4月21日から28日までの8日間、トルコで第49回ツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)が開催される。年々規模を拡大させているこのトルコ最大のステージレースには9つのUCIプロチームが出場。日本からは3名が出場する。

2つの頂上ゴールが登場する「ヨーロッパとアジアを結ぶレース」

ツアー・オブ・ターキー2013コースマップツアー・オブ・ターキー2013コースマップ image: www.tourofturkey.org正式名称「プレジデンシャル・ツアー・オブ・ターキー」。2008年以降、クラスHC(超級)のステージレースとしてUCIヨーロッパツアーに組み込まれている。そのレースオーガナイズの良さには定評があり、将来的にUCIワールドツアーカレンダー入りを目指しているという。

美しいトルコ南部を走る選手たち美しいトルコ南部を走る選手たち photo:Sonoko Tanaka開催49回目を迎える今年はトルコ南部のリゾート都市アランヤで開幕。昨年とほぼ同じコースが設定されており、8日間かけて海沿いに首都イスタンブールまで北上する。

総合争いにおいて重要となるのが、頂上ゴールが設定された第3ステージと第6ステージ。3つの1級山岳が設定された第3ステージが今大会のクイーンステージであり、標高1850mの1級山岳ゴグベリで総合争いの流れが出来上がる。

もう一つの難所である第6ステージはセルチュクにある「聖母マリアの家」にゴールする。聖母マリアが晩年を過ごしたというキリスト教の聖地至る1級山岳は急勾配。ここで第49回大会の実質的な勝者が決まるだろう。

最終日は首都イスタンブールを駆け抜ける平坦コース。「ヨーロッパとアジアを結ぶレース」という大会のテーマを象徴するように、ボスポラス海峡をまたぐボアズィチ大橋を渡る。8日間の総走行距離は1204kmだ。

ツアー・オブ・ターキー2013第3ステージツアー・オブ・ターキー2013第3ステージ image: www.tourofturkey.orgツアー・オブ・ターキー2013第6ステージツアー・オブ・ターキー2013第6ステージ image: www.tourofturkey.org


ツアー・オブ・ターキー2013ステージリスト
4月21日(日)第1ステージ アランヤ〜アランヤ 143km 平坦
4月22日(月)第2ステージ アランヤ〜アンタルヤ 150km 平坦
4月23日(火)第3ステージ アンタルヤ〜エルマル(ゴグベリ) 153.5km 頂上ゴール
4月24日(水)第4ステージ ゴセク〜マルマリス 147km 山岳
4月25日(木)第5ステージ マルマリス〜トゥルグトレス 183km 平坦
4月26日(金)第6ステージ ボドルム〜セルチュク 182km 頂上ゴール
4月27日(土)第7ステージ クシャダス〜イズミル 124km クラシカル
4月28日(日)第8ステージ イスタンブール〜イスタンブール 121km 平坦

大会のイメージカラーであるターコイズブルーのリーダージャージ大会のイメージカラーであるターコイズブルーのリーダージャージ photo:Sonoko Tanaka用意される特別賞ジャージは4つ。総合リーダーには大会のイメージカラーであるターコイズブルーのリーダージャージが与えられる。山岳賞がレッドジャージで、ポイント賞がグリーンジャージ。ツアー・オブ・ターキー独自の賞として、中間スプリントにあたる「プレミアムゲート(トルコの歴史や自然を象徴する場所に置かれる)」の通過成績トップの選手にはホワイトジャージが与えられる。

出場するのは25チームで、内訳はUCIプロチーム・9チーム、UCIプロコンチネンタルチーム・15チーム、そしてトルコ籍のUCIコンチネンタルチームが1チーム。各チーム8名ずつの出場となる。


スプリンター勢揃い 別府、宮澤、佐野の活躍にも期待

別府史之(オリカ・グリーンエッジ)別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji第49回大会には日本人選手3名が顔を揃える。「北のクラシック」で良い走りを見せたばかりの別府史之(オリカ・グリーンエッジ)、3年連続出場の宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)、そしてツール・ド・ランカウイ以降しばらくレースから遠ざかっていた佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)だ。

宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) photo:Kei Tsuji別府はリー・ハワード(オーストラリア)やアイディス・クルオピス(リトアニア)のゴールスプリントをサポートする。リードアウトトレインの重要な役割を担うことになるだろう。オリカ・グリーンエッジからは総合狙いのキャメロン・マイヤー(オーストラリア)も出場するため、別府は連日忙しく走ることになるだろう。

佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) photo:Sonoko Tanakaグランプリ・ド・ドナンのゴールスプリントで5位に絡んだ宮澤は、ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア)とのタッグでスプリント勝利を目指す。レース前の発言からは、コンディションとモチベーションの高さが伺える。また、佐野はフランチェスコ・キッキ(イタリア)のゴールスプリントに備えることになりそうだ。

合計8ステージのうち、スプリンターにチャンスがあるのはおよそ5ステージ。どのチームも総合よりもスプリント勝負に重きを置いている印象がある。

昨年EPO陽性によって失格処分を受けたイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア)に代わり、繰り上げで総合優勝のタイトルを得たのはアレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)。現在開催中のジロ・デル・トレンティーノで好走しているディアチェンコやアンドレイ・カシェチキン(カザフスタン)らを軸に、アスタナは大会連覇を狙ってくるだろう(※4月20日にディアチェンコの欠場が発表された)。

前述のマイヤーの他、昨年総合2位のダニエル・アンドロフ(ブルガリア、カハルーラル)、セルジュ・パウエルス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やブリース・フェイユ(フランス、ソジャサン)、ブルーノ・ピレス(ポルトガル、サクソ・ティンコフ)、トルコ籍のUCIコンチネンタルチームに所属するダビ・デラフエンテ(スペイン、トルクセケルスポール)、そしてコロンビア勢が総合上位に名前を並べるはずだ。

注目スプリンターとしては、トルコでステージ通算7勝を飾っているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が挙げられる。ミラノ〜サンレモを制したゲラルド・チオレック(ドイツ、MTNキュベカ)やマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)ら、ジャーマンスプリンターが揃う。

最速リードアウトトレインを組むと見られるのが、テオ・ボス(オランダ)、マーク・レンショー(オーストラリア)、グレーム・ブラウン(オーストラリア)を揃えるブランコプロサイクリング。スピードマンを揃えるオリカ・グリーンエッジもゴールに向けて集団先頭に出るはず。その他、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)やサーシャ・モードロ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)、ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、アクセントジョブス)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)、そしてブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)らも勝負に絡んでくるだろう。

text:Kei Tsuji in Alanya, Turkey

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