「アタックしてから、ゴールまで距離があるのを知っていた。けれど頭の中はクリアだった。逃げるだけだった」と振り返るのは、ステージ優勝とマリアローザを同時に獲得したルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)。「今日の勝利は手術のために入院した父親のもの」と付け加えた。

ステージ優勝&マリアローザ獲得 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)   
後方を確認してゴールに飛び込むルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)後方を確認してゴールに飛び込むルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) photo:Kei Tsujiアタックした時、チームカーが僕に数秒のアドバンテージがあることを話してくれたけれど、ゴールまでは距離が残っていることを僕は知っていた。僕の頭の中はクリアだった。可能な限り全ての体力を使って逃げたんだ。

後ろからは(集団の音や気配が)滝のように聞こえていたけれど、全力を尽くして集団が追いつけるリミットを越えることができた。残り8km、僕は後ろを振り返った。僕はステージを勝つだけのアドバンテージを築き上げることができたことに気づいたんだ。

天を指差してゴールするルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)天を指差してゴールするルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) photo:Kei Tsuji僕らは、僕らのチームがワールドツアーチームとして値することを十分に証明した。良いチームだし、一生懸命に走る。僕らのチーム監督は、チャンスを逃すような人物ではないんだ。この結果は、僕らの存在を再び轟かせたね。

昨年の11月にチーム監督とレースプログラムについて話し合いを持ち、もし4月のクラシックで良い走りができたらジロに参戦しようと決めたんだ。僕は36歳。そうしたかったんだ。そう。パリ~ルーベを7位で完走した後7日間バイクに乗らず、その後ツアー・オブ・ターキーへと参戦。それがカギとなった。最初の3ステージで僕自身をアピールするチャンスがあると思いつつ、ジロに良い調子で乗り込んだんだ。

トリコローレをもってステージに上がるルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)トリコローレをもってステージに上がるルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) photo:Kei Tsuji

今日僕の父親が、手術のために入院した。数ステージは(テレビで)観戦してくれると言っていたから、僕は父に勝利をプレゼントすると伝えたんだ。特に親子の仲が良い分、今日勝利できてとても良かったよ。


チームカーに掴まるダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)チームカーに掴まるダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) photo:Riccardo Scanferlaヴィーニ・ファンティーニ監督 ルーカ・シント
もしスカイプロサイクリング勢をはじめ、みんながエスケープを追って集団を牽かなかったら、今晩は僕らがマリア・ローザを着用しているはずだった。僕は彼らの作戦が理解できない。

次世代ライダーとして注目されるファビオ・アル(イタリア、アスタナ)次世代ライダーとして注目されるファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji(もしマリア・ローザを獲得できたら、)次のサルターラでの個人タイムトライアルまでは僕らのチームが集団のコントロールを担ったのに。でもしかし、これが自転車競技。また明日も何か挑戦をしていくつもりさ。


マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得したウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得したウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Kei Tsujiマリアビアンカ(新人賞ジャージ)を獲得したファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
今日僕らはヴィンツェンツォ・ニーバリとヴァレリオ・アニョーリ(共にイタリア)のために働き、2人に総合タイムを獲得させる作戦を執った。なぜなら僕らがこのレースで目指す究極のゴールは、マリアローザを勝ち取ることだからなんだ。最後の攻撃(後続グループから少し抜けだしてゴールした)はどれだけ効果があるか分からないけれど、マリアビアンカを獲得できたことは、僕にとって、そしてチームにとって名誉なことだよ。


マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得したウィレム・ワウテルス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
僕は心拍系の問題を抱えているんだけど、ここ数年は症状が出ていないんだ。僕は、今自分がこのレベルにいるということを証明した。(監督の)ジャンポールは今朝、チャンスが来るのを第2週目まで待つことはできない、と言った。チャンスがあれば獲りにいく。つまりはそういうことさ。


スカイプロサイクリングがメイン集団を終始コントロールするスカイプロサイクリングがメイン集団を終始コントロールする photo:Kei Tsujiスカイプロサイクリング監督 マルクス・ユーンクヴィスト
今日私達は、終盤にたくさんのチームが攻撃を仕掛けてくるだろうことを想定していたし、実際にそうなった。終盤はとてもタフな展開となったけれど、最終的に良い位置でゴールすることができて嬉しく思っているよ。セルジオ(ルイス・エナオモントーヤ)がクラッシュしてしまったのはあまり良くなかったけれど、結果メイン集団内でゴールできていた。

序盤は逃げとの差をコントロールするため、シャビ(シャビエル・ザンディオ)とダニー(ペイト)が素晴らしい働きを見せてくれた。昨日勝利したプッチォにとっても、とても良い(経験となった)一日だったことだろう。明日からは厳しいステージが始まるから、ブラッド(ウィギンズ)のために動く準備を整えていく。


text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji