コンポメーカーとしてだけではなく、シューズメーカーとしての地位も不動のものとしているシマノ。同社のエントリー向けのロードバイク用シューズ3モデルが「SH-R088」、「SH-R107」、「SH-R078」へとフルモデルチェンジした。最大のトピックスはエントリーモデルながら上位モデル同様の足底形状「ダイナラスト」を採用したことだ。

シマノ SH-R088
SH-R088はシマノの定番エントリーモデル「SH-R087」の後継モデル。今回ここで紹介する3モデルのなかでは真ん中に位置する13,900円(税込)のモデル。シマノのロードシューズにおいてもっとも販売量が多い、ベストセラーモデルだ。

シマノ SH-R088シマノ SH-R088

前作からの最大の変更点は、ソール(足底)の形状が「ダイナラスト」採用ソールに変更になったことだ(ダイナラストについては記事下部に詳しく説明する)。

そしてクリートを取り付けるネジ(雌ネジ)が前後2.5mmずつ可動するようになりセッティングの幅が大きくなったことから、様々なポジションを試すことが可能になった。また、エアインテーク(空気の抜け道)を拡張したことでより快適に。底面の踵の滑り止めパッドを大きくすることにより、歩行性を高めている。

アッパーはメッシュの配置や使用量を変更し、しなやかなシンセティックレザーを用いることで、足全体を包み込むような高いフィット感を実現している。また、走行中でも足の締め付け具合を簡単に調整することのできる「アジャスタブル・バックルマウント」を、その前方の2本のストラップはより軽量なものを採用。結果、重量は498g(サイズ40)とSH-R087に比べ12%の大幅な軽量化に成功している。

グラスファイバーソールを採用するグラスファイバーソールを採用する 上位モデルと同じ2ベルクロ+1ストラップを採用上位モデルと同じ2ベルクロ+1ストラップを採用


リーズナブルな価格ながら、日本人に多くみられる幅広な足に対応したワイドサイズもラインナップされていることも特徴だ。サイズは36〜50(22.5cm〜31.8cm)まで用意されているため、多くのライダーにフィットするだろう。カラーは様々なカラーのウェアやバイクに合わせることができるシンプルなホワイトとブラック2種類がラインナップされる。


高効率化を追求した足底形状 ”ダイナラスト”とは

足全体を包み込むような高いフィット感を実現足全体を包み込むような高いフィット感を実現 ペダリングの高効率化を研究するなかでシマノは「ブレーキングロス」と呼ばれる、足を引き上げる時に発生する入力とは逆方向の力を低減することに着目した。

SPDとSPD-SLの両方のペダルに対応しているSPDとSPD-SLの両方のペダルに対応している 開発スタッフは数多くの研究データを元にシューズ内におけるつま先の高さ(位置)に注目。つま先の位置は低すぎる場合は、膝が外側に広がることにより骨格を効率的に使う事が出来ない。逆に高すぎる場合は足底やふくらはぎが緊張によって股関節の可動域が狭くなるために「ブレーキングロス」が大きくなることを突き止めた。

高坂俊樹さん(BIKE RANCH)高坂俊樹さん(BIKE RANCH) そして生まれたのが「ダイナラスト」。つま先の位置の最適化した足底(靴底)形状を採用し、ブレーキングロスを5.23%軽減することに成功。250W(約0.33馬力)の出力で200km走った場合に25秒早く走れる計算になる。上記の数字はプロのライダーを想定したテストだが、より出力の小さく、ペダリングスキルが未熟なビギナーはその高効率化の恩恵をより多く受けることが出来るとしている。


シマノ SH-R088のおススメポイント 
高坂俊樹さん(BIKE RANCH


今回、SH-R088のおススメポイントについてお話を伺ったのは長野県松本市にある鈴木雷太さん経営のプロショップ「BIKE RANCH(バイクランチ)」の高坂俊樹さん。豊富な商品知識と的確なアドバイスが好評のスタッフさんだ。

高坂さん「SH-R088は機能的で、コストパフォーマンスに優れ好評だったSH-R087の機能をさらに向上させた一足になっています。ソールに上位モデルと同じ『ダイナラスト』という形状を採用することによってペダリング効率の向上と、足底とふくらはぎ周りの筋肉のぺダリングに必要無い「力み」を緩和させてくれる形状となっています。これは、足全体の力みが減りることにより股関節の動きにも「力み」による干渉が減ることで、下半身がしなやかに動かしやすくなり、ペダリングの効率を向上するというものです。

ロードバイクに乗り慣れていない方や、ビンディングペダルを使い始めたばかりの方は、ペダリングに慣れていないため、ついつい力を入れ過ぎてペダルをこいでしまうことも多いかと思いますが、そういった力みによる疲れの緩和をすることより、長く、楽しいライディングに集中できるアシスト機能としても効果を発揮してくれるのではないかと思います。

R088とR078用のインソールR088とR078用のインソール また、SPDとSPD-SLの両方のペダルに対応しているので、シューズがペダルに固定されるのが怖く感じてしまう方は、最初のシューズの取り外しのやり易いSPDペダルを使って頂き、慣れてきたらよりペダリング効率ががより高いSPD-SLペダルに交換して頂く事が出来ます。シューズは買い替えずに、自分に合わせて使い方を選べるので安心ですね。

さらにこちらのモデルは、甲の幅の広い方に合わせたワイドタイプも用意されているので、「横幅がきついけど、いつも痛くなるのを我慢して履いている」と言う方はぜひ一度足を通してみて下さい。かなり横幅の広い私(2.5E以上)が履いてもストレスを感じなかったので、オススメできます」。


シマノ SH-R088
サイズ:36〜50(ハーフサイズ無)、ワイドサイズあり
アッパー:シンセティックレザー、メッシュ素材
ソール:グラスファイバー強化ナイロンソール
ラスト:シマノ ダイナラスト、カーブドラスト
カラー:ホワイト、ブラック
重 量:498g(サイズ40)
価 格: 13,900円(税込)


シマノ SH-R107
シマノ SH-R0107シマノ SH-R0107

SH-R107はSH-R088のグラスファイバー製ソールをベースに、クリートが取り付けられる部分にのみカーボンを配することによりソール全体のしなりを低減。レースにも対応できるダイレクトな踏み心地になっているため、ビギナーはもちろん、2足目のシューズにもおススメだ。

また、上位機種と同じ縫い方やクロージャーを採用し、お買い得感の高い仕上がりになっている。カラーはホワイトと、シマノのコーポレートカラーが指し色のブラック/ブルーの2種類がラインナップされる。

メッシュの配置や使用量を変更し、しなやかなシンセティックレザーを用いるメッシュの配置や使用量を変更し、しなやかなシンセティックレザーを用いる クリート部分はカーボン製とし、ダイレクトなペダリングを約束クリート部分はカーボン製とし、ダイレクトなペダリングを約束


シマノ SH-R107
サイズ:36〜48(ハーフサイズ無、36、37、47、48 は受注生産。注文後、約3ヶ月の納期)
アッパー:シンセティックレザー、メッシュ素材
ソール:グラスファイバー強化ナイロンソール、カーボンファイバーコンポジットプレート
ラスト:シマノ ダイナラスト、カーブドラスト
カラー:ホワイト、ブラック/ブルー
重 量:493g(サイズ 40)
価 格: 16,000円(税込)


シマノ SH-R078
シマノ SH-R078シマノ SH-R078

SH-R078は SH-R088からクロージャーとその台座をストラップに変更したモデル。3本のストラップによる固定は無段階に調整できるため、プロでもこのタイプ愛用する選手は多い。結果的にプロが使用するトップモデルSH-R320を下回る、シマノロードシューズのラインナップのなかで最軽量を実現している。カラーは様々なカラーのウェアやバイクに合わせることができるシンプルなホワイトとブラック2種類。

しなやかなアッパーはエントリーユーザーのペダリングをサポートしなやかなアッパーはエントリーユーザーのペダリングをサポート SH-R088からクロージャーとその台座をストラップに変更SH-R088からクロージャーとその台座をストラップに変更



シマノ SH-R078
サイズ:36〜46(ハーフサイズ無)
アッパー:シンセティックレザー、メッシュ素材
ソール:グラスファイバー強化ナイロンソール、カーボンファイバーコンポジットプレート
ラスト:シマノ ダイナラスト、カーブドラスト
カラー:ホワイト、ブラック
重 量:461g(サイズ 40)
価 格: 12,000円(税込)
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