クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)第1ステージでカナダ生まれの25歳ダヴィ・ヴェイユー(ユーロップカー)が逃げ切り勝利を果たした。プロトンを2分近く引き離してゴールしたヴェイユーは個人総合成績、山岳賞、ポイント賞でトップに立っている。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第1ステージ・コース高低図クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第1ステージ・コース高低図 image:A.S.O.ツール前哨戦ドーフィネが、6月2日、スイス西部のシャンペリーで開幕した。

スイスとフランスをまたぐ山岳地帯を走るスイスとフランスをまたぐ山岳地帯を走る photo:Riccardo Scanferla第1ステージは距離こそ121kmと短いが、1級山岳を含む4つのカテゴリー山岳が設定された厳しいもの。スタート後すぐに始まる1級山岳モルジャン峠の登りでアタックが決まった。

ファーストアタックを仕掛けたのはヴェイユーで、これにリカルド・ガルシア(スペイン、エウスカルテル)、トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)、ジャンマルク・ビドー(フランス、ブルターニュ・セシェ)がジョイン。こうして4人による山越えの旅が始まる。

逃げグループを形成するダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)ら4名逃げグループを形成するダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)ら4名 photo:Riccardo Scanferla4人のリードは40km地点で10分まで拡大。遅れてトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が飛び出し、逃げグループを単独で追撃する。マルティンが得意の独走力でタイム差を詰め、続く1級山岳コルビエ峠で逃げグループの後方に迫る。しかしマルティンの合流を待たずして、先頭ではヴェイユーが単独アタックを成功させた。

スイスとフランスをまたぐ山岳地帯を走るスイスとフランスをまたぐ山岳地帯を走る photo:Riccardo Scanferla1級山岳コルビエ峠の頂上まで2kmを残して、そしてゴールまで47kmを残して独走に持ち込んだヴェイユー。後方ではマルティンが残りの逃げメンバーに合流する。スカイプロサイクリングやモビスター、カチューシャ率いるメイン集団が5分差で追う展開に。

ゴール20km手前の2級山岳パ・ド・モルジャンでモビスターとカチューシャがメイン集団のペースアップを図ると、総合成績が期待されたアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)やダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)、ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、ユーロップカー)が相次いで脱落。ステージ優勝狙いのサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)もここで遅れてしまう。

スピードを弱めないメイン集団はヴェイユーから3分20秒遅れで頂上を通過。モビスターが積極的にメイン集団を率いたが、先頭ヴェイユーのペースは落ちず、タイム差は思うように縮まらない。

ゴールに至る3級山岳の登りを前にタイム差は3分30秒。追走を続けていたダムソーやガルシア、ビドー、マルティンはメイン集団に吸収される。ヴェイユーだけが生き残り、先頭でゴールに向かってプッシュし続けた。

最後の3級山岳を単独で駆け上がるダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)最後の3級山岳を単独で駆け上がるダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla
メイン集団を2分近く引き離してゴールするダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)メイン集団を2分近く引き離してゴールするダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla3級山岳でもペースを崩すことなく走り続けたヴェイユーがそのまま独走勝利。登り終盤に飛び出したイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)を吸収したメイン集団は、70名ほどに絞られた状態で、1分57秒遅れでゴールした。

リーダージャージに袖を通したダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)リーダージャージに袖を通したダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla25歳のカナダ人ヴェイユーがビッグレースで金星を飾った。当然リーダージャージ獲得で、ポイント賞ならびに山岳賞でもトップに立っている。誕生日があと1ヶ月遅ければ新人賞ジャージまで獲得してしまうところだった。

初出場のドーフィネでリーダージャージに袖を通したヴェイユーは「レースのレベルが極めて高いので、こんな活躍は期待していなかったけど、挑戦する価値はあった。逃げと集団のタイム差が9分を超えた時、何か出来るかもしれないという可能性を感じたよ。僕はクライマーじゃないけど、それなりに登りもこなせる。リーダージャージをいつまで着られるかは分からないよ。さすがに1週間着続けるのは無理だとは思うけど」とコメントする。この勝利によってツール出場の切符を掴んだと言ってもいいだろう。

タランスキーやクネゴが大きくタイムを失った一方で、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)やアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)といったビッグネームは集団内でゴール。別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は162位で初日を終えている。

選手コメントはレース公式サイトより。


クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第1ステージ結果
1位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)               3h17'35"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)    +1'56"
3位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ブランコプロサイクリング)       +1'57"
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
5位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
6位 アンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームネットアップ・エンドゥーラ)
162位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                +15'34"

個人総合成績
1位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)               3h17'35"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)    +1'56"
3位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ブランコプロサイクリング)       +1'57"
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
5位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
6位 アンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームネットアップ・エンドゥーラ)

ポイント賞
ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)

山岳賞
ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)

新人賞
トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ブランコプロサイクリング)

チーム総合成績
ユーロップカー

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla