男子ジュニアを制したのは2年前、ここ八幡平でのU17で優勝した松本祐典(明治大)。男子U17は前日のTTを制した沢田桂太郎(東北高)が優勝。女子ジュニアでも梶原悠未(筑波大付属坂戸高)がTTに続き2冠を達成した。



雲の掛かった岩手山を望むロードコース雲の掛かった岩手山を望むロードコース photo:Hideaki.Takagi
全日本選手権ロード2日目に行なわれた男子ジュニア、男子U17+U15、女子ジュニア+U17。いずれも有力候補と目されていた若木実力者がレースを制した。

男子ジュニア

男子ジュニア 小山貴大(前橋育英高)や松本祐典(明治大)男子ジュニア 小山貴大(前橋育英高)や松本祐典(明治大) photo:Hideaki.Takagi1996年から1997年生まれの男子選手で争われたジュニアは、8周・計126.4kmのレース。1周目は集団でクリアし、2周目に孫崎大樹・徳田匠(北桑田高)ら6人が逃げるも4周目終盤に吸収。5周目入ってすぐに安田開(北桑田高)が独走するが、これも吸収され、6周目には13名の先頭集団が形成される。この集団がゴールまで逃げることになった。

最終周回の8周目上り。ここでゴールへ向けてアタックと牽制が入る。小山貴大(前橋育英高)がアタックを繰り出す中、冨尾大地(南大隅高)の動きをきっかけに松本祐典(明治大)が反応。さらに水谷翔(南大隅高)が合流し先頭は3人に。この3人の中からゴール前に松本が抜け出し優勝を飾った。

男子ジュニア 冨尾大地(南大隅高)、松本祐典(明治大)、水谷翔(南大隅高)の3人が抜け出す男子ジュニア 冨尾大地(南大隅高)、松本祐典(明治大)、水谷翔(南大隅高)の3人が抜け出す photo:Hideaki.Takagi男子ジュニア 松本祐典(明治大)が優勝男子ジュニア 松本祐典(明治大)が優勝 photo:Hideaki.Takagi

男子ジュニア 表彰式男子ジュニア 表彰式 photo:Hideaki.Takagi
松本はここ八幡平市で行なわれた2012年全日本選手権ロードU17で優勝(当時北桑田高)。しかしその直後から脚の故障を患い、およそ2シーズンをレギュラーの座も得られないほどの不調で過ごした。「我慢して、そして自転車を続けてきて良かった」と晴れ晴れとした表情でインタビューに応えた。

結果 男子ジュニア 126.4km
1位 松本祐典(明治大)
2位 水谷翔(南大隅高)
3位 冨尾大地(南大隅高)
4位 小山貴大(前橋育英高)
5位 中村圭佑(昭和第一学園高)
6位 石上優大(横浜高)
3時間29分09秒
3時間29分17秒
3時間29分21秒
3時間29分49秒
3時間29分57秒
3時間30分11秒




男子アンダー17+男子アンダー15

大町健斗(チームサイクルプラス)がスタートアタックを仕掛ける大町健斗(チームサイクルプラス)がスタートアタックを仕掛ける photo:Hideaki.Takagi朝8時スタートは1998年から2001年生まれを対象とした男子アンダー17+15は、15.8kmを5周する79.0kmで争われた。リアルスタート直後から大町健斗(チームサイクルプラス)がアタックを仕掛け、大町に加えて日野竜嘉(松山聖陵高)、渡辺歩(学法石川高)らが積極的に仕掛けてゆく。

男子アンダー17+男子アンダー15 アタックをかける日野竜嘉(松山聖陵工)男子アンダー17+男子アンダー15 アタックをかける日野竜嘉(松山聖陵工) photo:Hideaki.Takagi上りごとに人数を減らす先頭集団は、3周目には大町のアタックでさらに人数が減る。4周目に入ると抜け出した大町に中川涼(浦和工高)が追いつき先頭は2人になるが吸収され、先頭は15人ほどに。最終周回の5周目に入ってもこの集団のまま、最後の登坂勝負に持ち込まれた。

アタックして独走したのは日野。これを大町や沢田桂太郎(東北高)らが追走して吸収、さらに沢田は先頭に立ってペースを上げる。攻撃と牽制を繰り返す先頭集団は崩れずそのままゴールへ。ここで鋭く先頭に出たのは吉岡衛(奈良北高)。しかしゴール直前で沢田がかわして優勝。沢田は前日の個人TTに続いて2冠を達成した。

沢田は中学の時には陸上で走り高飛びを経験している選手で、昨年高校に入ってから本格的に自転車を始めたばかりだという。ロードとトラック両方をこなし、トラックでは個人追い抜きが得意。脚質的にはスプリンターだ。

男子アンダー17+男子アンダー15 吉岡衛(奈良北高)を差し切った沢田桂太郎(東北高)が勝利男子アンダー17+男子アンダー15 吉岡衛(奈良北高)を差し切った沢田桂太郎(東北高)が勝利 photo:Hideaki.Takagi
ゴール後に互いの健闘を称えあう選手達ゴール後に互いの健闘を称えあう選手達 photo:Hideaki.Takagiゴールで差しきり、TTにつぐ2冠を達成した沢田桂太郎(東北高)ゴールで差しきり、TTにつぐ2冠を達成した沢田桂太郎(東北高) (c)Makoto.AYANO


沢田は「最後は"ごちそうさま"になってしまって申し訳なかったですが、自分としては最後までちぎれなかったので良いレースでした。2冠を狙っていたので嬉しいです。前を行く選手たちには最後に追いつけることはわかっていました。本当は僕も逃げて勝ちたいのですが、ゴールスプリントに持ち込めないと勝てないので、自分の得意なパターンに持ち込めた。ゴールまで溜めて最後に爆発させるのが自分の走りなんです」と語る。

沢田は謙遜するが常に先頭集団の前方で展開し、逃げができれば自力で追う場面が多く、特にゴール前の上りは強い向かい風。勝利を諦めなかった沢田に軍配が上がった。

結果 男子アンダー17+男子アンダー15 79.0km
1位 沢田桂太郎(東北高)
2位 吉岡衛(奈良北高)
3位 日野竜嘉(松山聖陵高)
4位 中川涼(浦和工高)
5位 渡辺歩(学法石川高)
6位 大町健斗(チームサイクルプラス)
2時間16分18秒
2時間16分18秒
2時間16分19秒
2時間16分19秒
2時間16分19秒
2時間16分26秒




女子ジュニア+女子アンダー17

独走状態に入った梶原悠未(筑波大附属坂戸高)独走状態に入った梶原悠未(筑波大附属坂戸高) (c)Makoto.AYANO
坂口聖香(日本体育大)が中心となって追うが、ペースが上がらない坂口聖香(日本体育大)が中心となって追うが、ペースが上がらない photo:Hideaki.Takagi女子ジュニアと同アンダー17は4周回、計63.2kmのレース。1周目は集団で推移するが、上りでのペースアップで集団は分裂。しかし2周目の上りで10人にまとまった先頭から梶原悠未(筑波大付属坂戸高)が仕掛けるとすぐに差が開いた。集団は下りでまとまり9人になるが、梶原を追う動きにはならず独走が続く。結局梶原は約2周で2位以下に4分53秒もの大差をつけて優勝。前日の個人TTと合わせて2冠を達成した。

優勝した梶原悠未(筑波大付属坂戸高)
本当は一周目の上りからすべて独走したかったのですが、タイム差をずっと広げ続けられたので良かったです。来年はもっともっと大きな差をつけて勝ちたい。不安はありませんでした。自分に自信をもって走りました。次の目標は世界選手権でメダルを獲ることです。

結果 女子ジュニア+女子アンダー17 63.2km
1位 梶原悠未(筑波大付属坂戸高)
2位 大谷杏奈(桜丘工)
3位 細谷夢那(浦和工高)
4位 内村舞織(南大隅高)
5位 佐々木美郁(古川工高)
6位 谷伊央里(日本体育大)
1時間57分33秒
2時間02分26秒
2時間02分27秒
2時間02分28秒
2時間02分29秒
2時間02分30秒


text:Hideaki.Takagi
phorto:Hideaki.Takagi,MAkoto.Ayano,So.Isobe
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