終盤にかけて標高495mと標高417mの山岳が組み込まれたドバイツアー最難関の第3ステージ。登りのアタックをくぐり抜けた40名によるゴールスプリントで、再びマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が勝利した。



選手の頭上をエミレーツ航空が通過選手の頭上をエミレーツ航空が通過 photo:Tim de Waele


ドバイツアー2014第3ステージ・高低図ドバイツアー2014第3ステージ・高低図 image:RCS Sport今大会最長&最難関の第3ステージ。海沿いのドバイを発ち、内陸部のハッタにゴールする162kmのコースには、標高495mの第1山岳(128km地点)と標高417mの第2山岳(155km地点)が登場する。最後の山岳からフィニッシュラインまでは7kmで、しかも残り3kmは登り勾配。オールラウンダーたちにとっては格好のアタック場所だが、好調のスプリンターを振り切ることは出来なかった。

単独で粘り強く逃げるアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、スカイダイブドバイ)単独で粘り強く逃げるアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、スカイダイブドバイ) photo:Tim de Waeleレースは序盤から6名が逃げる展開。2日連続で逃げに乗ったウィリー・スミット(南アフリカ、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)は中間スプリントで積極的にポイントを稼ぎ、第3ステージ終了時点でスプリント賞トップに立っている。

ドバイを離れ、内陸の山岳地帯に向かうプロトンドバイを離れ、内陸の山岳地帯に向かうプロトン photo:Tim de WaeleBMCレーシングチームの集団牽引によって逃げのリードが縮まると、アレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、スカイダイブドバイ)が独走を開始。カチューシャやIAMサイクリングを経て、現在ドバイチームに所属するプリウスチンが粘り強く逃げ、1分20秒リードで残り10kmに差し掛かる。

やがてメイン集団ではスプリンターを振るい落とすペースアップが始まり、モビスターやキャノンデールのコントロールによって先頭プリウスチンは吸収。そこからトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がアタックを仕掛け、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)が素早く反応する。

世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)のアタックも実らず、40名ほどの小集団が残り1kmに差し掛かる。サガンの絶好のチャンスと思われたが、小集団にはキッテルやマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が残っていた。



内陸の山岳地帯を進むプロトン内陸の山岳地帯を進むプロトン photo:Tim de Waele
登りでアタックを仕掛けるトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)登りでアタックを仕掛けるトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waeleアタックを仕掛けるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)アタックを仕掛けるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele


スプリント2連勝を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)スプリント2連勝を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:RCS Sport登りで集団に食らいついたカヴェンディッシュが失速する一方で、レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ジャイアント・シマノ)のアシストを受けてスプリントに持ち込んだキッテル。前日に優勝したばかりの25歳が、再び先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。

リーダージャージを守ったテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)リーダージャージを守ったテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) photo:RCS Sport最も難易度の高いステージで、おそらく最も体重のある選手の1人キッテルが勝利。レース後のインタビューでキッテルは「今日は登りでのアタックを封じ込める必要があったので厳しかった。おそらく今日の登りが自分の中の限界だと思う。(登りが厳しい)ミラノ〜サンレモで勝てるとは思えないけど、登りを含むレースでも勝てるように、登りの力を磨いているんだ」とコメント。また「明日も勝つ自信があるよ」とも。

リーダージャージを着るテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)はスプリントに絡まず、集団内でゴール。初日の個人タイムトライアルで稼いだリードを保持したまま最終ステージに挑むことになった。最終第4ステージはドバイ市内で行なわれる平坦ステージだ。

ヴィーニファンティーニの宮澤崇史と石橋学は3分32秒遅れでフィニッシュ。宮澤は「スタートから、昨日逃げたウィリーを逃げに入れポイントジャージを取りに行く作戦。集団はBMCが引き、上りへ向かう。今日はチームメイトのデネーグリのエースで戦う作戦の中、先頭集団に残す事が出来ず結果を出す事は出来なかった。明日の最終ステージは勝負に行くレースにしたい」とコメントしている。



ドバイツアー2014第3ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)          3h47'52"
2位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
4位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、ガーミン・シャープ)
5位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ジャイアント・シマノ)
6位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
9位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
10位 ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)
93位 石橋学(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)            +3'32"
96位 宮澤崇史(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)

個人総合成績
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)           6h50'24"
2位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシング)           +15"
3位 ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ガーミン・シャープ)       +17"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)      +23"
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)  +26"
6位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)             +29"
7位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)           +33"
8位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
9位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、キャノンデール)           +36"
9位 ペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシングチーム)         +38"

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

スプリント賞
ウィリー・スミット(南アフリカ、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)

ヤングライダー賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, RCS Sport