繰り返される登りと下り、アタックと吸収。ロード世界選手権エリート女子ロードレースの結末は15名のゴールスプリントに持ち込まれ、22歳のポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)が金星を飾った。



ポンフェラーダの周回コースを走るエリート女子選手たちポンフェラーダの周回コースを走るエリート女子選手たち photo:Tim de Waele


2周目の下り区間で発生した大落車2周目の下り区間で発生した大落車 photo:Tim de Waele午前中に行なわれたジュニア男子と同様、18.2kmのポンフェラーダ周回を7周する合計127.40kmで行なわれたエリート女子。周回後半にかけて「コンフェデラシオン(5.2km/3.3%)」と「ミラドール(1.1km/5.5%)」の登りが立て続けに登場し、1日の獲得標高差は2,142m。萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)と與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)を含む39カ国・134名の選手たちがレースに挑んだ。

終盤にかけて降り始めた雨が路面を濡らす終盤にかけて降り始めた雨が路面を濡らす photo:Tim de Waeleテクニカルかつハイスピードな下りで落車が発生する展開はエリート女子も例外ではなかった。2周目のフィニッシュに向かう下りで大落車が発生し、ここに萩原と與那嶺も巻き込まれる。連鎖的に20〜30名ほどの選手が地面に投げ出されたが、日本人選手は2人とも大怪我を負うことなく再スタートを切った。

スプリントを制したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)スプリントを制したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) photo:Tim de Waeleドイツやイギリス、オーストラリアが主導権を握る形で周回を重ねるプロトン。本格的なアタック合戦が始まったのは残り2周に入ってから。レースの活性化に合わせるように雨が降り始め、コースの半分がウェットな路面に姿を変えた。

2位リサ・ブレナウアー(ドイツ)、優勝ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)、3位エマ・ヨハンソン(スウェーデン)2位リサ・ブレナウアー(ドイツ)、優勝ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)、3位エマ・ヨハンソン(スウェーデン) photo:Tim de Waele積極性を見せたレイチェル・ネイラン(オーストラリア)が独走し、シャンタル・ブラーク(オランダ)やロッセッラ・ラット(イタリア)ら4名が追いついて最終周回に突入。しかし残り14km地点でメイン集団に引き戻される。最終周回の登りで、すでに33名に絞られた集団の中から更なるセレクションが始まった。

アルカンシェルと金メダルを獲得したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)アルカンシェルと金メダルを獲得したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) photo:Tim de Waele「コンフェデラシオン」の登りででトリキシ・ヴォラック(ドイツ)やイヴリン・スティーヴンス(アメリカ)が断続的にアタックを仕掛け、ここに與那嶺が反応するシーンも。しかし決まらず、勝負は最後の「ミラドール」に委ねられることに。

フィニッシュまで5kmを残した地点でエマ・ヨハンソン(スウェーデン)が強力なアタックを仕掛け、ここにリジー・アーミステッド(イギリス)、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)、マリアンヌ・フォス(オランダ)が合流して先頭は4名。そのまま下り区間に突入したもののローテーションが回らない。

ポンフェラーダの街に差し掛かったところで後方からドイツ率いる追走グループが合流。こうして15名に絞り込まれた小集団によるゴールスプリントに持ち込まれることに。残り300mからロングスプリントが始まった。

我先に飛び出したディフェンディングチャンピオンのフォスを、普段ラボ・リブのチームメイトとして走るフェランプレヴォが追撃。徐々にスピードを失ったフォスをフェランプレヴォが勢い良く抜き去り、リサ・ブレナウアー(ドイツ)らを振り切ってフィニッシュした。

1992年2月生まれのフェランプレヴォが勝利。ジュニアMTBクロスカントリーとロードレースで世界チャンピオンに輝いている22歳がエリートの世界タイトルを手にした。冬場はシクロクロスにも参戦するフェランプレヴォは今年フレーシュ・ワロンヌで優勝し、ジロ・ローザで総合2位という成績を残している。

「登りでポジションを落としたものの、下りで持ち直して残り1kmで先頭に合流。そこからスプリントしたけど、フィニッシュの時点では勝ったのかどうか分からなかった」と語るフェランプレヴォは、写真判定の結果が伝えられるとスタッフたちと抱き合って号泣した。

「最高のチームメイトたちが集団先頭で走らせてくれた。日曜日のチームタイムトライアルで落車した影響で、この1週間は調子を落としていた。先頭に食らいついてトップ10に入りたいと思っていたので、この勝利は予想していなかった」とフェランプレヴォは語る。

2位にはタイムトライアルの覇者リサ・ブレナウアー(ドイツ)が入り、アタックでレースを動かしたヨハンソンが3位に。最後の「ミラドール」で先頭争いから脱落した與那嶺は41秒差の22位。萩原は5分51秒差の52位でレースを終えている。日本人選手たちのコメントは後ほどアップ予定の現地レポートをご覧下さい。

選手コメントはUCI公式サイトより。





ロード世界選手権2014ロードレース エリート女子結果
1位 ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)    3h29'21"
2位 リサ・ブレナウアー(ドイツ)
3位 エマ・ヨハンソン(スウェーデン)
4位 ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア)
5位 ティファニー・クロムウェル(オーストラリア)
6位 シェリー・オールズ(アメリカ)
7位 リジー・アーミステッド(イギリス)
8位 リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)
9位 アンナ・ソロベイ(ウクライナ)
10位 マリアンヌ・フォス(オランダ)
22位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)       +41"
52位 萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)        +5'51"

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)