平坦な158kmで行なわれたエネコ・ツアー第3ステージは大集団によるスプリント勝負に持ち込まれ、総合首位タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)を破ったトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が勝利。ボーネンにとってベルギーチャンピオンジャージを着用しての勝利はこれが初めて。

逃げるニキ・テルプストラ(オランダ、ミルラム)、アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)、ロマン・ヴィラ(フランス、コフィディス)逃げるニキ・テルプストラ(オランダ、ミルラム)、アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)、ロマン・ヴィラ(フランス、コフィディス) photo:Cor Vosエネコ・ツアー第3ステージは、首都ブリュッセルの東部、ニールからハッセルトまでの158kmで行なわれた。ハッセルト市内に敷設された15kmの最終サーキットを含め、大きな上りは皆無。エネコ・ツアーを代表するド平坦ステージだ。

レース開始後、39km地点でアタックを成功させたのはロマン・ヴィラ(フランス、コフィディス)、ニキ・テルプストラ(オランダ、ミルラム)、アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)の3名。総合で危険な選手が入っていないとして、メイン集団はこの3名を見送った。ティマーは8月30日に開催されるシマノ鈴鹿の国際ロードレースに出場予定の選手だ。

メイン集団をコントロールするのはリーダージャージ擁するガーミンメイン集団をコントロールするのはリーダージャージ擁するガーミン photo:Cor Vosしかしこのエスケープトリオのアドバンテージは、3分を上限に縮小傾向に。ガーミンとクイックステップがコントロールするメイン集団がタイム差を食いつぶし、3名を射程圏内に捉えた状態でハッセルトの15km周回コースに入った。

諦めないテルプストラとティマーの2人はアタックを仕掛けて逃げ続けたが、ゴールまで7kmを残して吸収。ここからリクイガスがメイン集団を先導したが、クイックステップとチームコロンビア・HTCが力で対抗し、競り合いながらゴールに向かった。

ゴール地点ハッセルトの周回コースをこなすゴール地点ハッセルトの周回コースをこなす photo:Cor Vos新城幸也(Bboxブイグテレコム)も集団前方に姿を見せる中、大集団はエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア・HTC)を先頭に最終ストレートへ。しかし発射台役のボアッソンとマーク・レンショー(オーストラリア)の連係がうまく機能せず、レンショーの後方からスプリントを開始したベルギーチャンピオンが先頭に立った。

スプリントで突き進むボーネンには、2連勝中のファラーやフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)が対抗したが届かない。ファラーの鋭い追撃を振り切ったボーネンが優勝。ベルギーチャンピオンジャージが両手を挙げた。

タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)を振り切ったトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が優勝タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)を振り切ったトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が優勝 photo:Cor Vos4月27日に行なわれたレース外ドーピング検査で自身2度目のコカイン陽性が発覚し、謹慎期間を経て6月にレースに復帰したボーネン。ベルギー選手権を制してナショナルチャンピオンに輝いたが、ゴタゴタの係争の末に出場したツールでは、見せ場を作れないままリタイア。コカイン騒動以降、明確なスランプに陥っていた。

レース公式サイトの中でボーネンは「今日は普段練習コースとして使っている道を通った。故郷や自宅、両親の家の前を通過したんだ。最初から今日のステージを狙っていた。、狙い通り勝てて本当に嬉しいよ」と、地元での勝利を喜ぶ。

笑顔で表彰台に上がるトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)笑顔で表彰台に上がるトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vos6月のベルギー選手権での優勝以降、黒黄赤のナショナルチャンピオンジャージを着てレースで勝つのはこれが初めて。「ここ数日で調子はどんどん良くなっている。やっぱり調子を取り戻すためにはレース出場日数を稼ぐしかない。今大会はまだスプリント勝利のチャンスは残っている」。勝利とともに自信も取り戻しつつあるようだ。

ファラーはスプリント3連勝を逃したが、総合リーダージャージはしっかりとキープ。総合成績ではボーネンが10秒遅れ、ボアッソンが19秒遅れで続いている。

スプリントに絡んだユキヤは14位でフィニッシュ。ユキヤは自身のブログの中で「逃げが決まらないのでスプリントに足を貯めたが、14位と振るわず。でも調子は良いです! 調子良く走っています!」と、元気なコメントを残している。


エネコ・ツアー2009第3ステージ結果
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)3h43'19"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
3位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
5位 アレクセイ・マルコフ(ロシア、カチューシャ)
6位 マシュー・ゴス(オーストラリア、サクソバンク)
7位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームコロンビア・HTC)
8位 バーデン・クック(オーストラリア、ヴァカンソレイユ)
9位 ロバート・ワグナー(ドイツ、スキル・シマノ)
10位 アレクサンドル・ウソフ(ベラルーシ、コフィディス)
14位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)

個人総合成績
1位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)12h24'22"
2位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)+10"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア・HTC)+19"
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+25"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+27"
6位 ヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+29"
8位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)
9位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)+30"
10位 ニコラス・マース(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
80位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+6'50"

ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)

チーム総合成績
ラボバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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