連載でお届けするプロバイクレポート。今回はMTB Jシリーズ第1戦・びわ湖高島大会XCOエリート男子を走ったバイクを紹介する。クロスカントリーでは29erが主流ではあるが、新規格の650B/27.5インチのホイールを採用したバイクに乗るライダーも登場した。26は消滅と言える状況だ。

斉藤亮(ミヤタ・メリダ)
メリダ ビッグナイン

2012年のJシリーズチャンピオン、斉藤亮が使用するするバイクはメリダ・ビッグナイン。昨シーズンは26インチと29インチを併用し、試行錯誤を繰り返していたが、今シーズンは29インチに落ち着いている。コンポーネントはスラムXX1をアッセンブル、高島ではフロントのチェーンリングに34Tをチョイスしていた。

斉藤亮(ミヤタ-メリダ)のメリダ ビッグナイン斉藤亮(ミヤタ-メリダ)のメリダ ビッグナイン (c)Akihiro.NAKAO
ハンドルやステムはドイツの軽量パーツメーカーPRCを使用ハンドルやステムはドイツの軽量パーツメーカーPRCを使用 (c)Akihiro.NAKAOスラムの最新コンポーネントXX1を使用するスラムの最新コンポーネントXX1を使用する (c)Akihiro.NAKAO


ハンドル、ステム、ピラーはドイツの軽量パーツメーカーのPRCの製品を使用。タイヤはIRC、チェーンはKMC、フォークはDTスイスを使用している。また、ケミカル類を供給するホルメンコールから、オイルチューンのみを行うメカニックが派遣されていた。




小野寺健(スペシャライズド)
スペシャライズド S-ワークス エピック カーボン29
スペシャライズド S-ワークス スタンプジャンパー HT カーボン29

小野寺健(スペシャライズド)のスペシャライズド S-ワークス エピック カーボン29小野寺健(スペシャライズド)のスペシャライズド S-ワークス エピック カーボン29 (c)Akihiro.NAKAO
高島、八幡島で2位に入った小野寺健はフルサスのエピックとハードテイルのスタプジャンパーをコースによって使い分けている。両バイク共に、Fフォークにはスペシャライズドがカスタムを行い、「Brain」と呼ばれる慣性バルブ式ダンパーを搭載したロックショックス SIDワールドカップを使用。

また、エピックのリアショックもスペシャライズドの「Mini-Brain」慣性バルブ式ショックを搭載したFOX製のユニットを使用している。ストロークはエピックが前後とも100mm、スタンプジャンパーのFフォークが90mmだ。ショックとコンポーネント、ペダル以外は全てスぺシャライズドのパーツがアッセンブルされている。

小野寺健(スペシャライズド)のS-ワークス スタンプジャンパー HT カーボン29小野寺健(スペシャライズド)のS-ワークス スタンプジャンパー HT カーボン29 (c)Akihiro.NAKAO



中原義貴(キャノンデール)
キャノンデール F29カーボン

中原義貴が今年から使用するバイクがキャノンデール・F29 カーボン。チェーンステーの形状を工夫したスピードSAVE機構を採用し、ハードテールながらフルサスの様な乗り心地を実現しているフレームだ。フロントフォークはニードルベアリングを採用し、より動作がスムーズになった90mmストロークのレフティフォークをチョイス。

中原義貴(キャノンデール)のキャノンデール F29 カーボン中原義貴(キャノンデール)のキャノンデール F29 カーボン (c)Akihiro.NAKAO
エンヴィのホイールとマキシスのタイヤをアッセンブルエンヴィのホイールとマキシスのタイヤをアッセンブル (c)Akihiro.NAKAOレオナルドレーシングの削り出しステムによって理想のポジションを実現レオナルドレーシングの削り出しステムによって理想のポジションを実現 (c)Akihiro.NAKAO


ステムはレオナルドレーシングの削りだしステムがチョイスされ、レフティーフォークを使用しながら低いハンドル位置を実現している。他にもエンヴィのカーボンホイールマキシスやブレーキのマグラMT8など、通好みなパーツがアッセンブルされていた。




松本駿・前田公平(スコット)
スコット スケール27.5

松本駿(スコット)のスコット スケール27.5松本駿(スコット)のスコット スケール27.5 (c)Akihiro.NAKAO
日本のレースシーンに復活したスコットは、昨年ニノ・シューター(スイス)の活躍によってMTBシーンに27.5インチを浸透させたスコット・スケール27.5を投入。同じチームでありながら、松本駿と前田公平両選手のバイクは異なるパーツアッセンブルが行われており、コンポーネントのみシマノXTRで統一されていた。

松本駿のバイクは供給品に基づき、PROのハンドル類やスコットの傘下に入ったシンクロスのホイールなど、オーソドックスなバイクに仕上がっており、タイヤはプロトタイプのIRC「ミトスXC27.5」が装着されていた。一方、前田公平のバイクはタイオガのスパイダーツインテールサドルやKCNCのシートピラーなど、軽さを重視したパーツアッセンブルがみられた。

前田公平(スコット)のスコット スケール27.5前田公平(スコット)のスコット スケール27.5 (c)Akihiro.NAKAO
前田公平はローライズドバーを裏返してポジションを出す前田公平はローライズドバーを裏返してポジションを出す (c)Akihiro.NAKAOIRCのプロトタイプタイヤ「ミトスXC27.5」IRCのプロトタイプタイヤ「ミトスXC27.5」 (c)Akihiro.NAKAO




門田基志(ジャイアント)
ジャイアント アンセムXアドバンス29er

門田基志は今年から26インチから29erへスイッチし、高島ではフルサスバイクのジャイアント・アンセムX アドバンス 29ER 0を使用した。高島の荒れた路面に合わせて、フロントフォークに100mmストロークのロックショックス「SIDワールドカップ」、リアショックに4インチストロークのジャイアント「マエストロリンク」をアッセンブルする。

門田基志(ジャイアント)のジャイアント・アンセムXアドバンス0 29er門田基志(ジャイアント)のジャイアント・アンセムXアドバンス0 29er (c)Akihiro.NAKAO
コンポーネントはシマノXTRコンポーネントはシマノXTR (c)Akihiro.NAKAOタイヤはハッチソン、ホイールはジャイアントオリジナルのP-XCR 29-0 Cカーボンホイールをチョイスタイヤはハッチソン、ホイールはジャイアントオリジナルのP-XCR 29-0 Cカーボンホイールをチョイス (c)Akihiro.NAKAO


ホイールはジャイアントオリジナルのP-XCR 29-0 Cカーボンホイールをチョイスし、29erにスイッチしたことによる慣性の増大をカバーしている。タイヤはハッチソンのパイソン、コンポーネントはシマノXTR、サイクルコンピュータはサイクルオプス「Joule」。長身な門田だけに、難なく29erのポジションが出せている様だ。




新谷直也(チームキャニオン)
キャニオン グランドキャニオンCF SLX 29

2年前から海外のエージェントを通じて国内のレースでキャニオンのプロモーションを活動を行っている新谷直也。新谷は元陸上競技の選手で、現在はジュニアのトラック陸上競技のコーチをしている。キャニオンは日本語ページ開設によりチームを結成してブランドのPRに務める。
新谷が2013シーズンに使用するバイクはキャニオン「グランドキャニオンCF SLX 29」だ。

新谷直也(チームキャニオン)のキャニオン グランドキャニオンCF SLX 29新谷直也(チームキャニオン)のキャニオン グランドキャニオンCF SLX 29 (c)Akihiro.NAKAO
トップチューブに設けられたハンドルストッパートップチューブに設けられたハンドルストッパー (c)Akihiro.NAKAOリアエンドは142mm×12mmのスル―アスクルリアエンドは142mm×12mmのスル―アスクル (c)Akihiro.NAKAO


進行方向に伸びたヘッドチューブやリアの12mm径スル―アスクル、短めのチェーンステーによって、高い安定感とハンドリング性能を両立している。また、落車の際のハンドルヒットによるトップチューブの破損を防ぐため、トップチューブに設けられたストッパーなど、ドイツらしい精巧な作りの一台といえる。




山田誉史輝(ダートフリーク/ライテック)・山田将輝(リミテッド846/ライテック)
ライテック キュー&アーク


ダートフリークが開発・販売を行う「ライテック」のXCバイク。29erのキューには山田誉史輝、27.5インチのアークには山田将輝が乗る。両バイク共にカーボン製で、オリジナルブランドながら27.5インチへの対応が素速く行われた。コンポーネント及びFフォークはもちろん、ダートフリークが取り扱うスラムとロックショックスがアッセンブルされる。

山田将輝(リミテッド846/ライテック)のライテック アーク山田将輝(リミテッド846/ライテック)のライテック アーク (c)Akihiro.NAKAO
山田誉史輝(ダートフリーク/ライテック)のライテック キュー山田誉史輝(ダートフリーク/ライテック)のライテック キュー (c)Akihiro.NAKAO山田将輝のバイクはPAX PROJECTのカスタムホイールにIRCミトスXC27.5をアッセンブル山田将輝のバイクはPAX PROJECTのカスタムホイールにIRCミトスXC27.5をアッセンブル (c)Akihiro.NAKAO


27.5インチのアークには福島県にあるショップ「PAX PROJECT」のカスタムホイールがチョイスされていた。タイヤはスコット同様にプロトタイプのIRC「ミトスXC27.5」がセットされていた。
相野田静香(クラブ グロウ/ライテック)もライテックに乗っており、ダートフリークは次世代のライダーをサポートしている。

続編ではダウンヒルバイクを紹介します。

text&photo:Akihiro.NAKAO

最新ニュース(全ジャンル)