完走者11人の男子U23を制したのは徳田鍛造(鹿屋体育大)。男子ジュニアは黒枝咲哉(日出暘谷高)、男子U17は石上優大(横浜高)、女子ジュニアは坂口聖香(パナソニックレディース)がそれぞれ制した。

全日本自転車競技選手権大会ロードレース第1日目が6月22日(土)、大分県県民の森平成森林公園周辺特設ロードレースコース(1周15.0km)で行われた。

男子アンダー23
徳田鍛造(鹿屋体育大)が90kmを逃げて優勝

MU23 6周目、8人の追走集団MU23 6周目、8人の追走集団 photo:Hideaki TAKAGI9周135kmで行われたU23はサバイバルレースに。積極的な展開で常に集団が動く状況。1周目からアタックがかかるが逃げにはならない。3周目に吉田悠人(日本大)が単独で逃げる。メイン集団はおもに鹿屋体育大勢がコントロール。4周目にメイン集団から徳田、池部壮太(マトリックスパワータグ)、住吉宏太(日本大)の3人が抜け出す。
MU23 6周目、先頭で逃げ続ける2人MU23 6周目、先頭で逃げ続ける2人 photo:Hideaki TAKAGI
5周目にこの3人は先頭の吉田に追いつき4人に。しかし日本大の2人は上り区間で下がり、先頭は徳田と池部の2人に。先頭2人とメイン集団の差は最大3分にまで広がる。6周目、メイン集団は鹿屋勢がペースアップして30人ほどがバラバラになり、8人に絞られこれが追走集団になる。7周目の上りで先頭から池部が下がり徳田単独に。
U23 最終周回、山本元喜(鹿屋体育大)と西村大輝(シマノレーシング)の攻防U23 最終周回、山本元喜(鹿屋体育大)と西村大輝(シマノレーシング)の攻防 photo:Hideaki TAKAGI
8周目に大きくレースが動く。8人の追走集団から石橋学(鹿屋体育大)そして山本元喜(鹿屋体育大)がそれぞれアタック。西村大輝(シマノレーシング)もアタックして下りで山本を抜くが上りで追いつかれ2人に。そこから山本がアタックして西村に差をつけ3番手に。これで先頭から徳田、石橋、山本と鹿屋体育大勢が3番手まで占める。最終周回、先頭の徳田は2分近いアドバンテージを保つ。

後方は西村が追い上げて石橋をかわし山本もかわして単独2番手に。急速に追い上げる西村だったがそこまでの差が大きく、徳田が1分55秒差で圧勝。優勝した徳田は、今まで序盤から逃げてチームのアシストをすることが多かった。しかし今日は違った。力強く踏み込んでペースを落とさず、そしてエースとしてゴールを目指した。今年からNIPPOで海外を走っておりその経験が生きたとも語る。
U23 優勝と7位の徳田鍛造・優兄弟(鹿屋体育大)U23 優勝と7位の徳田鍛造・優兄弟(鹿屋体育大) photo:Hideaki TAKAGI
この日一番記憶に残る走りをしたのは池部。地元大分県別府商業高出身の池部は、全日本が大分に決まったときから目標をこの大会にしてきた。上り主体のコースのため上り対策のトレーニングを積み、1週間前の富士山ヒルクライムでは日本人1位でフィニッシュ。この日地元の声援を受けて逃げ続ける池部の姿は、多くの観客の目に焼きついたはずだ。

優勝した徳田鍛造(鹿屋体育大)のコメント

メカトラがあったがみんなに協力してもらえた。負けられないという気持ちを切らさず、後ろから追い上げられていて、あきらめかけていたが応援や、そして監督から勝っていいと言われ自分で与えられたチャンスなので絶対勝つと決めて走った。自分が一番強いのでなく、今日は展開があって自分が勝っただけ。初心を忘れず頑張りたい。


男子アンダー23優勝の徳田鍛造(鹿屋体育大)男子アンダー23優勝の徳田鍛造(鹿屋体育大) photo:Hideaki TAKAGI男子アンダー23表彰男子アンダー23表彰 photo:Hideaki TAKAGI


MU23 135km
1位 徳田鍛造(鹿屋体育大)4時間42分07秒
2位 西村大輝(シマノレーシング)+1分55秒
3位 山本元喜(鹿屋体育大)+2分57秒
4位 広瀬樹(中央大)+3分06秒
5位 石橋学(鹿屋体育大)+3分53秒
6位 内野直也(EQA U23)+3分59秒
7位 徳田優(鹿屋体育大)+8分15秒
8位 板橋義浩(日本大)+9分35秒
9位 池部壮太(マトリックスパワータグ)+10分07秒
10位 吉田悠人(日本大)+16分47秒
11位 岩井航太(INTERPRO CYCLISM)+18分16秒
以上完走者11名

男子ジュニア
スプリンター黒枝咲哉(日出暘谷高)が山岳コースを制する

MJ 最終周回の先頭MJ 最終周回の先頭 photo:Hideaki TAKAGI6周90kmの男子ジュニア。1周目から上りでペースが上がり人数が絞られる。ペースを上げるのは雨澤毅明(那須ブラーゼン)、橋詰丈(昭和第一学園高)、岡篤志(Cプロジェクト)ら。2周目には10人、そして最終周には4人にまで数を減らす先頭集団を上りでペース維持するのは雨澤が多い。最後の上り区間は岡、そして雨澤がペースを上げて3人に。ゴール前の上り勝負で黒枝が鋭く抜け出して優勝。

優勝した黒枝は「上りがきつかったけれど応援があって頑張れた。スプリントに持ち込めればと上りもいけるというところを見せたかった。地元だったので気合入れた」と語る。
じつは落車、パンクなど4度のアクシデントがあったがすべて乗り越えての勝利。黒枝はスプリンタータイプだが兄の士揮と同じく上れるスプリンターに成長。地元のプレッシャーをものともしない活躍に周囲を驚かせた。


男子ジュニア優勝の黒枝咲哉(日出暘谷高)男子ジュニア優勝の黒枝咲哉(日出暘谷高) photo:Hideaki TAKAGI男子ジュニア表彰男子ジュニア表彰 photo:Hideaki TAKAGI


MJ 90km
1位 黒枝咲哉(日出暘谷高)3時間13分09秒
2位 岡篤志(Cプロジェクト)+02秒
3位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)+10秒
4位 小山貴大(前橋育英高)+12秒
5位 山本大喜(榛生昇陽高)+1分12秒
6位 吉田優樹(日本大)+1分32秒
7位 齋藤瞭汰(前橋工業高)+5分06秒
8位 野本空(松山工業高)+11分20秒
以上完走者8名

男子アンダー17+15
石上優大(横浜高)が終始先頭で圧勝

MU17+MU15 2周目の先頭MU17+MU15 2周目の先頭 photo:Hideaki TAKAGIおもに高校1年から中学生が参加するのがアンダー17+15。40人がスタート、上りのたびに人数を減らす展開。大きなアタックは無いが、集団の先頭を多く引くのは石上。そのペースに人数を減らした先頭集団は、最終周回には4人に。この下り区間で日野竜嘉(松山聖陵高)がパンクし先頭は3人に絞られる。最後の上り勝負を制したのは石上。

「自分の勝ちパターンに持ってこれた。常に前にいて集団を小さくするイメージで。最後は一人になる予定だったが中村君も強かった。TTとダブルタイトルで嬉しい」と石上。
完走者わずか10名だが中学生が8位、9位に入っている。

男子アンダー17優勝の石上優大(横浜高)男子アンダー17優勝の石上優大(横浜高) photo:Hideaki TAKAGI男子アンダー17表彰男子アンダー17表彰 photo:Hideaki TAKAGI


MU17+MU15 60km2時間12分42秒
1位 石上優大(横浜高)2時間12分42秒
2位 中村圭佑(昭和第一学園高)+12秒
3位 水谷翔(南大隅高)+30秒
4位 日野竜嘉(松山聖陵高)+1分37秒
5位 冨尾大地(南大隅高)+3分46秒
6位 小野廉太郎(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+5分14秒
7位 安田開(北桑田高)+6分42秒
8位 黒澤虎南(VC Fukuoka)+7分47秒
9位 大町健斗(チームサイクルプラス)+10分24秒
10位 徳田匠(北桑田高)+10分58秒
以上完走者10名

女子ジュニア
坂口聖香(パナソニックレディース)が独走優勝

1周目から坂口が上りで抜け出して独走、これを谷伊央里(前橋育英高)と伊藤杏菜(Ready Go JAPAN)が追う展開に。ここから谷が抜け出して先頭の坂口を追うが届かず、坂口が優勝。同時出走の女子アンダー17は坂口楓華(パナソニックレディース)が優勝。
「1周目から上りで動こうと思っていた。自分のペースであきらめないで走った。最終周回でタイム差が縮まってきたが前だけを見て走りました」と優勝の坂口。

女子ジュニア優勝の坂口聖香(パナソニックレディース)女子ジュニア優勝の坂口聖香(パナソニックレディース) photo:Hideaki TAKAGI女子ジュニア表彰女子ジュニア表彰 photo:Hideaki TAKAGI


WJ 45km
1位 坂口聖香(パナソニックレディース)1時間55分24秒
2位 谷伊央里(前橋育英高)+24秒
3位 伊藤杏菜(Ready Go JAPAN)+1分09秒
4位 伊藤小紅(浜松学院高)+5分24秒
5位 大谷杏菜(桜丘高)+6分52秒
6位 元砂七夕美(榛生昇陽高)+7分50秒
7位 坂口楓華(パナソニックレディース)+9分22秒 WU17で1位

photo&text:高木秀彰