沢田時と、ジュリアン・トラリュー。共にBSアンカーに所属するXCライダーであり、日仏のU23ナショナルチャンピオン。変革を遂げるブリヂストン・アンカーMTBチームへのインタビュー後編では、そんな二人の若きチャンピオンへと話を聞いた。



ジュリアン・トラリュー「UCIワールドカップで表彰台に乗ることが目標」

現フランスU23チャンピオンであるジュリアン・トラリュー現フランスU23チャンピオンであるジュリアン・トラリュー photo:Makoto.AYANO今年アンカーMTBチームの台風の目となるのがフランスU23XCOチャンピオン、ジュリアン・トラリューだ。トリコロールのアンカージャージを着たフランス人チャンピオンの存在とは? フランスでチームの指揮をとるトマ・ヴィクター監督の紹介と通訳で話を聞いた。

ーヴィクター監督、彼について紹介をお願いします

2010年のフランスジュニアチャンピオンで、2013年のU23フランスチャンピオン、そして南アフリカの世界選手権U23でもシングルリザルトを残しました。フランスで(沢田)トキや、(山本)幸平の面倒を見ているコーチがいるのですが、ジュリアンもそのコーチに教えを請う一人でした。その繋がりで私が監督を務めるアンカーへと加入することになったのです。

チーム側として彼を加入させた理由は、同年代であるトキとチーム内で競わせることによって共に能力を高め合い、将来的に日本を代表するトップライダーになるであろうトキをステップアップさせることにあります。

ジュリアンはMTB選手として、かなり完成された才能を持っていると思います。登坂も平坦も押し通せるパワーがありますし、テクニックもある。

ロードレースも走っていますが、スプリントが得意ながら丘陵地も問題なくこなすことができます。実際に2013年はフランスカップの1レースを制していますし、その時はゴール前1kmが登りのレイアウトでした。パンチャーというジャンルに入るでしょうね。

「今シーズンの目標はUCIワールドカップでの表彰台」「今シーズンの目標はUCIワールドカップでの表彰台」 photo:Makoto.AYANO
ジュリアン・トラリューと、トマ・ヴィクター監督ジュリアン・トラリューと、トマ・ヴィクター監督 photo:Makoto.AYANOヘルメットに記されたネームと、U23チャンピオンの証ヘルメットに記されたネームと、U23チャンピオンの証 photo:Makoto.AYANO


今シーズンの目標は、UCIワールドカップでポディウムを穫ること。実際に彼の力なら可能だと思いますし、勝つチャンスもあると思います。

ーフランスチャンピオンが日本のチームに加入することをどう考えていますか?

ハハハ、普通に考えたら違和感あるように思うでしょうが、アンカーは私の主導のもと、昨シーズンはずっとフランスで活動していました。レースファンの間ではアンカーの名前はだいぶ定着してきましたし、そこにジュリアンが加わることはあまり不自然ではないと考えています。ジュリアンにとってもチームにとっても良い関係が築けるし、良い体験にはるはずです。

初めて日本食に挑戦するジュリアン・トラリュー初めて日本食に挑戦するジュリアン・トラリュー photo:Makoto.AYANOーフランスと日本、最も大きなMTBレース環境の違いはなんでしょうか?

フランスでは200人ほどの有力なジュニア選手がいるとして、5年後にプロ選手になっているのは5人ほど。その点日本では、同じようなレベルのライダーであればプロチームに入って、しっかりとした賃金がもらえます。

ですから日本人選手はラッキーだと思いますよ。日本には中原義貴や山田兄弟、横山航太など優秀な選手が多いですから。これからに期待したいですね。




ナショナルチャンピオンジャージを着る沢田時ナショナルチャンピオンジャージを着る沢田時 photo:Makoto.AYANO沢田時「シクロクロス世界選で良い結果を出したい」

ー2013年はどのようなシーズンでしたか?

2013年シーズンのMTBは特にワールドカップなどでつまらないミスがあったりとなかなか成績が出せませんでしたね。国内で活動したシクロクロスに関しては、「MTBでは海外で走っているんだから、国内でもやれるだろう」と気持ちだけ高ぶらせてしまい、空回りが続いてしまったような感じ。ですが今シーズンはMTBシーズンが終わった後にしっかりと休息をとったので、かなり良いコンディションで臨むことができています。

日本ではまだスポーツ選手が「休む」ということがあまり良しとされていないのですが、フランスは違いました。ちょっと向こう(フランス)は休み過ぎかなと思うところもありますが(笑)、それに慣れるとレースでも良いパフォーマンスが発揮できるんです。だから今シーズンからは積極的に休む日を入れるようになり、そのためあまり疲れが無かったですね。

先日の全日本選手権では、今できるだけのパフォーマンスを示すことができた。実際にはトップの竹之内さんとはまだ差を感じますが、来シーズンはより良い成績を求めていきたいですね。

「ジュニア時代の日本人最高位を、アンダーカテゴリーでも更新したい」

既にUCIワールドカップ2戦を消化している既にUCIワールドカップ2戦を消化している photo:Sonoko Tanaka今シーズンは残るシクロクロスワールドカップに出場し、U23カテゴリーで世界選手権に出場するつもりです。ジュニア時代には16位(日本人歴代最高位)という成績を残しているので、それをアンダーで更新したいと考えてます。

沢田時とジュリアン・トラリュー。トマ・ヴィクター監督がまとめ役を務める沢田時とジュリアン・トラリュー。トマ・ヴィクター監督がまとめ役を務める photo:Makoto.AYANOもちろんMTBが本業ではあるのですが、シクロクロスはトレーニング、という考えは持っていません。自分の中で機材も体調も万全に整えないとトレーニングの意味合いも無いと考えていますし、MTBシーズンはMTB、シクロクロスシーズンはシクロクロスに集中します。ですから今、来るMTBシーズンに向けての調整などは考えていませんね。

僕は10分間程度の登坂は得意で、これは日本のMTBコースにもマッチしているのですが、海外だとスプリント的なダッシュが求められる短い坂が多いんです。ですから今は短時間で爆発できる力と、回復力を育てることに注力しています。やはりオフロード競技は脚力だけがあってもダメで、心技体全てが充実していないと速く走れないんです。だから何かに特化した練習と言うよりは、全てのことをバランス良く高めるよう練習内容には気を使っていますね。

まだ分からないことだらけではあるのですが、最近は力の出し方のバランスというか、今がダメでもこの時には大丈夫、という自分自身の体調のリズムをつかめるようになってきたことが自分の中での変化ですね。客観的に見ることができるようになってきたということでしょうか。

ジュリアンが加入しましたが、どう感じていますか?

彼とは2013年の1月からフランスで出会って、同じレースに出場したりとずっと行動を共にしてきました。ぱっと見はあまりピリピリとしていなくて速そうに見えないのですが、レースとなると一転、めちゃくちゃに強い。彼はスプリント力や爆発力など、日本人が一番不得意としているところが強い。ですからお互いに刺激しあって、共に能力を高めていきたいですね。

アンカーチームとして、ジュリアンは2014年でアンダーカテゴリーが最後です。だから彼がエリートに上がった後には、僕がアンダーのエースとしてチームを引っ張っていかねばならない責任を感じています。ジュリアンと二人、お互いにアンダーのナショナルチャンピオンですから、とても嬉しい気分ですよ。



ブリヂストン・アンカーMTBチーム使用機材

ブリヂストン・アンカーが使用するXR9ブリヂストン・アンカーが使用するXR9 photo:Makoto.AYANO
2014年、アンカーはチーム体制のみならず使用機材も一新する。従来26インチやプロトタイプの29インチ、650Bモデルを選手の好みに合わせて使用してきたが、今シーズンは2014年モデルとしてデビューした650Bのフルカーボンレーシングモデル「XR9」へと統一された。

PRO製品でまとめられたハンドル周りPRO製品でまとめられたハンドル周り photo:Makoto.AYANOタイヤには新開発のエクステンザXR1を使用するタイヤには新開発のエクステンザXR1を使用する photo:Makoto.AYANO

リアエンドのレッドはアンカーのチームカラーだリアエンドのレッドはアンカーのチームカラーだ photo:Makoto.AYANOコンポーネントはシマノXTRを使用するコンポーネントはシマノXTRを使用する photo:Makoto.AYANO


プレスフィットBB、カーボンエンドなど最新のスペックを搭載した3ピース構造HMカーボンフレームにはシマノ・XTRコンポやサンツアー製サスペンションを組み合わせる。タイヤにはブリヂストンが新規開発した「エクステンザXR1」を導入することがトピックスだ。(選手用と販売用では仕様が異なる。販売スペックはこちらから参照のこと)


text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano


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