大会初の集団スプリントを迎えたツアー・オブ・カリフォルニア第3ステージ。最速でゴールラインを切ったのは、昨年度大会で5勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)。ピュアスプリンターとの真っ向勝負を制し、余裕のガッツポーズを決めた。

スタートサインをするイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)スタートサインをするイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード) photo:Tour Of California/Brian Hodes高温の続くカリフォルニア州で開催中のツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)。5月14日に開催された第3ステージは、航空宇宙産業で賑わう州南部のパームデールを出発し、周回コースを経てサンタ・クラリアへと至る177.5kmで争われた。

氷を受け取るアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)氷を受け取るアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン) photo:Tour Of California/Getty Images内陸部の丘陵・山岳地帯を走るため、コースはテゴリー4級の山岳ポイントが計4ヶ所設けられる設定に。144km地点に控える最後の山岳ポイント「ブーケット・キャニオン」(獲得標高138m)をクリアすると、およそ30kmに渡る下りを経てゴールへと到達する。

逃げたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)ら4名逃げたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)ら4名 photo:Tour Of California/Getty Images全体的に山がちながら難易度は低め。勝負は上りをクリアしたスプリンターによるゴールスプリント、もしくは小集団による逃げ切りになるという予想に。この日はピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やマウロ・ダダルト(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)がスタートを取りやめた。

スタート直後からアタックが頻発する展開に持ち込まれ、幾つかのグループが先行するものの、決定的なリードを奪うには至らない。

21kmを経過すると、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)やイェンス・フォイクト(ドイツ、共にレディオシャック・レオパード)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)らを含む超強力な23名が45秒ほど先行していく。

強風吹くカリフォルニア州南部を走るメイン集団強風吹くカリフォルニア州南部を走るメイン集団 photo:Tour Of California/Brian Hodesしかし有力勢がこぞって逃げたため集団はこれを逃さず、最初の4級山岳・マンズランチへと至る上りで全て吸収し、レースは振り出しに戻される。すると山頂通過後、シュレクが再びアタック。ここには第1ステージ勝者リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)やチャド・ベイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム・プロサイクリング)、ギャビン・マニオン(アメリカ、ボントレガー)が加わり、この日の逃げが成立した。

乾いた山岳地帯を駆け抜ける乾いた山岳地帯を駆け抜ける photo:Tour Of California/Brian Hodes終始テンポの早い展開が続いたため、集団は逃げを見送ると一気にペースダウンし、逃げる4名は80km地点でこの日の最大タイム差4分30秒をマーク。これ以降はリーダージャージ擁するジェーミス・ハーゲンが牽引を開始したことで、4名のリードは徐々に削り取られていく。

そんな中で連続する第2、第3山岳ポイントはベイヤーが連続で先頭通過。中盤に2つ設定された中間スプリントは、争わずしてヴェストラがどちらも1位で通過した。

内陸の山岳地帯を走りぬけるメイン集団内陸の山岳地帯を走りぬけるメイン集団 photo:Tour Of California/Brian Hodes乾いた大地を風が強く吹き付ける中、残り40kmを切ってからはタイラー・ファラー(アメリカ)での勝利を目論むガーミン・シャープ勢が集団コントロールを開始したことで、タイム差は徐々に減少の一途を辿る。第4山岳通過後の下りではベイヤーが抜けだして先行したものの、残り13km地点で集団へと吸収。メイン集団は人数を残したまま、集団スプリントに向けての体制を徐々に築き上げていく。

ガーミン・シャープに加えてキャノンデール・プロサイクリングやユナイテッドヘルスケアが前方でハイペースを刻む中、残り6kmからマルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック・レオパード)がアタックするも十分なリードを奪えない。

人数を揃えるキャノンデール・プロサイクリングやサクソ・ティンコフらが主導権を奪い合うが、激しく先頭をかぶせ合う展開の中でリードアウトトレインを組めるチームは現れない。混沌とした状態のまま最終コーナーをクリアすると、オリカ・グリーンエッジ優勢の状態でスプリントが始まった。

トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)やボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)らが一斉に掛ける一方で、サガンがタイミングを待って踏み始める。競り合うファラーやマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を尻目に、一人桁違いの爆発力を披露したサガンがガッツポーズを繰り出した。

マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を下したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を下したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) photo:Tour Of California/Getty Images
マシューズは2位、ファラーは3位。アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)はタイム差無しの同集団でゴールを果たし、リーダージャージを守りきった。

「残り3kmからはクレイジーな展開だった。全てのスプリンターが勝ちたがっていたんだ。」と語るのは、昨年の同大会で無敵のスプリント5勝を上げたサガン。「勝った時、今日のステージは僕に向いていたんだと分かった。」と非凡さを見せつけた。

山岳賞を守ったカーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)山岳賞を守ったカーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング) photo:Tour Of California/Getty Images表彰台に立つペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)表彰台に立つペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) photo:Tour Of California/Brian Hodes



ツアー・オブ・カリフォルニア2013第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) 4h20′31″
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 アレックス・キャンデラリオ(オプタムp/b)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ネットアップ・エンデューラ)
10位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソ・ティンコフ)

個人総合成績
1位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)   13h59′50″
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +12″
3位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア) +27″
4位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)   +45″
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +55″
6位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー) +1′03″
7位 チャド・ハーガ(アメリカ、オプタムp/b)             +1′13″
8位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード) +1′15″
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)   +1′32″
10位 キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1′40″

ポイント賞
リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

山岳賞
カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)

新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)

チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア


text:So.Isobe
photo:Tour Of California/Brian Hodes
Amazon.co.jp

カリフォルニアばあさんの料理帖

毎日コミュニケーションズ
¥384

ホテル・カリフォルニア

ワーナーミュージック・ジャパン