヴィノクロフGMはUCIコンチネンタルチームを活動停止にした。



アスタナの選手たちを温かく見守るアレクサンドル・ヴィノクロフアスタナの選手たちを温かく見守るアレクサンドル・ヴィノクロフ photo:Kei Tsuji


ニーバリにキスするアレクサンドル・ヴィノクロフGMニーバリにキスするアレクサンドル・ヴィノクロフGM photo:Makoto.AYANOUCIコンチネンタルチーム「コンチネンタルチームアスタナ」に所属する20歳のアルトゥル・フェドセーエフ(カザフスタン)からアナボリック・ステロイドの「違反が疑われる分析結果(Adverse Analytical Finding)」が検出された。陽性反応が出たのはツール・ド・ラン期間中の8月16日に採取されたサンプルで、フェドセーエフは同大会を総合15位で終えていた。

相次ぐドーピングに揺れるアスタナ相次ぐドーピングに揺れるアスタナ photo:Kei TsujiUCIプロチームの「アスタナプロサイクリング」に所属していたイグリンスキー兄弟に続いて、コンチネンタルチーム所属のイリア・ダヴィデノク(カザフスタン)とヴィクトル・オキシェフ(カザフスタン)からアナボリック・ステロイド陽性が検出されたばかり。アスタナサイクリングプログラムの中でこの3ヶ月のうちに判明したドーピング陽性は5例目。

2チームは運営が異なるものの、実質的にコンチネンタルチームは若手の育成に主眼を置いたサテライトチームという位置づけであり、ダヴィデノクの陽性が判明した時点でUCI(国際自転車競技連合)は「チームの倫理基準が充分なものであるのかライセンス委員会が判断し、適切な裁定を下す」と、UCIプロチームのライセンス見直しを発表していた。

ガゼッタ紙によると、今回のドーピング陽性を受け、カザフスタン自転車競技連盟のカイラト・ケリムベトフ会長が辞任。代わりにヴィノクロフGMと近しい仲にあるダルカン・マンゲルディエフ氏が会長に就任している。

現在イタリア・トスカーナで行なわれているアスタナプロサイクリングのトレーニングキャンプに参加しているヴィノクロフGMは、コンチネンタルチームの活動を停止することを発表。ガゼッタ紙の取材の中で「若い選手はサイクリングにおいてドーピングには居場所がないということを理解していない。(活動停止は)連盟へのメッセージだ。チームは連盟にドーピング検査を増やし、アンチドーピングに真摯に取り組むよう何度も要請してきた」とコメントしている。

またヴィノクロフは「コンチネンタルチームとアスタナプロサイクリングはジャージの色と名前が共通しているだけで、2チームの間に関連性はないことを理解してもらいたい」と強調。コンチネンタルチームを切り離すことでUCIワールドツアーライセンスを守りたい考えたが、コンチネンタルチームのマネージャーを務めるデミトリ・セドウン氏がアスタナプロサイクリングで監督を務めているなど、2チームの結びつきは強い。

「我々は求められた説明を全て提出した。ライセンスに関しては全く問題がない」とヴィノクロフは付け加えているが、ライセンスへの影響は必至だ。

text:Kei Tsuji