マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)による2年連続シャンゼリゼ制覇で幕を下ろしたツール・ド・フランス。総合優勝したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の他、フランスを沸かせた総合表彰台のフランス人選手たちのコメントを紹介します。

ステージ4勝目で締めくくったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

クリストフらを下したマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)クリストフらを下したマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waele焦って早めにスプリントしないように心がけた。クリストフが先行したけど、落ち着いて後ろからスプリントを開始。早めに仕掛けたことで伸びが止まったクリストフを追い抜いたんだ。追いつくか心配だったけど上手く行ったよ。今回はトム・フィーラースが落車することなくパリまで残ってくれた。やっぱりスプリントでは彼が必要だ。彼がいれば負けるわけがないと思っていた。

シャンゼリゼ表彰台に上がるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)シャンゼリゼ表彰台に上がるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waeleツールの開幕ステージと閉幕ステージの両方で優勝するのは2年連続。チームとして重要なステージ優勝をしっかりと掴み取った意味は大きい。チームには最速の選手たちが揃っていて、スプリントになれば自分の出番が回ってくる。何回かミスすることもあったけど、今年のツールは大成功だった。

ツールが終わったところなので、まだ先のことは考えられない。今はこうして勝利の喜びを味わいたいんだ。これからもグランツールでステージ優勝を狙うけど、記録を作るために走っているんじゃない。将来的にはマイヨヴェールを獲得したいと思う。

ドイツ人選手がステージ合計7勝したことも忘れてはならない。ドイツのファンだけでなく、ロードレースへの関心が薄れているドイツメディアに向けて大きなサインになったはず。ドイツ人選手の活躍を誇りに思うよ。あと2回ステージ2位に入ったジョン・デゲンコルブのことも忘れないで欲しい。少なくとも半分以上のステージでドイツ人選手がトップ3に入っていた。ドイツが強豪国であることが証明されたよ。

ステージ2位のアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

この美しいステージで勝負に絡んだことを嬉しく思う。残り28kmで自分がパンクして、残り8kmでルーカ・パオリーニがパンクするという不運に見舞われたけど、チームの走りはスーパーだったよ。パンクから復帰して、そこから最後まで闘い抜いた。勝利にはあと一歩届かなかった。ほぼパーフェクトなスプリントで、全力でもがいたけど、一番強いのはキッテルだった。

マイヨヴェールを獲得したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

ステージ0勝のままマイヨヴェールを獲得したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ステージ0勝のままマイヨヴェールを獲得したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Makoto Ayano3年連続でシャンゼリゼの表彰台に登るのは栄誉なこと。ステージ優勝は最後まで叶わなかったけど、マイヨヴェールには満足している。3枚のマイヨヴェールは同じようで全部違う。今年はずっと調子が良かったけど0勝だった。勝てば「簡単に勝った」なんて言われるけど実際はそうじゃない。勝利の裏には努力があるということをこのツールで分かってもらえたと思う。

シャンゼリゼでマイヨジョーヌを受け取ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

第101代チャンピオンに輝いたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)第101代チャンピオンに輝いたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waeleここ数日間「今年のツールで最高だった瞬間は?」という質問を何度も受けていた。その度に「シャンゼリゼで表彰台に登ることが最高の喜び」と答えていた。でも実際に表彰台に立ってみると、想像以上だった。チームと家族にこの勝利を捧げたい。妻のミケーレと娘のエマがいなければ、ここまで育ててくれた両親がいなければ、この勝利は無かった。こんなに感情が高ぶったのは初めて。ツールに感謝したい。フランスと世界中の人々にも感謝している。

総合2位でツールを終えたジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)

シャンゼリゼ表彰台に登る総合トップスリーシャンゼリゼ表彰台に登る総合トップスリー photo:Tim de Waele昨日の時点で、総合2位という結果の重要性を実感していた。でも最後に何か起こるんじゃないかという気もしていた。集団に押し出されるようにして落車。クリストフ・リブロン曰く、地面のボトルを避けた選手の動きが波となって落車に繋がった。最後の最後にスパイスを加えてしまった。

美しいパリの中で、今こうして改めて結果を見つめている。人生において欠かせない存在である家族に再会出来て嬉しいよ。今晩は一緒にディナーテーブルを囲んで、グラスを傾けながらこの3週間の思い出話に花を咲かせたい。

総合3位&マイヨブランのティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)

開幕前の目標は総合トップ10だった。登りでアタックするのが自分のスタイル。タイムトライアルの走りには驚いていない。ツール・ド・フランスは素晴らしいレースであり、これからも出場を続けたいと思う。今はこの成功を家族とチームと一緒に楽しみたい。これまでの全ての努力が報われた思い。夢から覚めていないんじゃないかとさえ思ってしまう。

総合敢闘賞に輝いたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)

大きな結果だ。シャンゼリゼの表彰台に上ったことを誇りに思う。3週間にわたってアタックを繰り返すのは簡単なことじゃない。でもこれからもアグレッシブな走りを続けたいと思う。ペーター(サガン)のアシストの役目を担ったことも誇り高い。運に見放されて勝利には繋がらなかったけど、チームの目標であるマイヨヴェールを持ち帰ることが出来た。

text:Kei Tsuji