全長244kmコースの先に待つ標高1535mのスキー場に向かって、オールラウンダーたちがマリアアッズーラを巡るクライミングバトル。キンタナやクヴィアトコウスキーらを振り切ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が得意の拳銃で撃ち抜くポーズでフィニッシュした。



山岳ステージを走る新城幸也(ユーロップカー)山岳ステージを走る新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla


第4ステージ コース高低図第4ステージ コース高低図 image:RCS Sportアペニン山脈の奥深くまで分け入って行くティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ。チッタレアーレにあるスキー場セルヴァロトンダにフィニッシュする今大会最長244kmコースが選手たちを待ち受ける。

レース序盤に形成されたマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)を含む6名の逃げレース序盤に形成されたマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)を含む6名の逃げ photo:Riccardo Scanferla特徴なのはコースの長さだけではない。標高のあるGPM(カテゴリー山岳)が後半にかけて3つ連続。標高1535mにあるスキー場に向かって、距離14km/平均勾配5.3%の登りを駆け上がってフィニッシュを迎える。

チームメイトに守られて走るマリアアッズーラのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)チームメイトに守られて走るマリアアッズーラのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Riccardo Scanferlaステージの長さと難易度を考慮して午前9時半という早い時間にスタートしたレースは、6km地点で形成された6名がリードする展開を見せる。ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)、アレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)、マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)、フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニCSF)、アレクサンドル・ピショ(フランス、ユーロップカー)、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)が、6時間にわたって逃げ続けることに。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)らが牽引するメイン集団マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)らが牽引するメイン集団 photo:Riccardo Scanferlaレース中盤に7分30秒まで広がったタイム差は、オメガファーマ・クイックステップの集団牽引によって縮小する。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)までローテーションに加わり、マリアアッズーラを着るクヴィアトコウスキーのために力を尽くす。

アペニン山脈に向かうプロトンアペニン山脈に向かうプロトン photo:Riccardo Scanferlaゴール62km手前のGPMフォルカ・カピストレッロで逃げグループ内にセレクションがかかり、先頭はモンドリー、ルトセンコ、ブランドルの3名に。後方ではモビスターが追撃を開始し、集団の人数を絞り込みながら最後のGPMセルヴァロトンダを前に全ての逃げを飲み込んだ。

GPMセルヴァロトンダで飛び出したロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)とベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)GPMセルヴァロトンダで飛び出したロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)とベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) photo:Riccardo Scanferla全長14kmの登りに差し掛かる頃、メイン集団の人数は60名弱に。先手を打ったのはモビスターで、ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)のアタックを切っ掛けに集団は活性化する。ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)がここに合流し、オメガファーマ・クイックステップにジャブを打つ。

ゴールスプリントでライバルたちを引き離すアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)ゴールスプリントでライバルたちを引き離すアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Riccardo Scanferlaやがて登りの中腹に差し掛かると先頭で動きが見られ、クロイツィゲルが独走を開始。有力選手を含むメイン集団に対し、残り3kmを切ってなおもクロイツィゲルは30秒のリードを保った。

着々とフィニッシュラインまでの距離が縮まる中、ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)がカウンターアタックを仕掛け、ここにナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)とアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が合流する。クヴィアトコウスキーは出遅れながらも、ウランらのサポートを得て淡々とペースを刻んだ。

残り1kmを前に先頭クロイツィゲルに追走グループが合流。ほどなくしてクヴィアトコウスキーを含むメイン集団も合流する。クロイツィゲルらの動きは封じ込められ、そこからリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)のプッシュが始まった。

ポートの強力なリードによって先頭はコンタドール、キンタナ、スカルポーニの4人に。クヴィアトコウスキーらを振り切って、残り200mからスプリントを開始したコンタドールが先着した。

7時間近い山岳ステージを先頭で終えたコンタドールは、ヴォルタ・アン・アルガルヴェの山頂フィニッシュに続く今シーズン2勝目。「冬場のトレーニングの成果を確認できる勝利。大きな自信に繋がるよ。ステージ優勝を掴むことが出来て嬉しいものの、まだまだ総合争いをひっくり返すのは難しい。またチャレンジするよ」と、総合2位に浮上したコンタドールは語る。

クイーンステージでタイムロスを10秒に抑え込んだクヴィアトコウスキーが総合首位をキープし、16秒差でコンタドール、23秒差でキンタナが続く。まだまだ総合7位まで1分以内であり、総合争いは翌日の「ムーロ・ディ・グアルディアグレーレ」で再び加熱するだろう。フィニッシュ手前に登場する最大勾配30%・平均勾配22.5%の壁が今大会の目玉だ。

新城幸也(ユーロップカー)は多くのスプリンターたちとグルペットを形成し、30分遅れでフィニッシュ。レース後に「やっとゴールしたっていう感じでした。予想以上の寒さとコースのきつさだった」と振り返っている。

選手コメントはレース公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。

キンタナを振り切ってフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)キンタナを振り切ってフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Riccardo Scanferla


ティレーノ〜アドリアティコ2014第4ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
7位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)
10位 ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)
159位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
6h39'56"
+01"
+05"


+08"
+10"
+11"

+17"
+49"
+30'10"



個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
7位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
8位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
10位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
16h06'42"
+16"
+23"
+34"
+38"
+39"
+49"
+1'01"
+1'02"
+1'03"



text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla

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