新城幸也インタビュー　4度目のツール・ド・フランス完走を遂げて

自身4度目となるツール・ド・フランスを走りきった新城幸也（ユーロップカー）に、パリ・シャンゼリゼで3週間の感想を訊く。

シャンゼリゼを日本チャンピオンジャージを着て走る新城幸也（ユーロップカー） (c)Makoto.AYANO
新城の成績は総合優勝のクリス・フルーム（スカイプロサイクリング）に2時間54分53秒遅れの総合99位。チームバス前で収録した共同インタビューより。

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今日の最終ステージを終えた感想を教えて下さい。
ダニエル・マンジャスさんにより新城幸也がステージで紹介される (c)Makoto.AYANO
こうしてまたシャンゼリゼを気持ちよく走れて、ほっとしました。ここを走ると、これがツールなんだ、と感じますね。

4度目のツール・ド・フランス完走を表す「指4本」 (c)Makoto.AYANOなにか今までの3回のツールとは違う点はありましたか？

やはり自分の経験値が違ったのは大きくありますね。今回はコルシカ島に渡ったりと、いつもと違うツールではあったんですが、自分が経験してきていることも増えているので、状況の変化にうまく対応できたと思います。

今回のツールはずばり何点でしょうか？

点数をつけるのは難しいけれど、やれることはやったツールかな、と思います。ただ個人としてもチームとしても結果に結びつかなかったんですが、挑戦してそれがダメだっただけですから、決して良くなかったわけでなくて、仕方がないことだと思います。

新城幸也応援団がスタートに詰めかけた (c)Makoto.AYANOツール全体を通してみての走りはいかがだったでしょう？

逃げを打てた回数が去年ほど多くはなかったりと、派手ではなかったかもしれませんが、試したことは間違いないので、結果が出なかっただけで別に内容が悪いツールだったとは思っていないですね。満足はしています。

自分で評価できること、反省するところは？

試したことがいつもうまくいくなら多くのレースに勝ってます（笑）。自転車レースは上りも平坦もあって、それぞれのスペシャリストがいて、戦略も複雑なので本当に結果を出しにくいスポーツですね。改めて思います。

21ステージを通しての収穫は？

世界最高のレースであるツール・ド・フランスを、こうして4度目の今回もまた完走できたこと。自分にとっては財産です。この経験を次につなげていかなくてはいけないし、今回果たせなかったステージ優勝についても、また1年間コツコツと努力して積重ねて、来年またツールに戻ってきて目標が実るようにしなければいけないですね。

第12ステージで落車に巻き込まれた新城幸也(ユーロップカー) (c)CorVos前日の落車で負った指の怪我を見せる新城幸也(ユーロップカー) (c)Makoto.AYANO怪我もあったわけですが、乗り切った感じはしますか？

今日のこの石畳の上を走るのは正直かなり痛いですね。足が痛いのは皆一緒なんです。足が痛くない人は誰もいない。我慢しなければいけない日もあるんですが、ハンガーノックを除けば大きく悪い日が無かったので、満身創痍という程ではなかったですね。

他のツールに比べるとましだった。この経験は自分でしかわからないし、人に教えられるものではないので、経験を積むことは大きいですね。

チームバスの中で痛めた肋骨の治療を受ける (c)Miwa.Iijima24分遅れで第18ステージのゴールを目指す新城幸也（日本、ユーロップカー） (c)Makoto.AYANO沿道に応援が増えたと感じますか？

増えましたね。とても嬉しかったです。日の丸や自分の名前の応援旗が増えたのは嬉しいですね。走っていて良く見えました。全日本チャンピオンジャージで出場できたことも大きいですね。名前で呼ばれることが多かったので、それもいいもんですね。

来年のツールに向けて思うことは？目標が立ちますか？

チームとしてもステージ優勝できなかったですから、まずそれを叶えないといけないですね。その前にチームがツールに選ばれるようにコツコツ頑張らなければいけないですし。

今夜は乾杯が続きますか？

もうすでに昨夜飲んでいますが（笑）。でも今夜はここで飲むシャンパン、これはやはり他とは違います。

3週間、どのタイミングが「走りきった」と感じましたか？

回を重ねるごとに、「乗り越えた」「ほっとした」という感覚は少なくなってきますね。明日もステージがありそうな気がするのは僕だけでしょうか？（笑）

第19ステージでは雨の冷たさとハンガーノックに苦しんだ (c)Makoto.AYANOツールで勝つことの難しさを感じたツールだったんじゃないでしょうか？

ツールは出場している選手皆が勝ちたいレースなので、どうしても勝ちたいステージがかぶりますね。もちろんアシストとして割り切っている選手もいるんですが、その選手だって勝てるチャンスがある日は仕掛けてくる。

誰もがチャンスを感じるそのとき、そのセレクションに残れるかどうかは本当に難しい。勝負に絡める展開を迎えたいと思いますね。

ツール以外の目標はこれから何でしょう？ディフェンディングチャンピオンとして走るツール・ド・リムザンの連覇でしょうか？

それはありますね。もちろん挑戦はします。他にもプロツアーレースのケベックやロンバルディアなどが残っているので、ワンデイレースにも挑戦したいですね。

イタリア・フィレンツェで開催される世界選手権は？

まだ周回コースのプロフィールなどを確認していないんですが、キツイという話なので、また逃げに乗りたいですね。絞られた集団の頭が取れるよう、また10位以内になれるように走りたいですね。

最後に日本で応援してくれた人たちにも一言お願いします。

皆さんも3週間お疲れ様でした。応援ありがとうございました。乾杯しましょう！

4度目のツール・ド・フランス完走を果たした新城幸也（ユーロップカー） (c)Makoto.AYANO

text:Makoto.AYANO