「トレインは完璧で、最高に美しかった。チームメイトは今シーズンここまで最高の走りを見せたよ。ウェイラントにこの勝利を捧げたい」。と語るのは、圧倒的な爆発力を披露したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)。表彰式では108のゼッケンを掲げ、ウェイラントに勝利を捧げた。


ステージ優勝 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

今大会ステージ2勝目をマークしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)今大会ステージ2勝目をマークしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji今はただただ嬉しい。信じられない。リードアウトは間違いなく完璧で、何も間違っていなくて、美しかった。落車はプロトン全体をナーバスなブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)の祝福を受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)の祝福を受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji雰囲気にした。スカイプロサイクリングやBMCレーシングチームを含む総合系チームは皆先頭集団にいて、僕はヘルト・ステーグマンス(ベルギー)に連れられて走っていたよ。チームの皆は仕掛けるタイミングがいつも早過ぎていたけれど、今日は待ちに待った。そしてベストなタイミングで戦略がはまったんだ。

最速スプリンターであることを見せつけたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)最速スプリンターであることを見せつけたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji約3週間前、ツール・ド・ロマンディの前のクラシックシーズンの頃に僕はトップコンディションだった。特に十分なトレーニングを積まずにね。多くの労力を要らずして勝つことができるぐらいの調子だったんだ。そんなトップコンディションだったら、昨日の山岳は越えることができていたと思う。

今日僕のチームは素晴らしかったよ。序盤の数ステージこそ、リードアウトの肝心な時を前にして皆脚がいっぱいになってしまい、動くことが出来なかった。今日のようなチームとしての組織的な動きができたのは今日初めてだったよ。ヘルト・ステーグマンスは今までの中で僕ベストな発射台だよ。

(ゼロの状態から)リードアウトトレインを組み立てるのは、キットカーを作るようなものさ。始動させて、「ブルンブルン!」さ。でも最初に運転するときは怖いに決まってる(=トレインが上手に組めるか不安)。誰もがそうだよね。小さなパーツを一つ一つ組み上げて、上手く組み上げることができたら、エンジンが掛かる。

それで、僕(の役割)は、最後の一番うるさいパーツ(排気管)ということだよ。今日は組み立てが上手くいったんだ。それが今日勝てた理由さ。今日の勝利はウェイラントに捧げたい。2年前の今日に悲劇的な死を遂げた彼にね。

今日は100%美しいかった。リードアウトに限った話ではなく、レース全体を通してね。(ジャック)ボブリッジと(キャメロン)ウルフの2人は、逃げとしてとても強力だった。僕らはセルジュ・パウエルスとジャンルーカ・ブランビッラを先頭に据えて、集団を牽引した。彼らもまた強くて、最終盤になるまで牽き続けたんだ。

ウェイラントをしのぶ108番のゼッケンをもって登場したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ウェイラントをしのぶ108番のゼッケンをもって登場したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji

その後ジェローム・ピノーやミカル・ゴラス、イイヨ・ケイセ、マッテオ・トレンティンが出てくれて、一回後ろに下がったジュリアン・ヴェルモトまで役割を果たしてくれた。彼は良い走りをしたね。皆脚が動かなくなるまで全力を尽くしてくれた。本当に、ここまでのシーズンで見たことがないほど皆凄い走りをしてくれた。誇りに思っているよ。


第1ステージに続き、ステージ2位のエリア・ヴィヴィアーニ(キャノンデール・プロサイクリング)

カヴェンディッシュらと競り合うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)カヴェンディッシュらと競り合うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング) photo:Kei Tsuji今日は全力でスプリントできたから、特に後悔はないさ。今日のステージは平坦だったけど、終盤の集団のコントロールが難しかったね。みんなが集団スプリントに持ち込みたいと思っていた中で、チームメートが集団の先頭まで運んでくれた。

ほんとにすごい働きだった。カブは第1ステージと比べてスプリントの切れが増してきたから、ほんとにかなわないよ。2着は決して慰められるようなことではないけど、調子はいいし、チャンスを生かすしかないね。マリアロッソ?今はまだ、口にできるタイミングではない。まずは、ステージ優勝しなくてはいけないよ。


マリアローザのルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)

先頭でパレード走行するルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)とフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)先頭でパレード走行するルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)とフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Riccardo Scanferla大きな落車のあった5分前、カチューシャはチーム戦略として、マリアローザをトラブルから回避させるために集団の前に位置取ることを決めたんだ。その後落車が起こったと聞いて、集団のペースを落とした。僕を含めて総合上位勢はみんな集団の前に位置していて、僕らは落ち着いて行こう、後ろが追いついてくるまで待とうと皆に言って聞かせた。

マリアローザを守ったルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)マリアローザを守ったルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) photo:Kei Tsuji皆が集団の前方に上がろうという動きは、誰にとってもトラブルのもととなる。ウィギンズも含めてね。この数日は(重要なステージの)間に位置するステージだと思う。ウィギンズを見ている限り、マテーラの前の上りでも彼の走りは素晴らしかった。ペダリングも美しいし、彼のコンディションは上々だと思っている。

僕が自分自身に課した目標は、個人タイムトライアルまでマリアローザを守ること。だから明日のステージではワンデークラシックのような走りをしようと思う。マリアローザを守りにいくようなことはしないつもり。恥ずかしいことではあるけれど、TTスペシャリストにはどうやったって敵わないよ。でも距離は50kmもある。ファンの前で最後にマリアローザを披露して、ジャージにバイバイするにはもってこいだと思うよ。

個人タイムトライアルの後は、ユーリ・トロフィモフとジャンパオロ・カルーゾが総合トップ10入りを狙って走る。僕は、僕の仕事を果たすために走るんだ。つまり、ステージ優勝さ。コンディションは良いし、僕に向いていないステージでも積極的な走りをしていくよ。


アシストとして走ったクリスティアン・クネース(ドイツ、スカイプロサイクリング)

メカトラと落車の影響で遅れたブラドレー・ウィギンズ(イギリス)のためにスカイプロサイクリングが総力を挙げて追走メカトラと落車の影響で遅れたブラドレー・ウィギンズ(イギリス)のためにスカイプロサイクリングが総力を挙げて追走 photo:Kei Tsuji大落車の1分前、ブラドレーはバイク交換を強いられて遅れていたから、彼は落車には巻き込まれていない。足止めを食らっただけなんだ。

チームメイトに引かれて集団復帰を目指すブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)チームメイトに引かれて集団復帰を目指すブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Kei Tsujiみんなは素晴らしい走りで彼を先頭集団まで引き上げた。僕は前の集団にいたんだけれど、集団の中はとても騒がしかったからレース無線がよく聞こえず、僕の後ろで何が起きているのかが分からなかった。理解してすぐさま集団の先頭まで飛んでいって、FDJやオメガファーマ・クイックステップにペースを抑えてくれるよう話をしたんだ。

彼らは理解してくれたけれど相変わらずペースは速くて、僕らのチームはブラドレーを引き上げるのに大変な労力を使うことになってしまった。みんな凄い働きをしてくれて彼を集団の近くまで運んだ。それで僕も下がって、牽引に加わったんだ。彼に何のトラブルもなくて良かったよ。

当分の間スプリントステージは無いから、こんな忙しい日が来るのは先になるだろう。僕らは前に位置して、安全を図ってきた。とりあえず全てが順調に運んでよかったと思うよ。


text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji

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