3分半の個人TTで2位に3秒7の大差をつけて圧勝したのは西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)。盛一大も3位につけて愛三工業は好発進。午前中の国際クリテはマキシミリアーノ・リケーゼ(ランプレ・メリダ)が圧勝。

1位の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)1位の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) photo:Hideaki TAKAGI
愛三工業レーシングチームの走りは低いシルエットが特徴的。ノーマルバイクなのにTTバイクのようなポジションに見える。「スピード練習ではいつもこういう走りをしています」と同チームの別府匠監督。そしてスムーズに流れるようなコーナリングは、決めたラインを寸分違わずトレースしているからだ。

2位のセオ・ジョンヨン(KSPO)2位のセオ・ジョンヨン(KSPO) photo:Hideaki TAKAGI5月19日(日)、ツアー・オブ・ジャパンがいいよ始まった。第1ステージ堺は2.65kmの個人TT。大仙公園を回るもので緩いアップダウンはあるがおよそ平坦。周回の後半にカーブ・コーナーが組み合わされる。この個人TTが始まる1時間ほど前から雨が降り出しあちこちに水溜りを作る。終始この雨は降り続け、コンディションはおおむね全員同じに。
3位の盛一大(愛三工業レーシングチーム)3位の盛一大(愛三工業レーシングチーム) photo:Hideaki TAKAGI
16チーム6人ずつなので16人が1ヒートでそれが6回ある計算。チーム内での出走順は、前日のライセンスコントロール時に申請済みのもの。その時点で当日後半の雨模様は予測されていたので、いくつかのチームはTTを重要視する選手を前半の出走に持ってきた。

第1ヒートでマリウス・ヴズィアック(マトリックスパワータグ)がトップに立つと、すぐに盛一大(愛三工業レーシングチーム)がその記録を塗り替える。そして第2ヒート、西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)が3分26秒75の好記録でトップに立つと、最終走者までこれを超えられずに西谷の優勝が決まった。
昨年までトレンガヌの3人。福島晋一、ジャン・チャンジェ、キム・ドヒョン昨年までトレンガヌの3人。福島晋一、ジャン・チャンジェ、キム・ドヒョン photo:Hideaki TAKAGI
「このコースで日本人が勝てた意味」西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
国際クリテリウムがスタート国際クリテリウムがスタート photo:Hideaki TAKAGI
「レースは2ヶ月のブランクがあったがコンディショニングはやってきた。第1ステージは大事だし、だけども雨なので安全に走りきろうと思った。ドライならば10年のマイケル・マシューズの3分14秒が目標だったが今日はウェット。直線は去年と変わらぬスピードで走れた。このコースで日本人が勝てたことに意味があると思う。それが自分であっただけ。今日の結果は満点と思う」と西谷。

レース中はずっと雨だったが、降り始め1時間後と2時間後ではコンディションが若干違う。「監督の采配で僕ら(西谷と盛)を最初のほうのスタートにした」と語るのは3位の盛。チーム内で盛が1番スタートで西谷は2番スタートだった。
「当初は自分(盛)がこのTTで勝って、美濃や南信州ステージで総合リーダーを西谷さんで狙う予定」だったという。「2人が上位にいることで戦い方の幅が増える」と盛。

3位のセオ・ジョンヨン(KSPO)は表彰台では日本語で話す。2010年に梅丹本舗に所属していたからだ。「トラックの個人追抜きを得意にしている。ベストは4分35秒。このスピードが生かせたと思う。将来はヨーロッパに挑戦したい」と語る25歳のレーサー。堺会場では福島晋一(チームNIPPO・デローザ)に挨拶に来る選手が多く梅丹本舗やトレンガヌのさながら同窓会。あらためて福島の影響力の強さを感じさせる。





国際クリテはマキシミリアーノ・リケーゼ(ランプレ・メリダ)が圧勝
マキシミリアーノ・リケーゼ(ランプレ・メリダ)が優勝マキシミリアーノ・リケーゼ(ランプレ・メリダ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

観客のすぐ前を走り抜けるクリテリウム観客のすぐ前を走り抜けるクリテリウム photo:Hideaki TAKAGI午前中にツアー・オブ・ジャパン第1ステージに併催で堺国際クリテリウムが行われた。ツアー・オブ・ジャパンの成績には関係しないが参加選手全員による迫力あるクリテリウムは、訪れた多くの観客を楽しませた。そして勝者はプロツアーチームの選手。さすがという声が会場のあちこちから。
国際クリテリウム表彰国際クリテリウム表彰 photo:Hideaki TAKAGI
スタートからアタックが頻発するが大きな逃げにできない。中盤で山下貴宏(チーム右京)、畑中勇介(シマノレーシング)ら6人の逃げができるがこれも吸収。集団の先頭付近はランプレ・メリダとヴィーニファンティーニが列車を作る。そしてゴールはチームメイトから発射されたマキシミリアーノ・リケーゼ(ランプレ・メリダ)が圧勝。

リケーゼは昨年までチームNIPPOに2年間在籍。昨年のツール・ド・北海道総合優勝、そしてツアーオブ・ジャパン第2ステージ美濃に優勝。昨年のこの国際クリテリウムは弟のマウロ・リケーゼ(チームNIPPO)が優勝、兄のマキシミリアーノは2位だった。

リケーゼは「昨年は弟が勝って、今年は自分が勝ててとても嬉しい。今日はチームメイトのおかげ。チームの雰囲気はとても良く、これからのレースも頑張りたい」とコメント。コンチネンタルチームから一足飛びにプロツアーチームへ移籍したリケーゼ。今年も柔和な笑顔がたくさん見られそうだ。



結果
第1ステージ堺 個人TT 2.65km
1位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)3分26秒75
2位 セオ・ジョンヨン(KSPO)+3秒70
3位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+4秒27
4位 野中竜馬(シマノレーシング)+5秒01
5位 内間康平(チームNIPPO・デローザ)+5秒46
6位 マリウス・ヴズィアック(マトリックスパワータグ)+6秒13
7位 アンドレア・パリーニ(ランプレ・メリダ)+6秒42
8位 マート・オハベー(チャンピオンシステム)+6秒55
9位 マキシミリアーノ・リケーゼ(ランプレ・メリダ)+6秒58
10位 シモーネ・カンパニャーロ(チームNIPPO・デローザ)+7秒94

個人総合ポイント順位 第1ステージ終了時点
1位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)10点
2位 セオ・ジョンヨン(KSPO)9点
3位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)8点

新人賞順位 第1ステージ終了時点
1位 セオ・ジョンヨン(KSPO)3分30秒
2位 野中竜馬(シマノレーシング)+05秒
3位 内間康平(チームNIPPO・デローザ)+06秒

チーム総合順位 第1ステージ終了時点
1位 愛三工業レーシングチーム 10分36秒
2位 ランプレ・メリダ +04秒
3位 チームNIPPO・デローザ +06秒


photo&text:Hideaki.Takagi

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