比較的買い求めやすいリーズナブルな値段設定と、それを凌駕する走行性能で高い人気を誇るトレックのミドルグレードロードバイク、マドン4。2013年にフルモデルチェンジしたマドン5〜7シリーズに続き、2014年モデルでは遂に上位モデル同様のKVFチューブデザインを取り入れ進化を押し進めた。

トレック マドン4.3トレック マドン4.3 (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
おそらくロードバイクやプロレースに興味を持つほとんどの方に知れ渡っているであろうマドンという名は、南フランスはコートダジュール、地中海に面した標高900mの峠「Col de la MADONE」に由来する。

その名を受け継いだトレックのロードバイクは、これまでにプロサイクリング界において、長年に渡りグランツールやクラシックレースを初めとする数多くの栄光を勝ち取ってきた血統書付きの名機と言えるだろう。

ダウンチューブ下側に記された「OCLV400」のロゴマークダウンチューブ下側に記された「OCLV400」のロゴマーク リラックスしたポジションを可能とするE2ヘッドチューブリラックスしたポジションを可能とするE2ヘッドチューブ フォークもフレーム同様にエアロに配慮したもの。薄いが、横剛性は十分だフォークもフレーム同様にエアロに配慮したもの。薄いが、横剛性は十分だ


そんな輝かしい経歴を誇るピュアレーシングモデル「7シリーズ(現行のトップモデル)」や、「6シリーズ(2010年までのトップモデル)」を筆頭として、現在マドンのラインナップはボトムラインのアルミモデル「2シリーズ」まで含めれば実に6種類。

それぞれは大まかに使用するフレーム素材等によって差別化が図られており、いずれも価格以上の作り込みや性能に定評がある。ライバルブランドと比較してもバリエーションの豊富さは顕著であり、目的の一台を選び出すにも最適と言えるだろう。

ホイールはフレームと同カラーでコーディネイトされているホイールはフレームと同カラーでコーディネイトされている 上位モデル同様のKVF形状チューブを採用し生まれ変わった上位モデル同様のKVF形状チューブを採用し生まれ変わった

コンポーネントはシマノ105をベースとしたものコンポーネントはシマノ105をベースとしたもの マッシブなBB90ボトムブラケットマッシブなBB90ボトムブラケット


今回インプレッションを行うマドン4シリーズは、完成車価格で20万円台といういわゆる「ボリュームゾーン」に当たるモデルとして確固たる地位を築いてきた中堅機だ。トレックは2013年モデルでマドン7〜5シリーズをフルモデルチェンジさせたが、4シリーズは前年からの継続であった。しかし2014年モデルで、遂に4シリーズは上位モデル同様のエアロ形状を纏ってフルモデルチェンジ。走行性能のブラッシュアップを図ったのである。

しなやかさと剛性・強度を兼ね備えるOCLV400カーボンはそのままに、生まれ変わったマドン4最大の特徴は、上位モデルと同じKVF (Kammtail Virtual Foil) システムを取り入れたことだろう。翼断面の後端を切り落としたかのようなフォルムはあらゆる方向からの風に対処し、ライダーの疲労をより少なくさせ、目的地へとより早く到達させるもの。上位モデルとほぼ同じディティールを得た4シリーズは、同時に「所有する歓び」も身につけたのだ。

左側チェーンステーに埋め込めるデュオトラップセンサー対応左側チェーンステーに埋め込めるデュオトラップセンサー対応 リアエンドにはフェンダーマウントが目立たないよう配置されているリアエンドにはフェンダーマウントが目立たないよう配置されている


一方で差異もある。7〜5シリーズではリアブレーキをBB下に設置しているが、4シリーズでは従来と同じくシートステー上部にブリッジを設けて取り付ける。BB下ダイレクトマウント方式に比べ、エアロ性能とシートステーをしならせることで生まれる衝撃吸収能力で見れば不利ではあるものの、整備性の高さはむしろ、4シリーズをチョイスするホビーライダーには大きなメリットがあるだろう。

また、BB90や上1-1/8、下1-1/2インチのE2ヘッドチューブ、ケーブル内蔵システム、右チェーンステーに埋め込まれたデュオトラップセンサーなど、上位機種同様の機構を数多く備え、更にリアエンドにはフェンダー用のマウントを備えるなど単なるレーシングモデルだけでない側面も持ち合わせているのだ。

シンプルなリアバックの造形を見るシンプルなリアバックの造形を見る 上位モデルとの差異として、リアブレーキ位置が挙げられる。整備性は良好だ上位モデルとの差異として、リアブレーキ位置が挙げられる。整備性は良好だ ライドチューンドマストではなく、通常のカーボンシートピラーを装備するライドチューンドマストではなく、通常のカーボンシートピラーを装備する


また、2014年モデルより4シリーズはプロジェクトワン対応となったことも大きなトピックスだ。従来ハイエンドモデルに限定され敷居の高かったオーダーシステムがより身近な存在となり、当然プロチームと同じペイントも選択可能だ。

今回テストする「マドン4.3」は、コンポーネントにシマノ105(クランクやカセットは異なる)、ホイールやハンドル周り、サドル類を全てボントレガー製品でまとめ上げた25万円の完成車。早速インプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「適度な巡航性と加速性を持つ、ハイコストパフォーマンスなバイク」新保光起(Sprint)

加速性能と巡航性能を併せ持った、ハイコストパフォーマンスな一台です。アップライトなジオメトリーで楽にロングライドからレースまで対応できるバランス感がありますね。

ヘッドからトップチューブとシートチューブ、リアバックが硬く、全体的によれが無い一方で、BB周辺はしなやかであるため踏み心地はマイルド。フロントフォークは前後には柔らかく、ハードブレーキング時にはしなりを感じますが、横方向に対しては堅牢でブレがありません。

「適度な巡航性と加速性を持つ、ハイコストパフォーマンスなバイク」新保光起(Sprint)「適度な巡航性と加速性を持つ、ハイコストパフォーマンスなバイク」新保光起(Sprint)
今回から採用されたトップモデル同様のKVF形状はエアロ性能の向上を狙ったもの。ホビーライダーレベルでは受ける恩恵は多くありませんが、高速巡航やダウンヒル時のスピードの伸びには少なからず効力があるでしょう。

全体の剛性がしっかりとしているため、例えばゼロ発進からのダンシングでは気持ちの良い軽快感があり、中速域の巡航までは上位モデルと遜色の無いパフォーマンスを実感できました。その先の高速域への加速に関しては上位モデルに比べやや鈍る傾向がありますが、バイクのターゲット層を考えれば十分だと言えます。

その性格はハンドリングにも通じ、高速ではややオーバーステア気味であるものの、全く慣れの範疇で収まっているので問題にはなりません。操作に対してキビキビと反応して気持ちが良いですし、危険回避運動に遅れをとることもありませんでした。

剛性だけにフォーカスすればレーシング寄りですが、センサーの内蔵化やアップライト寄りのポジションなど、様々な遊び方ができるよう配慮されているように感じますね。ホイールを変更することで、よりレーシーな方向へ変えたり、ロングライド方向へと色を変える事ができます。そうした場合にはハイトが低いカーボンホイールを履かせると、より走りの幅が広がりますね。

レースに参加する場合には、軽量で剛性の高い完組みホイールなどがお勧めですね。足元の剛性を上げスピードの増減に対応できるようにすれば、充分戦闘的なレース機材になります。JPT選手などでは物足りなさを感じるでしょうが、エリートクラスなら十分な戦力になるはず。低〜中速域の走りが光るため、修善寺のようなアップダウンのあるコースに適しているのではないでしょうか。

少し昔のハイエンドモデルに近い性能があり、非常にコストパフォーマンスに長けるこのバイク。ルックスが好みならば誰にでもフィットしてくれるでしょう。


「理想に近い性能バランスを持つロードレーサー」鈴木祐一(RiseRide)

「理想に近い性能バランスを持つロードレーサー」鈴木祐一(RiseRide)「理想に近い性能バランスを持つロードレーサー」鈴木祐一(RiseRide) 時代にマッチした、完成度の高いマシンです。ダッシュした際のパワー伝達が優秀で、スピードの伸びに繋がっています。ハンドリングのバランスもとれているため、いかなる場所においてもストレスフリーですね。

ジオメトリーはオーソドックスな設計ですが、フォークとリアバックの振動吸収性が良く、巡航しているときの微振動をカットし、体へのストレスを軽減してくれます。一方で路面状況の的確な伝達もあり、「あぁ、これはレーシングバイクなのだな」と感じますね。とにかくホビーレーサーを対象とするならば非常に性能バランス感に優れたバイクでした。

このマドン4は比較的重心が高く設定されていることで、ダンシングやコーナリングなど、バイクを振る動作が行いやすい。通じて軽快であることが特徴です。ライダーが何もせずともバランスをとってくれるほどの安定感があるので、何も気を遣うことがありません。

ハンドリングに関しても同様で、ライダーとバイクの気持ちよい一体感が強い。バイクの傾斜角とハンドルの切れ込み角が最適で、気持ちよくコーナリングできました。自転車を操るという点については、かなりハイレベルであると思います。

巡航性能も今回からエアロ形状であるKVFチューブを採用していて、スピードの維持がしやすくなりました。空気抵抗を感じ始める時速35kmからのスピード維持がしやすかったです。そこから、時速38kmなどに加速するのには、よりエアロ形状である必要があると感じました。

このバイクはケイデンス高めの走り方が合っているでしょう。フレームがソフトですからペダリングの反力を感じにくく、通じてロングライドでは脚の疲れも少ないでしょう。しかし600W~700Wぐらいのビッグパワー出して踏み込んでしまうとパワーが逃げてしまう感じはします。勾配がゆるく長時間かけて登るようなヒルクライムや、グループライド、JCRCのBクラス以下のレースという場面においては最も活躍してくれるでしょう。

完成車パッケージはシマノ105のフルセットですから、ブレーキを含めて何の心配もありません。バイク全体のバランス感や性能、パーツアッセンブルも含めて非常にコストパフォーマンスは高いでしょう。本当に優等生なバイクですから、やや値は張りますが入門者の最初の一台としてもオススメしたいですね。

トレック マドン4.3トレック マドン4.3 (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp

トレック マドン4.3
カラー:Trek Black/Crystal White、Fastback Orange/Starry Night Black
フレーム:400 Series OCLV Carbon, KVF (Kammtail Virtual Foil) tube shape, E2, BB90, internal cable routing, DuoTrap Compatible
フォーク:Madone KVF carbon, E2
サイズ:50, 52, 54, 56, 58, 60cm
ホイール:Alloy hubs w/Bontrager Approved rims
タイヤ:Bontrager R1 Hard-Case Lite, 700x23c
コンポーネント:シマノ 105ミックス
サドル:Bontrager Affinity 1
シートポスト、ハンドル、ステム:Bontrager
価 格:248,850円(標準小売価格)



インプレライダーのプロフィール

鈴木祐一(Rise Ride)鈴木祐一(Rise Ride) 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。

サイクルショップ・ライズライド


新保 光起(Sprint)新保 光起(Sprint) 新保 光起(Sprint)

1995年に日本舗道よりプロデビュー。以後スミタラバネロパールイズミから愛三工業レーシングと渡り歩き、2000年ツール・ド・北海道での山岳賞獲得や2002年ジャパンカップで日本人最高位の7位に入るなどオールラウンダーとして活躍する。引退後は関東近郊のプロショップにて修行を積み、今年6月、横浜にプロショップ「Sprint」をオープン。普段はMTBでトレイルライドを楽しむ。

Sprint



ウエア協力:biciビエンメ

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO

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著者:
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