雪によってコースが短縮されたツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第2ステージ。1級山岳クランモンタナの頂上ゴールで有力選手たちのアタック合戦が繰り広げられ、バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング)が勝利した。

ツール・ド・スイス2013第2ステージ・コース高低図ツール・ド・スイス2013第2ステージ・コース高低図 image:www.tourdesuisse.ch第2ステージには2つの難関山岳が登場する予定だったが、標高2478mの超級山岳ヌーフェネン峠が雪に閉ざされたため、ヌーフェネン峠の先にあるウルリヘンにスタート地点が急遽移された。

1級山岳頂上ゴールを制したバウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング)1級山岳頂上ゴールを制したバウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング) photo:Cor Vosコース全長は159kmから117kmに短縮。このコース変更によって、勝負どころは今大会唯一の山頂フィニッシュである標高1672m・1級山岳クランモンタナに絞られる。レース序盤から逃げたクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)ら4名を、クランモンタナの登り直前でメイン集団は吸収した。

リーダージャージのキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が27秒遅れでゴールリーダージャージのキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が27秒遅れでゴール photo:Cor Vosゴールまで12kmを残し、平均勾配6%ほどの登りでまず動いたのはダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)。徐々にリードを広げたリエージュ〜バストーニュ〜リエージュの覇者マーティンには、チームメイトのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)とタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)が合流する。このアタックに伴うペースアップによってアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)はメイン集団から早くも脱落する。

リーダージャージを守ったキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)リーダージャージを守ったキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Cor Vos先頭ではマーティンが脱落し、ヘジダルとカンゲルトの2人が先行。リーダージャージ擁するオリカ・グリーンエッジに代わってBMCレーシングチームに率いられたメイン集団は、徐々に人数を減らしながら、雨が降り始めたクランモンタナの登りを進む。ヘジダルとカンゲルトのリードは30秒以内に抑え込まれた。

やがて先頭はヘジダルの独走状態となり、そのままラスト1kmアーチを通過する。するとメイン集団からヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)が飛び出し、カウンターでバウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング)がアタック。一気にペースを上げたモレマはヘジダルを捉えて先頭へ。後続を11秒引き離したモレマが独走でゴールした。

2010年のジロ・デ・イタリアで総合11位、2011年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合4位&ポイント賞という成績を残しているモレマは26歳のオールラウンダー。アルデンヌクラシックでもトップ10に入る実力の持ち主だが、意外にも勝利数は少ない。「実に3年ぶりの勝利。キャリア最大の勝利だよ。メイン集団から飛び出してライダー(ヘジダル)の背中が見えた時、今日はチャンスがあると思った」とコメントする。

モレマから27秒遅れでゴールしたキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)がリーダージャージをキープ。果敢に攻めてステージ4位に入ったヘジダルが3秒差の総合2位、ステージ2位のマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)が5秒差の総合3位につけている。

選手コメントはレース公式サイトより。

ツール・ド・スイス2013第2ステージ結果
1位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング)           2h43'00"
2位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)             +11"
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
4位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
5位 ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)             +19"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)

11位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)               +24"
12位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
13位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)        +27"
14位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)
15位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)
16位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)               +29"
17位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
18位 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、スカイプロサイクリング)
19位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)                +36"
25位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)       +40"

個人総合成績
1位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      2h53'06"
2位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)               +03"
3位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)             +05"
4位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)             +12"
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                       +16"
6位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)             +28"
7位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)        +34"
8位 バウク・モレマ(オランダ、ブランコプロサイクリング)        
9位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)           +35"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)        +36"

ポイント賞
キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞
ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)

チーム総合成績
IAMサイクリング

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos