8月11日、オランダでエネコ・ツアー(UCIワールドツアー)が開幕。落車と集団分裂を繰り返した初日の第1ステージで、好調のアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)が勝利した。



晴れ間の覗く周回コースを走る晴れ間の覗く周回コースを走る photo:Tim de Waele


集団ペースアップを試みるオメガファーマ・クイックステップ集団ペースアップを試みるオメガファーマ・クイックステップ photo:Tim de Waele7日間の日程で開催されるエネコ・ツアー。1948年から開催されていた「ツール・デ・ペイ・バ(ツアー・オブ・オランダ)」が大会の前身であり、2005年のUCIプロツアー発足に伴ってオランダの電力会社がスポンサーにつき、現在の名称に改められている。

逃げるガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)ら3名逃げるガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)ら3名 photo:Tim de Waele2014年大会はオランダをスタートし、個人タイムトライアルを含む3ステージをこなした後ベルギーに移動。「北のクラシック」さながらの激坂が詰め込まれた第5ステージを経て、6日目に再びオランダに入る。「アルデンヌ・クラシック」のような第6ステージと第7ステージで総合優勝が決まる、実にベルギー&オランダらしい7日間のステージレースだ。

集団内では落車が多発する集団内では落車が多発する photo:Tim de Waele初日はオランダ南部のテルネーゼンを発着する183.1kmコース。真っ平らな平野を駆け抜ける二種類の周回コースが設定されている。時折降る雨と強い横風によって落車多発の荒れたレースとなった。

ゴールスプリントを繰り広げるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)らゴールスプリントを繰り広げるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)ら photo:Tim de Waele雨降りのスタート地点を発ってすぐ、ガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)、ローレンス・デフリース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、ケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)の3名がエスケープを開始。大会初日でリーダーチームを欠く集団がようやく追走の意思を見せる頃には、タイム差は8分30秒まで広がっていた。

スプリントを制したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)スプリントを制したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele進行方向をコロコロと変える周回コースでは当然風向きもコロコロと変わる。メイン集団内では落車が多発し、横風による中切れも発生する。逃げていたスムクリスも単独落車で先頭グループから脱落した。

ロット・ベリソルやFDJ.fr、オメガファーマ・クイックステップ、チームスカイによる集団牽引で、先頭で粘っていたデフリースとファンビルセンも残り18kmで吸収。その後も落車や風に苦しむ選手が続出し、サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)やダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)は脱落。100名に満たない集団がテルネーゼンの街に戻ってきた。

フィニッシュが近づくと、落車による混乱の隙を突いてアタックする選手も。昨年リーダージャージで最終日を迎えながら、最終的に26秒差で総合2位に甘んじたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)がロングスパート。地元オランダの期待を背負う総合優勝候補が先頭で最終ストレートに姿を現したが、フィニッシュラインには届かなかった。

ドゥムランを飲み込みながらのスプリントで先着したのは、直前のツアー・オブ・デンマークで2勝を飾っていたグアルディーニだった。ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)とダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)を下したグアルディーニがスプリント第一ラウンドを制覇。同時にリーダージャージを手にした。

「ずっと風が強くてタフな一日だった。集団先頭では常にどこかのチームがペースをコントロールしていた。スプリントに向けての攻防も激しく、チームメイトのリードアウトを受けて残り200mでスプリントを開始。今日は強い者だけが優勝争いに絡むことが出来た。キャリアの中で絶頂期にあると思う。初めてのUCIワールドツアーレース勝利をアスタナにもたらすことが出来て良かったよ」と今シーズン5勝目のグアルディーニは語る。

翌日の第2ステージも平坦コースが設定されており、再び集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。総合争いが動き出すのは第3ステージの9.6km個人タイムトライアルからだ。



エネコ・ツアー2014第1ステージ
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
2位 ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)
3位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)
5位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
6位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
7位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
8位 マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
10位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
4h14'33"










個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
2位 ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)
3位 ローレンス・デフリース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ラース・ボーム(オランダ、ベルキン)
6位 アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)
7位 ケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
8位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
9位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
4h14'23"
+04"
+05"
+06"
+07"
+08"

+09"
+10"


ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)

敢闘賞
ケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)