ピレネーのステージを終えて、休養日となったチームや関係者たち。この休養日に記者会見を行なう選手や関係者もいれば、ちょっとした息抜きのネタを公開するチームもある。彼らのコメントから第1週を振り返り、今後を予想してみよう。

総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

記者会見に臨むアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)と、ナイロ・クインターナ(コロンビア)記者会見に臨むアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)と、ナイロ・クインターナ(コロンビア) (c)movistarteam.comここまでのツールに関しては、本当に上出来だと思う。脅威だと思っていた第1週を終えて総合2位につけた。また(第1週終盤の)ピレネーの2ステージは、観客にとってもチームにとっても、ひとりの人物の素晴らしい演出によって本当に圧巻だった。昨日、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が孤立していたのは真実だ。

高いチーム力を誇るモビスター。黄色いヘルメットはチーム総合首位の証高いチーム力を誇るモビスター。黄色いヘルメットはチーム総合首位の証 (c)Makoto.AYANOでも、ヒルクライムやダウンヒルで単独走行はよく見かけるし、実際にフルームを登坂で振い落とすのは難しいと思う。集団の速度は1日中速かった——さらに加速してしまい、より複雑な状況になった。これにより総合争いからリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)を落とすことができたのは、自分たちにとっても、そして今年のツールを振り返る上でも重要だと思う。

クリス・フルーム、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)、プリト[ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)]といったすべてのライバルにはかならず弱点がある。レースはこれからが長くなりそうで、アルプスの全4ステージが残っている。どのステージも本当にハードだと思う。今年のスカイが去年ほどの強さを持ったチームではないということを確認した。そして、フルームは今後も昨日のように孤立し、ぼくたちが彼を攻撃することになると思う。

現段階では、フルームに対して、どのチームとも協調態勢を取るのは難しいと思う。昨日、フルームが孤立していたときが協調態勢を試すよい機会だったはずだが、そうならなかった。一方、前のほうで、ぼくたちのチームは単独でがんばっていた。仮にうまい協調態勢が築けていたら、ちがった結果になっていたはずだ。

昨日のようなシチュエーションの再現は難しいだろう。だけど、これからは多くの山岳が残っているし、総合のライバル勢のそれぞれにバッド・デイが訪れて、なにもかも失ってしまう可能性もある——たとえば昨日のリッチー・ポルトのように。彼はそれまでは2番目に強かった選手だが、ああいうことになってしまった。ツールはパリにたどり着くまで、勝ち負けがわからないものだ。

雰囲気の良いモビスター(写真は第8ステージ)雰囲気の良いモビスター(写真は第8ステージ) (c)Makoto.AYANOドーフィネでの個人TTからもわかるように、フルームがぼくや他のライバルたちよりも速いのは明らかだ。だから、彼に対してはできる限りタイム差が開かないことを願って、他のライバルたちと同タイムか少し上回るくらいの順位を狙いたい。ぼくたちはまだ総合争いに残っているが、まずはこの順位に入っていることに感謝して、これからもがんばっていきたいと思う。

協力な山岳アシスト、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)協力な山岳アシスト、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:MakotoAYANOそれから、ナイロ・クインターナ(コロンビア)の成果についても注目してほしい。彼は今シーズンのワールド・ツアーのレースで何勝もし、その実力を示してきた。いまや登坂ではフルームにつぐ優秀な選手であることを見せてくれている。彼がチームメイトであることは、他のライバルよりも有利なのは明らかだ。個人的には、彼は将来1つ以上のグランツールで総合優勝する選手のひとりだと思っている。

ステージ優勝なしにパリでの表彰台を狙うか、ということについて。仮に、そういう申し出があれば、その契約にサインするだろう。これまで(ツールで)ステージ優勝の経験はあるけど、(パリで)表彰台に立ったことはない。現在が、ぼくのキャリアのなかでベストな時期だと思う。昨年のツールでは、落車のせいでそれを証明できなかった。でも、ブエルタで自分がベテランの域に達していることを証明し、ツールで表彰台に立つ可能性があることを示せたと思う。

まだまだ残りの距離はあるけど、これからは自分のレースを楽しんで、総合争いに全力を注ぎたい。チームメイト全員に感謝を述べておきたい——彼らは初日から昨日まで素晴らしい仕事をしてくれた。ホセイバン・グティエレス(スペイン)についても同様だ。彼は昨日バッド・デイになってしまい、リタイアせざるを得なかった。彼が去ったことを残念に思う。


新人賞・総合7位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)

第8ステージ、パイエール峠を駆け上がるナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)第8ステージ、パイエール峠を駆け上がるナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) photo:A.S.O.いまのところ新人賞を守れている。これをいつまでキープできるかはわからない。当面は総合トップ10にいると思う。できれば、この順位と新人賞ジャージをパリまで守りたいと願っている。

新人賞ジャージを着用しているナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)新人賞ジャージを着用しているナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) photo:A.S.Oだけど、ぼくの契約としてはチームとアレハンドロのほうが優先される。ぼくにはツールでの役割があって、それはチームの選手全員がアレハンドロに尽くすという点で共通している。今年のツールでは、ぼくたちのチームが最強のメンバーだということは証明できた。これからも高いレベルで戦い続けていきたいと思う。

個人的にも山岳でフルームに勝ってみたい。でも、より冷静になる必要がある。これから先の残りステージの数も多く、ツールは自分にとって相当ハードになっていくからだ。アレハンドロは落ち着いた人物で、自転車に乗っているときも、レースから離れたときもそれは変わらない。彼はぼくにとって目標の人物だ。

自分以外の選手より優れていることを誇りに思いがちな選手が多いなか、彼はそうじゃないからだ。彼のパーソナリティを好きなだけではなく、彼自身を本当に尊敬し、憧れを抱いている。それから、現段階ではモビスターチームが今年のツールで最強のチームだと思っている。それを昨日のステージで証明できた。ぼくたちチームは全員が強力だから、そこで他のライバルたちに差をつけられると考えている。


総合6位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)

記者会見に現れたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)記者会見に現れたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:Cor.Vos(第9ステージでアタックしなかった理由について)レースでの駆け引きに注目していて、終盤でのアタックは意味がないと考えた。まだ30kmも残っていて、集団内の選手も多かった。最後から2番目の山岳もあまりハードではなかったため、次のタイムトライアルまでに体力を温存したかった。

(アタックしないことは)自分で決めた。このケースについては、自分の感覚を信じて決めたほうがベストだ。

(フルームと彼のチームの強さについて)彼のチームに弱点がある可能性がわかっただけでも収穫で、とても驚いた。今度チャンスがあれば、挑戦してみるつもりだ。

大勢の記者の前で語るアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)ら大勢の記者の前で語るアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)ら photo:Cor.Vos

第8ステージで遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)第8ステージで遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:Makoto.Ayano(第9ステージは)完璧なシチュエーションではなかった。フルームとも一緒に走っていたし。それに自分の調子もかなり悪かった。チームメイトのロマン・クロイツィゲル(チェコ)のおかげで、ぼくはまだレースに残れている。次の個人タイムトライアルはフルームに適していると思う。

第9ステージはフルームらと同集団でゴールした第9ステージはフルームらと同集団でゴールした photo:Cor Vos(フルームとの違いについて)調子の違いを知るのは難しい。正確に知るにはパワーを計測する必要があるだろう。フルームは強力な選手で、ぼくの調子もいつもとは違っている。でも、さまざななことが起きる可能性もある。ぼくのキャリアのなかでも、先週のツールは厳しかった。それでもフルームは強力だった。去年のブエルタのときと、先週の彼の調子はあまり変わってないと思う。

(次のタイムトライアルについて)完全な平坦コースなので自分には難しいと思う。TTスペシャリスト向けのコースだから、その意味では自分には不利だと思う。でも、ハッキリしていることは、ぼくが全力を出すつもりであることだ。その結果を見てほしい。

先週がフルームにとってハードになりそうなのは、単なる可能性だった。これまでのところ、弱点が見あたらなかったからだ。これからも挑戦は続けるつもりだ。誰もが脚が疲労しているという条件は一緒だし、勝とうと考えない限りは、なにも達成できない。リスクをとらなければ、なにも挑戦することはできない。

(フルームが述べたように最近の自転車競技が浄化されたと思うか?)ぼくが言えることは、これまでずっとクリーンな状態でレースをしてきたし、これからもそのつもりだ。好きなふうに思ってくれていい。


チームTTのステージを逃したことで落ち込むオメガファーマ・クイックステップのパトリック・ルフェーブルCEO

第4ステージのチームタイムトライアル、トップにわずか0.75秒届かなかったオメガファーマ・クイックステップ第4ステージのチームタイムトライアル、トップにわずか0.75秒届かなかったオメガファーマ・クイックステップ photo:Cor Vosツール・ド・フランスの第1週は、気持ちがジェットコースターのように変動した。苦しみから幸せへと動いた。いまはチームの成績に満足している。われわれは、初期のうちにチーム総合成績で1位を獲得した。

第5ステージで勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)第5ステージで勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vosこれはチームが第1週にしっかり機能したことを意味している。第1週には、8〜9ステージのあいだチーム総合で5位内に入ることができて、存在感を示せた。ステージ優勝1勝については、むろん満足している。だが、1勝以上できたはずだと思う。そう。第1ステージについては、落車のおかげで勝ちを逃したと思う。

自分の人生のなかで最も落ち込んだのは、今回のチームタイムトライアルだ。わずか0.75秒差だった。いまだに思い出すだけで心が痛い。あそこで勝てていたら、3日間はマイヨ・ジョーヌが着られたはずだった。

途中新人賞ジャージをキープしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)途中新人賞ジャージをキープしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.Oわたしにとっては、このチームTTは最重要なステージだった——われわれはチームTTの世界チャンピオンで、これは何よりも名誉だと考える。しかし、負けてしまった。これがスポーツの定めだ。勝つか負けるかだ。

休養日前の第9ステージは観客としては圧巻なものだった。これぞ自転車レースというものだ。納得がいかなかったのは、ゴールでの他のチームの戦略だ。個人的には、他のチームは逃げの2名を過小評価していたのだと思う。

チーム(オメガファーマ・クイックステップ)の雰囲気は非常に良い。もちろん負けたときにはストレスもあるし、落ち込みもする。だが、スポーツディレクターたちのおかげで、チームのやる気も維持できている。彼らは非常に良くやってくれている。

ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)についても述べておく。われわれは彼に実力があることはわかっていた。だから選出した。そして、彼がその価値があることを示してくれて、とても満足している。今週はチームにとっては試練となるだろう。

チームのスプリンターたちには、いくつかスプリントステージがある。トニ・マルティン(ドイツ)やチーム内の他のTTスペシャリストたちは、水曜日のタイムトライアルに備えている。このツールのどこかのステージで新人賞ジャージをまた獲得する日も出てくるだろう。次の日曜日にはモンヴァントゥの山頂ゴールだ。そこで新人賞争いが少し本格化してくるだろう……もちろんマイヨ・ジョーヌ争いもだ!


ついにベールを脱いだオリカ・グリーンエッジの#OGEROCKS

数日前からカウントダウンが始まっていた#OGEROCKSは、オーストラリア出身のハードロックバンド「AC/DC」をトリビュートしたミュージッククリップだった。



オリカ・グリーンエッジの選手だけではなく、今大会で一躍有名になったチームバスの運転手、伝説の名選手エディ・メルクス、世界チャンピオンのフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)も登場。1分14秒付近からは昨年のジャパンカップ・クリテリウムの様子とともに、フミこと別府史之選手も登場する。


※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI
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