史上初の大会3連覇を目指して、世界チャンピオンがレース中盤にアタック。そのまま先頭グループに飛び乗り、タイミングを見極めて残り3kmで飛び出したルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)が独走でツール・ド・スイス第9ステージを制した。


「ウセーニュの奇岩」を通過するプロトン「ウセーニュの奇岩」を通過するプロトン photo:Tim de Waele

ツール・ド・スイス2014第9ステージツール・ド・スイス2014第9ステージ image:www.tourdesuisse.chツール・ド・スイスの総合争いは、超級山岳ザース・フェーで決する。マルティニーの街を発ち、かつて氷河が削り取ったローヌ渓谷を東に向かい、3つのカテゴリー山岳を越えてザース・フェーに至る156.7km。フィニッシュ地点のザース・フェーは、地理的にはスイス最高峰(標高4609m)のモンテローザに近い。

アタックを仕掛けるマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)アタックを仕掛けるマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) photo:Tim de Waele一日の獲得標高差は3600mで、9日間の中で最も難易度は高い。このクイーンステージでレースはスタート直後から慌ただしく動いた。

残り3kmを切ってアタックするルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)残り3kmを切ってアタックするルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waeleレース前半の1級山岳ヴェゾナと2級山岳サンマルタンでメイン集団からアタックが続発。総合で3分05秒遅れのスティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)やオリバー・ツァウグ(スイス、ティンコフ・サクソ)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)を含む20名ほどの先頭グループが形成される。

懸命に追走するバウク・モレマ(オランダ、ベルキン)懸命に追走するバウク・モレマ(オランダ、ベルキン) photo:Tim de Waeleモラビートの存在を警戒し、オメガファーマ・クイックステップ率いるメイン集団はタイム差を1分差に押さえ込む。しかし次なるライバルたちの一手にベルギーチームは反応出来なかった。

独走でフィニッシュにやってきたルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)独走でフィニッシュにやってきたルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waeleレース後半の1級山岳アイショルで、オメガファーマ・クイックステップが最も逃がしてはいけない男たち、つまり総合3位ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)と総合4位マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)、そして総合5位バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)が揃ってアタック。先に逃げていたチームメイトたちの力を借りて、コスタらは先頭グループに合流した。

こうしてレースは総合3〜5位が先頭で逃げ、総合1位マルティンのオメガファーマ・クイックステップや総合2位ドゥムランのジャイアント・シマノが集団を率いて追撃する展開に。タイム差が2分を推移しながら最後の超級山岳ザース・フェーに突入した。

20kmかけて標高差1000m以上を駆け上がる超級山岳ザース・フェーで、IAMサイクリング勢が先頭グループをリード。マルティンとドゥムラン自身の懸命な追走によってタイム差は1分45秒まで縮まったが、先頭グループとメイン集団の距離がそれ以上近づくことはなかった。

メイン集団からロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)やエロス・カペッキ(イタリア、モビスター)、ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)らがカウンターアタックを仕掛けたものの、いずれもマルティンがペースを刻んで捉える。その頃、先頭では再び総合3〜5位のトリオが動いた。

残り3kmを前にまずフランクが加速し、これにモレマとコスタが反応する。マルティンを含むメイン集団は2分以上後方であり、総合優勝の行方は先頭の3人に。するとここからアルカンシェルが飛び立った。

モレマとフランクの追走を振り切って、先頭を独走したディフェンディングチャンピオンのコスタ。逆転総合優勝を懸けたコスタがそのまま独走でフィニッシュした。

アルカンシェルを着るルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)が勝利アルカンシェルを着るルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)が勝利 photo:Tim de Waele

最終日に総合首位の座を明け渡したトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)最終日に総合首位の座を明け渡したトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waeleアルカンシェルを着て、ステージ優勝と逆転総合優勝、そして大会3連覇を射止めたコスタ。劇的なフィナーレを演出した世界チャンピオンは「これ以上ないほど素晴らしい結果で一日を終えることが出来た」と喜びのコメントを残す。「ステージ優勝と総合優勝。本当にこれ以上のことを望めないと思うほど。ツール・ド・スイス3連覇は史上初めてであり、そんな偉業を成し遂げたことを誇りに思う。しかも今年は世界チャンピオンジャージを着ての勝利。そして今シーズン初勝利なんだ。色んな要素が絡み合って、今日という日が忘れられない日になりそう」。

ステージ2位のモレマが総合3位に。最終コーナーでバランスを崩しながらもステージ3位に入ったフランクが総合2位に入った。ドゥムランやクロイツィゲルとともに2分18秒差でフィニッシュし、リーダージャージを失いながらも総合4位でレースを終えたマルティンは「持てる力を尽くした。自分の走りには満足している。未来につながる1週間だったと思う」とコメントしている。

選手コメントはランプレ・メリダならびにオメガファーマ・クイックステップ公式サイトより。

ツール・ド・スイス2014第9ステージ結果
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
2位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
3位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
4位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
5位 オリバー・ツァウグ(スイス、ティンコフ・サクソ)
6位 アンドレ・カルドソ(ポルトガル、ガーミン・シャープ)
7位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ.fr)
8位 マルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)
9位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
15位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
4h13'14"
+14"
+24"
+47"

+1'28"
+1'41"
+1'48"
+2'18"


個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
2位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
3位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
6位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
9位 ハニエル・アセベド(コロンビア、ガーミン・シャープ)
10位 エロス・カペッキ(イタリア、モビスター)
33h08'35"
+33"
+50"
+1'13"
+2'04"
+2'47"
+3'00"
+3'03"
+3'20"
+3'46"

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

山岳賞
ビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)

チーム総合成績
ベルキン

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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