BMCレーシングチーム(アメリカ)がプレスリリースでジョージ・ヒンカピーとマークス・ブルグハートらの獲得を発表した。同チームは先日現世界チャンプのアレッサンドロ・バッランを獲得したことに続き、さらに話題を呼びそうだ。

ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビアHTC)ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビアHTC) (c)MakotoAYANOアメリカ&スイスを活動拠点とするプロコンチネンタルチーム、BMCレーシングチームが9月1日、プレスリリースを出し、現世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッランと、アメリカロードレースチャンピオンになったばかりのジョージ・ヒンカピー(アメリカ、現チームコロンビアHTC)、マークス・ブルグハート(ドイツ、現チームコロンビアHTC)、カールステン・クローン(デンマーク、現サクソバンク)らと2010シーズンの契約を済ませたことを発表した。

他にもチームとはスティーブ・モラビート(スイス、現アスタナ)、ミヒャエル・シェアー(スイス、現アスタナ)、サイモン・ツァーナー(ネオプロ)らが契約。一気に戦力を増した同チームは2010年の注目チームになりそうだ。

先日の全米ロードレース選手権において勝利し、アメリカロードチャンピオンとなったヒンカピーは、過去パリ~ルーベで7度のトップ10入りを果たし、ヘント~ウェベルヘムに勝利。ランス・アームストロングのツール・ド・フランス7連覇に大きく貢献し、自らもステージ優勝を経験しているベテランだ。ヒンカピーはリリースのなかでこうコメントしている。
「若いチームで走り、プログラムを構築する手助けをすることは自分にとって魅力的だ」。

マークス・ブルグハート(ドイツ、現チームコロンビアHTC)マークス・ブルグハート(ドイツ、現チームコロンビアHTC) photo:CorVosチームコロンビアからヒンカピーと一緒に移籍するブルグハートはヘント~ウェベルヘム2007覇者であり、2008年ツール・ド・フランスでステージ優勝を挙げた26歳。2人ともワンデイ・クラシックを得意とし、バッランとともに強さを発揮することは間違いない。

バッランは「彼らと一緒に走ることは新たなモチベーションになる。ミラノ~サンレモ、パリ~ルーベ、ベルギーのクラシックはゴールの一つになる」とコメント。


BMCレーシングチームBMCレーシングチーム (c)BMC Racing teamBMCレーシングチームはアメリカのカリフォルニア州に拠点を持つチーム。メインスポンサーのBMCはスイスのバイクブランド。スイスの大富豪アンディ・リース氏がパトロンのチームであり、スイスのウェアブランドのアソスやパーツ&ホイールメーカーのDTなどとともに「スクアドラ・モンド(英語でワールドチームの意味)」をキャッチフレーズに、スイス生まれのバイクプロダクツとともにロードレースの頂点を目指す構想を持っている。

2010年までにプロツアーライセンスを獲得することを目標に挙げている。また、チーム活動の中心を欧州にするべく、スイス近郊にチーム拠点を構えるという計画もある。


BMCレーシングチームの監督&GM、カーヴィン・シルコットBMCレーシングチームの監督&GM、カーヴィン・シルコット (c)MakotoAYANOGM&監督のアメリカ人、ガーヴィン・シルコット氏は80年代にセッレイタリアで走ったプロ選手。アメリカで初のMTBプロ選手も経験した経歴と、PHDを持つ。シルコット氏はランス・アームストロングを育て現代アメリカンプロサイクリングの創始役を果たしたジム・オショビッツ氏(元モトローラ監督、元アメリカ自転車競技連盟理事)ともコラボレートする。

監督に就任しているのは元フォナックの監督をつとめたジョン・ルランゲ氏。エディ・メルクスを率いた名将監督を父にもつ血統で、ツール・ド・フランス主催者ASOでプレス統括の要職についた経験を持つ。その父もASOの現職のレースディレクターであり、つまりASOとのコネクションは強力だ。


BMCレーシングチームの監督ジョン・ルランゲ氏BMCレーシングチームの監督ジョン・ルランゲ氏 (c)MakotoAYANOBMCレーシングチームは2009年にはワイルドカードでパリ~ルーベとドーフィネ・リベレにも出場。今回実力者を多く獲得したことで、来期のグランツール出場権のワイルドカードを獲得するチャンスはより大きくなったと見ていいだろう。

text:MakotoAYANO
photo:MakotoAYANO,CorVos