雨による落車も目立った第12ステージ。スプリントステージを制したのは、キャリア通算100勝となるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)。総合1位はニーバリが維持。ウィギンズは大きく遅れた。

キャリア通算100勝のステージ1位・ポイント賞のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

ステーグマンに引かれてゴールを目指すマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ステーグマンに引かれてゴールを目指すマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji(通算100勝について)通常は、こういう数字にはあまり意味を感じない。でも、これだけは特別だった。レースで100勝するのは簡単なことじゃない。この勝利をずっと待ち望んでいた。それがジロで達成できて、とてもうれしい。自分たちの展開に持ち込めたのもよかった。チームメイトたちは、今日のステージのスタートからゴールまで踏みっぱなしだった。彼らは信じられなかった。彼らひとりひとりのおかげで、この偉業が達成できた。

キャリア通算100勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)キャリア通算100勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) (c)CorVos(このジロには)すべてのスプリントステージで優勝するつもりで参戦している。これまでのところ、その力を見せるためにも、スタートからゴールまでプロトンを牽き続けている。チームメイトで追走を追いかけて吸収している。ヘルト・ステーグマンはレースの終盤でよく警戒されるのだけど、そういう困難な状況だと、簡単に周りに流されてしまうものだ。でも、今日のタイミングは完璧だった。

チームメイトと喜びを分かち合うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)チームメイトと喜びを分かち合うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) (c)CorVos今日は優勝以外は負けに等しかった。そういう風に考えかたが変わった。勝てないレースは、負けのレースだ。僕はそういう認識に変わった。チームでもそういう認識に変わった。だけど、それは成功の一因でしかないと思う。

とにかく信じられない。最後の最後まで勝てるかわからなかった。逃げ集団との差は残り10kmで1分あった。雨のサーキットで、逃げを吸収するのは難しかった。キャノンデールが先頭に出たけど、ぼくのアシストたちはまだ残っていた。若手のジュリアン・ヴェルモトが自分の脚が限界になるまで牽いてくれた。

マッテオ・トレンティンはいつも残り1kmで前に出るのだけど、今日は残り2.5kmで前に出てがんばって走ってくれた。近づけはしたけど、逃げを吸収するのは簡単ではなかった。ヘルト・ステーグマンが先行したので、ぼくは“無人地帯”に取り残された。でも、彼は待機してくれていた。正直にいえば、ちょっとしたストレスはある。でも、通算100勝を、彼らと一緒に達成できて満足している。それが誇らしい。

左側から風が吹いていたので、左側からスプリントを仕掛けて逃げを捉える必要があった。だから、右側に流されるに違いなかったのだけど、幸いなことに風上の左側に他の選手たちが上がってきた。抜け出してゴールできたことは満足している。でも、コンディションのせいで、ガッツポーズをする気には慣れなかった。片手をあげるだけで精一杯だった。

このジロ・デ・イタリアで勝利できたことに満足している。でも、ここで勝利した以上の事実、チームとしてなし得たことに勝利以上の価値がある。ぼくたちは、このジロのすべてのスプリントに勝つつもりで参戦した。すべてのスプリントステージで勝つだけじゃなく、納得のいく勝ちを目指している。

キャリア100勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)キャリア100勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
今日はスタートからゴールまで、この悪天候のなか集団をコントロールできた。ヘルト・ステーグマンやジュリアン・ヴェルモトといったベテラン選手が、自分の力の限界まで走ってくれた。彼らはぼくの期待以上に長い距離を引いてくれた。前方で走っていたジャンルーカ・ブランビッラとセルジュ・パウエルスから、集団にいたミカル・ゴラス、イーリョ・ケイセ、ジェローム・ピノーまでが逃げを追走してくれた。他のチームは吸収したくなかったようで、かなり難易度は高かった。

ヴェルモト残り約5kmまで牽引して、終盤はマッテオ・トレンティンとヘルト・ステーグマンがうまくコントロールした。彼らが流れに任せて、ぼくを独りにしてしまうのは簡単なのだけど、今日は違った。最後まで頭と心を使って、チームとして走ってくれた。今日は彼らだけじゃなく、チームの誰もが特別なことをしてくれた。今日のジロでの出来事は、実際の勝利よりも誇らしいものだ。


総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

リラックスした表情でスタートを待つヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)リラックスした表情でスタートを待つヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) (c)CorVos今日は下りの路面状況が悪くなりそうだと言われていた。だから、とくに気をつかった。下りの後は、オメガファーマ・クイックステップがこのステージを支配して、最後まで追走してくれた。

(ウィギンズの不調よりも)いまは自分の体力の回復や維持のことを考えるだけで精一杯だ。ファビオ・アルやパオロ・ティラロンゴはふたりとも好調だった。アレッサンドロ・ヴァノッティとデミトリ・グルージェフがよく仕事してくれたおかげで、総合上位をキープできている。

(ライバル勢で)注目しているのは、リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)が好調なことだ。総合上位陣はまだまだ団子状態で、とくにカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)は肉薄している。ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)もよく踏めている。


ステージ3位のルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)

カヴェンディッシュ、ブアニに次いで3位でゴールしたルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)カヴェンディッシュ、ブアニに次いで3位でゴールしたルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ) (c)CorVosよくやったと思う。スプリントはもっと混乱すると思っていたけど、とても正直な勝負だった。チームメイトのパトリック・グレッチュが、ぼくを前方まで運んでくれて、そこに位置取りした。早めにスプリントをしたのだけど、ベストな位置ではなかった。だから、適切なギアに選びなおしたら、うまくスプリントが続けられた。今回の目標がトップ10入りだったので、この結果は期待以上だ。

昨シーズンは、スプリントのトレーニングをしっかりできなかった。だから、このチームに加入してすぐに、スプリントの練習を始めた。スタッフと一緒になって、ぼくたちはプランを立てた。そして、この結果が得られた。ぼくのスプリントは、この2〜3ヵ月で大きく向上した。専用のトレーニングメニューの成果を確認できて、感激している。


ウィギンズの不調を語るデイブ・ブレイルスフォード監督(スカイプロサイクリング)

平地で遅れたウィギンズのために第2集団を牽引するスカイプロサイクリング平地で遅れたウィギンズのために第2集団を牽引するスカイプロサイクリング photo:Kei Tsujiウィギンズは2011年に鎖骨骨折をしている。その部分が痛む時期があることを失念していた。

肺感染症に苦しむブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)肺感染症に苦しむブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) (c)CorVosチームとしては、まだやるべき手立てはたくさんある。ここで後退する気はまったくない。しかるべき時期になれば、さっそうと復活して、簡単にやってのけるはずだよ。今回のジロはチーム総合成績も良い。チームとしても強いし、選手たちの意欲も高い。だから、リゴベルト・ウランのための乗り続けることになるだろうし、それはチームとしての目的を失ったわけではない。

2011年のツールでブラドレー・ウィギンズが鎖骨を折ったときは、その事実は受け入れるには困難を極めた。チームとしての目的を失うことになり、チームはレースで結果を出すことから、ステージでの結果を狙うことになってしまった。しかし、今回はまだ戦っていけるという感触がある。

ブラッドは風邪をこじらせて肺感染症になっており、抗生物質を服用している。彼の症状は悪化していて、今朝のレース前に、彼が今日の完走が難しいほどになっていることがわかった。

ブラドレー・ウィギンズほどの実力を持つ選手が、平坦なコースが辛そうに追走している姿を見たなら、彼が病気なのは明らかにわかるはずだ。通常は病気になったら、やることはその病気の治療に専念するものだ。彼はこのステージを完走する勇気を持っていることを見せてくれた。

今後はホテルに戻って、チームドクターに一晩かけて彼を診てもらう。ブラッドが続行できる健康状態にあるかは、翌日の朝に決めたい。ブラッドなら、レースを続行して、チームとともにブレシアまで行きたいと言うだろうが。


荒天のなかエヴァンスのアシストをこなしたテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)

荒天のなかアシストをこなしたテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム、写真は第11ステージより)荒天のなかアシストをこなしたテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム、写真は第11ステージより) (c)CorVosチームとしては上出来の日だ。今日はカデルの安全を第一に考えた日だった。彼の優先度が第1で、先頭集団でゴールさせることができた。今日は気をとても使う日だった。でも、チーム全員がこの雨で冷たいコンディションでも無事に完走できた。そう考えると、他の選手たちより良い日だったといえる。



*ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI
photo:Kei.Tsuji,Cor.Vos
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