8月23日、フランス西部のブルターニュ地方を舞台に、第73回GPウエストフランス・プルエー(UCIプロツアー)が開催される。大会3連覇を目指すBboxブイグテレコム勢や、復調した世界王者のアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)、そしてスプリンターたちの闘いに注目だ。

19.1kmのアップダウンコースを12周

GPウエストフランス・プルエー コースマップGPウエストフランス・プルエー コースマップ photo:www.grandprix-plouay.com伝統のGPウエストフランス・プルエーは、一般サイクリストが参加するシクロスポルティフや女子ロードレース(UCIワールドカップ)を含む「プルエー3日間レース(3 jours de Plouay)」の最後を締めくくるビッグイベント。この日ばかりは人口5000人のブルターニュの小さな街プルエーが活気に包まれる。

1931年に第1回大会が開催され、今年で開催73回目。2005年のUCIプロツアー発足に伴い、世界トップカテゴリーレースの仲間入りを果たした。

初開催以降50年以上に渡ってフランス人選手が優勝を独占していたが、1984年にショーン・ケリー(アイルランド)がその伝統を破って優勝。これまで10名の海外選手がプルエーを制している。2005年にはジョージ・ヒンカピー(アメリカ)、2006年にはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が優勝している。

プロツアーレースも女子ワールドカップレースも、コースはプルエーを発着する19.1kmの周回。プロツアーレースはここを12周する。ワンデーレースならではの229.2kmの長丁場だ。

周回コースはアップダウンに富んでおり、特に平均勾配7%・距離1300mのレソと、平均勾配7%・距離1000mのティマレクの上りに注目。最終周回のティマレクの頂上はゴールから2.5kmほどしか離れておらず、ここれは逃げ切りを狙う選手が断続的にアタックを仕掛けるだろう。

逃げ切りか、それとも集団によるスプリントバトルか。毎年強豪スプリンターたちがスプリント勝利を夢見て出場するが、近年は上りで飛び出した数名逃げ切るパターンが多い。

GPウエストフランス・プルエー コースプロフィールGPウエストフランス・プルエー コースプロフィール photo:www.grandprix-plouay.com

レースは大会3連覇を狙うBboxブイグテレコムを中心に動く

ツールで逃げ切り勝利を飾ったトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)ツールで逃げ切り勝利を飾ったトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos今年最もモチヴェーション高くレースに挑むと思われるのが、フランスを代表するBboxブイグテレコムだ。2007年にはトマ・ヴォクレール(フランス)が、2年連続で海外勢に奪われていたタイトルをフランスにもたらした。ヴォクレールは7月のツールで悲願のステージ初優勝を飾っている。

同じくツールのピレネーステージで自身2度目の優勝を飾ったピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)は昨年大会の優勝者であり、チームはこの優勝経験者2人を中心に大会3連覇を狙う。

ツール・ド・ポローニュで総合優勝を飾ったアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)ツール・ド・ポローニュで総合優勝を飾ったアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ) photo:www.tourdepologne.pl昨年フェドリゴとティマレクで飛び出しながらもスプリントで破れて2位に甘んじたのは、現世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)だ。バッランは今シーズン前半からウイルス性の感染症により低迷していたが、シーズン後半にかけて調子を上げ、ツール・ド・ポローニュの総合優勝で復活をアピールした。

チームにはトリッティコ・ロンバルドで総合優勝した若手のマウロ・サンタンブロジオ(イタリア)もいる。ランプレ勢の上りでの動きに注目したい。

(filter error or malformed img_assist tag)アップダウンのクラシックに強いフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)、キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)、セルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)らも積極的に動くはず。持ち前の上りでの爆発力で揺さぶりをかけてくるだろう。

集団スプリントで勝利を狙うのはツールでマイヨヴェールを獲得したトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)や、アンドレ・グライペル(ドイツ、チームコロンビア・HTC)、ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)に代表されるスプリンターたち。特にフースホフトとハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ)を揃えるサーヴェロには注目だ。

他にもアラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)やホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)ら、上り対応型のスプリンターが揃っている。ゴールに向けて、スプリンターチームによる猛烈な追い上げが見どころだ。

GPウエストフランス・プルエー歴代優勝者
2008年 ピエリック・フェドリゴ(フランス)
2007年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2006年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2005年 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ)
2004年 ディディエ・ルー(フランス)
2003年 アンディ・フリッカンジェ(フランス)
2002年 ジェレミー・ハント(イギリス)
2001年 ニコ・マッタン(ベルギー)
2000年 ミケーレ・バルトリ(イタリア)
1999年 クリストフ・マンジャン(フランス)
1998年 パスカル・エルヴェ(フランス)
1997年 アンドレア・フェッリガート(イタリア)
1996年 フランク・ファンデンブロック(ベルギー)
1995年 ロルフ・ヤールマン(スイス)
1994年 アンドレイ・チミル(モルドバ)
1993年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
1992年 ロナン・パンセック(フランス)
1991年 アルマン・ドラキュヴァ(フランス)
1990年 ブルーノ・コルニエ(フランス)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos