第19ステージのキャンセルによる思わぬ休養日明けとなった第20ステージ。雪が降りしきるゴールを制したのは、第18ステージに続いてヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)。新人賞はカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)が取り戻した。

ステージ優勝・総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

マリアローザを着てクイーンステージを走るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)マリアローザを着てクイーンステージを走るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferla(最後の山岳ゴールについて)最後の数kmがとても厳しいことは知っていた。でも、たぶんあれほど険しいゴールは他には思い出せない。先行する選手たちはかなり有利だったはずだけど、ぼくは落ち着いていた。チームメイトのヴァレリオ・アニョーリのほうが、ぼくよりもナーバスになっていたようだ。

トレチーメ・ディ・ラヴァレードでライバルたちを振り切るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)トレチーメ・ディ・ラヴァレードでライバルたちを振り切るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferla彼は追走しようと焦っていたので、下りが終わるまで待つように説得した。身体がガチガチにこわばっていて、うまく下れなそうになかったからだ。とはいえ、ぼく自身はかなりアタックするのが早過ぎてしまった。おそらく、ゴールまで残り1800mという印があったくらいでアタックしたのだと思う。でも、ずっと続くようにに思えた。

(雨と雪と寒さについて)雪が降っていることを感じたのは、本当に最後の5kmだけだった。ありがたいことに、路面はとてもクリーンだった。このステージは本当にジロ史上に残るだろう。雪深いなかでの上りゴールだったから。今日の自分の勝ち方は、とてつもなく楽しいものだった。ジロ・デ・イタリアの終盤に選手たちが誰も日焼けしてない光景を見たことなんてないだろう? 選手たちがアーム・ウォーマーやレッグ・ウォーマーを着用している光景も見たことないだろう? 

寒い環境のなかでは、選手たちは自分の能力を制限することになる。登坂のあるなしも関係なかった。もったいつけた言い方をするわけではないけど、このジロの全ての山岳ゴールで、ぼくにはライバルたち以上の何かがあった。もし登坂がさらに厳しくなっていたとしても、今日のゴールのように優勝していたと思う。

ステージ2勝目を飾ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ステージ2勝目を飾ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferla
(グラン・ツールの制覇者として)ぼくのブエルタ・ア・エスパーニャ(2010年)での総合優勝をしのぐには、本当の偉業をなすしかなかった。このジロ・デ・イタリアでの総合優勝は、その特別な偉業だ。明日の最終ステージは、スプリントで幕を閉じることになる。だから、(優勝を確信して)現時点でとても満足している。だけど、自分が成し遂げたことのすべてを振り返って、それを実感するには、しばらく時間が必要だと思う。

明日の今の時間には、ぼくはブエルタとジロの両方を総合優勝したことになる。同時に、自分がツール・ド・フランスの総合優勝候補であると自覚できた。つまり、自分がグラン・ツールの有力な選手だと証明できたと思う。とはいえ、今回のジロでの総合優勝は本当に格別だ。


山岳賞を確定させたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

山岳賞を確定させたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス  、写真は第17ステージより)山岳賞を確定させたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス 、写真は第17ステージより) (c)CorVos寒さと悪天候にずっと苦しめられたとしても、今日はスポンサーとファンのために、ずっと先頭のほうにいたかった。何回か飛び出してみたけど、かならず集団に吸収されてしまった。

今日は過酷な日だったけど、ぼくにとっては良い日だった。青い山岳賞ジャージの獲得が、ほぼ決定的になったからだ。明日はブレシアで祝福が待っていると想像すると、とても魅力的だ。

ポイント賞のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

今日のジロ・デ・イタリアを数字でまとめる。バイク交換2回。中間スプリントポイント2個。パンク1回。山岳2個。吹雪1個。以上、チームに幸あれ。


カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)の新人賞獲得を喜ぶローラン・ビオンディ監督

マイカを43秒引き離してゴールし、マリアビアンカを取り返したカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)マイカを43秒引き離してゴールし、マリアビアンカを取り返したカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) photo:Riccardo Scanferlaストレスと興奮が一体となったステージだった。ストレスの理由はカルロスアルベルト・ベタンクールが残り20kmでパンクしたことで、興奮の理由は彼がゴールで目的を達成した(新人賞を取り戻した)ことだ。

ベタンクールは、こういったメカトラをものともせずに、がんばって4位でゴールして新人賞ジャージを取り戻した。彼には敬意を表する。同時に、たくさんの作業を実施し、見事な統率力を見せたこのチームにも敬意を表したい。このジロで本当に素晴らしいチームになった。

総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

トレチーメ・ディ・ラヴァレードでライバルたちから遅れを取るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)トレチーメ・ディ・ラヴァレードでライバルたちから遅れを取るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji昨日がちょっとした“休養日”になったことで、今日のステージは選手たちの脚がフレッシュになって、激しいレースとなった。天候は選手たちにまったく優しくなかった——もし雪じゃなかったら、トレチーメ・ディ・ラヴァレードに広がる素晴らしい光景を見ることができたはずだったのに。これはジロじゃない。雪と氷点下の気温が支配する光景だった。

自分にとっては、予期しない休養日の翌日だったので好調な日だった。でも、その調子の良さは、間が悪い不必要な不運の訪れで終わった。残り数kmというところでメカトラが発生した。自分の能力じゃない問題で、総合2位から総合3位に転落するのは腹立たしいだけだった……でも、それがレースだ。明日は、ぼくが経験したグラン・ツールの最終ステージのなかでも最長距離になる……いつものようなゆっくりしたペースのレースにはならないだろう。逆にものすごく長い200kmになる可能性もあるけど。


ステージ2位のファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス)

ステージ2位のファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス)ステージ2位のファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス) (c)CorVosあと一歩で、チームのスタッフやスポンサー、そしてコロンビア国内や世界中のファンへ大きなプレゼントができそうだったのに残念だ。だけど、あそこまでやれたことで、今日はとても満足している。

コルデポルテスのボテロ監督の前で実力を示せたという事実はかなり重要だ。ぼくたちのチームは、つねに「このプロジェクトは多いに推進する価値があること」を示そうとしている。うまくいけば、あと数年のうちに成果が出ると思う。

総合4位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)

総合4位を維持したミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)総合4位を維持したミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) (c)CorVos最後の上りでは、雪が降っていて、とても厳しかった。バルドネッキア(第14ステージ)のときと同じようなことが起こった。

登り口に着いたときには、長い距離を走ったけど、それほど斜度も厳しくなかった。だけど、悪天候だった。自分は、このような状況は好きではないけど、今日はうまく対応できたと思う。結果として総合4位を守れた。

総合6位のプリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)

ジロも残すところ、あと1日で総合6位にいる。自分にとってはかなり驚くべき順位だ。今日は、ベタンクールが素晴らしい走りをしていて、ぼくから総合5位の座を奪い取ってしまったのは残念だけど。


※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI

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